声優

声優を目指す前に知っておくべきデメリット

48_アートボード 1.jpg声優志望者の心構え


世間では、よく「声優なんてやめておけ」と言われますが、毎年多くの人が目指すと同時に諦める人が多いのもこの業界の厳さだったりしますよね。現在、声優を目指す人たちがこの仕事の魅力に惹かれる一方で、とても厳しい現実やリスクに向き合わなければいけないことを理解している人は少ないのではと感じています。僕自身も、みなさんと同じように声優を目指して学校や養成所に通っていましたが、想像以上に厳しいことから自分の考えの甘さを痛感したこともたくさんありました。「目指す」「目指さない」は別として、そうした経験から思うのは、自分が進む業界についてしっかりと理解を深めることはものすごく大切だということです。

そこで今回は、声優を目指すことの厳しさやデメリットについて詳しく紹介していきます。これらを知った上で、今後の進路の参考になれば嬉しいです。

スタートラインに立つまで

みなさんが、「今日から声優を目指す!」と決めたらそこからがスタートなわけですが、実際のところは、声優学校や養成所に通えることで本格的な夢の始まりなのかもしれません。そのためには、保護者の理解を得ること、進路先を決めること、そして入学審査の手続きや準備が必要になりますね。

  1. 1.保護者の了承を得る
  2. 2.進路先を決める
  3. 3.入学・入所の手続きを行う
  4. 4.引越し手続き・作業を行う

また、場合によっては引越しのために新居を探す人もいるかもしれません。そうした、スタートまでの諸々の課題をクリアできて初めて自やりたいことができるわけです。

芸能界へ進むとなると家族の理解を得るのも簡単ではないですし、自身のコンプレックスやこうしたネットの情報から不安になることもあるかもしれません。それでも、覚悟を決めてスタートラインに立つことができれば、まずは一つ大きな問題をクリアしたことになります。

学校・養成所生活

前述したように、声優を目指す多くの人が学校や養成所へ進学すると思いますが、そこで味わうのがレッスンの厳しさや人間関係の難しさだったりします。入学してしばらくは地道な基礎レッスンが続き、課題を通して仲間同士で意見をぶつけることもあるでしょう。

学校生活が進めば、自分より上手いと感じる子、オーディションで結果を出す子も出てくるかもしれません。そうした悩みを抱えて諦めていく生徒はこれまでたくさん見てきましたし、仮に乗り越えたとしても必ず結果が出るわけではないのがこの業界の難しいところです。

オーディション

声優になるために避けては通れないのがオーディションや所属審査ですね。

プロフィールや写真を作成し対策を練って、書類審査等に受かればスケジュールを合わせて実際の会場へ赴くことになりますが、それでも合格する人は1人〜数人程度というのが現実で、ほとんどの人は不合格というのが現実です。また、養成所の所属審査も、数年間レッスンを受け続けて頑張ってもそこで落ちてしまえば再び今後の進路を検討することになります。一度は経験した人もいるかもしれませんが、どれだけ準備したとしてもそれに伴う結果が必ず得られるとは限りません。僕らは、そうした選ばれる側の立場であるということを常に理解しておく必要があります。

所属後

オーディションや審査に受かって、もしもどこかのプロダクションに所属できたとしたら晴れて声優として活動できるわけですが、それからの道のりは今まで以上に険しいです。


こんなに商売として成り立っていないものを、安易に将来の「職業」として選ぶのは危険です。即刻やめたほうがいい。実家が裕福でいくらでもすねがかじれるとか、声優が駄目でも実家の稼業を継げばいいとか、いつでもしっかりした勤め人のお嫁さんになれる身分だという人間でない限り、近づかないのが正解です。


出典:東洋経済オンライン「声優の大多数が仕事にあぶれる理由」大塚明夫(https://toyokeizai.net/articles/-/321702)

声優・大塚明夫さんが仰るように、この職業がなぜ危険かと言われれば、それは以下のようなことがあるからだと思っています。

  • ●会社との雇用契約ではない
  • ●福利厚生がない
  • ●収入が不安定
  • ●業界全体で競争が激しい
  • ●仕事を"受ける側"の立場

声優は基本的に「個人事業主」であって、公務員や会社員とは違い毎月の収入が決まっているわけではありません。また、福利厚生も含まれないことから、将来や万が一のことに対してあらかじめ自分自身で考え対処しておく必要があります。しかし現実としては、若いうちからそうした余裕のある生活を築ける人は少なく、非常に不安定な人生を送る可能性が高いということです。

以前、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』で声優の神谷浩史さんが「やっぱり僕らは日雇い労働者なので〜」と仰っていたように、声優は基本的に仕事現場がなければ収入を生み出しにくい立場の人間です。

こうしたことから、年齢を重ねるにつれて廃業する人もたくさんいるように、精神的な負担や実生活のリスクがものすごく大きい職業です。

まとめ

声優志望者が増えることは業界の活性化に繋がるとても良いことではありますが、反対に個人個人で見ていけば、声優になること自体が難しくなっていて、学校や養成所に通うことが当たり前の昨今ではリスクも大きくなっているのが現状かもしれません。しかし、こうした事実にも関心を持って、今後の進路を考えてくれる人が少しでも増えたら嬉しい限りです。

ライター:ゆうき

RELATED

この記事に関連する記事