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アメリカでは『Fortnite』が習い事!?海外が教育にゲームを取り入れる理由

【確認済】10 (1).png日本ではまだ娯楽のイメージが強いゲームですが、海外では習い事や学校教育の一環として積極的に取り入れられていると聞いたことがありませんか? 確かに、『Fortnite』など人気ゲームのレッスンは、カジュアルな習い事として海外で広まっています。しかし、プロゲーマーを目指すならともかく、ゲームで遊ぶことにどんな教育的価値があるのでしょうか。

この記事を読めば海外の教育現場でゲームが積極的に取り入れられている理由と事例、そして日本ではどうなっているのかがわかります。勉強やスポーツには積極的になれない子どもでも楽しめるのがゲームなので、教育的なメリットがあるなら教育者・保護者にとっても心強い味方になりそうですよね。

【目次】

  • ①プログラミングの重要性
  • ②e-Sportsの普及
  • ③韓国でのゲーム教育
  • ④アメリカでのゲーム教育
  • ⑤日本は少し乗り遅れている?
  • ⑥まとめ

<①ICTスキルを育む>

海外で学校教育にゲームが取り入れられる理由の1つに、デジタル化の進む世界に適応できる人材の養成が挙げられます。ゲームを教育導入している国の多くは、情報技術の重要性を早期から認識していました。

2024年現在でもDX化の波は勢いを増しており、これに適応した人材の育成は急務といえます。そのためにも、子どもの段階からデジタル端末を自在に扱えるようなICT(情報通信技術)スキルを育み、デジタル分野に興味や関心を持たせることが欠かせません。ここで、現代の子どもの関心事として多くを占めるゲームは、足掛かりに最適な位置づけにありました。

高度なプログラミングで構成されているゲームの魅力は、子どもたちに熱狂的な感動を与えるだけではありません。デジタル端末を扱ったコミュニケーションスキルが身につき、技術開発側に回りたいという学習意欲が芽生えるきっかけになることもあるでしょう。また、多人数やチームでプレイするゲームは、目標達成のために協調性・忍耐力など多彩な能力を育む必要があり、従来的な教育で重視されてきた領分もカバーします。

<②e-Sportsの普及>

次に、広く普及しているe-Sportsのスキル向上も理由に挙げられます。e-Sportsとはelectronic(電子的)+sports(スポーツ)の略称で、一般的に競争要素のあるゲームを指します。性差が影響しづらく、運動が苦手な生徒でもスポーツと比べて参加しやすいことから、多様性が重視される現代に適した競技として広がり始めました。

日本ではe-Sportsの知名度が低く、競技人口は約390万人といわれています。一方、世界規模でのe-Sports競技人口は2024年現在で1億人前後といわれており、これは世界の人気スポーツであるテニスとほぼ同じ規模です。観戦者に至っては約3億8,000万人を超えており、流行に乗ることでプレイヤー・ファンの両方が今後も増加していくことでしょう。

e-Sportsで身体能力を養うことはできませんが、その競技性はスポーツに引けを取りません。先述したように、勝負に勝つためには個々人の技量だけでなく、チームワーク・課題解決能力・メンタリティが必要です。スポーツが苦手・できないという子どもでも、e-Sportsなら同年代の子どもたちと楽しくコミュニケーションを取りながら社会性を養えるため、教育的な観点からも注目を集めています。

ここからはデジタル先進国として耳にすることの多い韓国とアメリカでの教育を見ていきます。

<③韓国でのゲーム教育>

韓国のプログラミング教育はアジア初の試みであり、2007年から中学校・高校を対象に始まりました。2017年からは小学校向けのデジタル教育も本格化し、政府主導の一貫した体制によって専門教育が進められています。

e-Sportsについては、この言葉自体が韓国発祥だといわれており、エンターテイメントとして若い世代を中心に身近なものになりました。プロの試合は大規模スタジアムで実況され、スポーツ競技と同じような盛り上がりを見せています。

こうした背景があるため、子どもたちがe-Sportsのプロ選手を目指すのは自然な流れでしょう。プロゲーマー養成学校に注目が集まっており、特に『GameCoach Academy』は2017年の設立以降、存在感を見せています。ファンに愛されるような立ち振る舞いや企業と仕事をしていくための知識など、プレイの技術にとどまらない網羅的な教育プログラムを提供しています。

<④アメリカでのゲーム教育>

アメリカはe-Sportsプレイヤー数が世界一で、ゲームがエンターテイメントとして広く受け入れられています。実際に、e-Sportsがスポーツと同じくらい習い事として一般的になっており、例えばバトルロワイヤルゲーム『Fortnite』のレッスンが特に人気です。

対面形式ではなくオンラインでレッスンを受けられるのもe-Sportsの強みであり、生徒と先生をマッチングする『Gamer Sensei』というサービスが人気を集めています。Discordを活用することで、優れたプレイヤーである先生と『Fortnite』などの人気ゲームを楽しみつつ、プレイスキルやコミュニケーションスキルなどを磨けるため人気です。

さらに、スポーツや音楽活動などで優れた成績を出せば学校からスカウトが来るように、アメリカではゲームで優れた実績があれば高校・大学からスカウトされることがあります。これは日本ではまだ考え難いことですが、海外ではe-Sportsがスポーツと同じ扱いになっていることがよくわかる事実です。

<⑤日本は少し乗り遅れている?>

海外では学校教育や習い事として身近なものになっていますが、日本では遅れている傾向があります。これは本記事で見てきたデジタル分野の教育・e-Sports普及という2つの観点の両側から言えることです。

日本ではデジタル技術の重要性に気づいてはいたものの、教育段階で積極的に取り入れるようになったのはつい最近のことです。実際に、小学校でのプログラミング教育必修化が2020年に始まりましたが、導入の早い国と比べて10年以上の遅れが生じています。また、これに関連してプログラミングを学ぶために『マインクラフト』のようなゲームを取り入れるような活動はまだまだ少ないのが現状です。

次に、e-Sportsの普及が遅れた原因には、日本独自のe-Sportsプロライセンスに関する問題が背景にあります。2019年頃、プロライセンスを発行されていない選手は、一部の大会で入賞しても賞金のほとんどを受け取れないという状況に陥っていました。現在はクリアされていますが、これは日本でe-Sportsの普及が始まった直後のことです。ネガティブなイメージから、出鼻を挫かれてしまった印象が否めません。

ここまで日本でのゲーム教育導入が遅れている原因を見てきましたが、最近は革新的な出来事が起こっています。大学入試でのプログラミング必須化が2025年1月から導入されることが決まっていたり、e-Sportsプロプレイヤーを目指す専門スクールの開校など教育体制が整ってきたりと取り組みが進んでいます。今後の展開次第では遅れを取り戻すだけでなく、世界に向けて新しい教育の形を提示していくことも不可能ではないでしょう。

<⑥まとめ>

本記事では海外でゲームが教育に取り入れられる背景や各国の事例、そして日本での普及状況を見てきました。スマートフォンの普及によりデジタル技術が身近になってから久しく、近年は社会全体でDX化の流れを迎えています。一足先を行っているデジタル先進国と比べれば遅いですが、日本も着実に前進を始めています。ゲームの教育導入に関しても、最近は『桃太郎電鉄』の教育版が学校向けにサービス提供を開始して好評を博すなど、明るいニュースが聞こえるようになってきました。ゲームが子どもにとって取り組みやすい教育の仕組みになれば、素晴らしいことですね。

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