声優・俳優
声優関連の書籍は読むべき?
メリット・デメリットについて
昨今、人気の職業の一つにあげられるのが「声優」ですが、その志望者の数の多さもあって「プロになれるのはほんの一握り」と言われたりもしますね。読者の方々の中にも、将来声優を目指したいという思いから一度は教本や実用書といった「声優本」を購入し読んだことがある人もいるかもしれません。
しかし、同じ声優志望者といえど個々にいろいろな悩みがあって十人十色なわけです。そこで今回は、声優・ナレーターを目指した僕自身の経験からこうした本の購入を検討する前に知っておくべきポイントをいくつか挙げてみたいと思います。今後、みなさんが本を選ぶ上で何かしらの参考になれば嬉しいです。
声優を目指す上で本は必要?
声優やナレーターなど、声の仕事を目指す上で本は必要なのかと悩む人も多いかもしれません。僕も以前にこうした関連書をいくつか購入してみて気づいたことですが、結論から言うと絶対に必要というわけではないけれど、助けになるものだと思っています。今では多くの人が声優学校や養成所に通って学ぶことになりますが、こういった場ではノウハウや方法論というのをたくさん与えられるわけで、僕自身も在学中に本がないと困ることはほぼなかったです。しかし、なかには養成機関に通っていなかったり、レッスンにもの足りなさを感じている人もいるはずで、そうした人にとっては新しい発見や知識を補う上で恩恵を受けやすいとも言えますね。
そこで、以下で僕が感じた声優本のメリット・デメリットや購入にあたってのポイントを紹介していきます。
メリット
- 内容の充実度が高い
- 信頼度が高い
- 学びの視野が広がる
- 自分のペースで学習できる
市販されている書籍であれば、ネットの無料コンテンツに比べて内容の充実度が高く、著者が明記されている点からも信頼できる教材ですね。なかには、誰でもできる簡単なトレーニング方法や業界の裏話など、その本でしか知り得ないことも載っていたりするので無料教材に比べて圧倒的に為になるものが多いです。また、声優本といえば人気声優によるものが多いですが、なかにはボイトレ講師や業界関係者などが出版しているものもあり、今では様々な角度から「声優」を学べるのも大きなメリットでしょう。
デメリット
- 有料
- テキスト中心
- 悩みの原因になりやすい
当たり前のことですが、こうした本は有料なので「買ってみたけど思ったものと違った」なんて失敗も出てきますし、基本的にテキスト中心のため実用書などはどうしてもわかりにくい部分も出てくるかもしれません。そして、よくあるのが悩みの原因になりやすいという点ですね。学校や養成所でもそうですが、たくさんのアドバイスやちょっとした業界話を聞いていくうちに、これまでのアプローチの仕方やモチベーションにちょっとした影響が出ることもあります。本も同様に多くの情報を与えてくれるからこそ、自分で取捨選択していくことが大切だと思います。
こんな人におすすめ
現在、声優を目指す人のなかには、各養成機関で学ぶ人も多くいるとは思いますが、個人的にはそうしたところで学ぶ前に読んでおくのがおすすめだと感じています。前述したように、各学校・養成所ではそうした本が必要ないくらいにたくさんの課題や教材がありますし、本に頼るよりも自分で積極的に体験した方が身に付くものが確実に多いです。また、教える側の講師としても、あれこれ手をつけられるよりも教えたやり方で順序立ててという方が好ましいはずですから。しかし、現在のところ独学、あるいは今後目指そうか悩んでいる人にとっては、業界の仕組みを知ったりいくつかの練習を実際に試してみることで得るものもきっと多いと思います。もちろん、各書籍で内容が異なるので、読者それぞれのステージやタイミングによって受け取り方も変わってくるかもしれませんね。
以下では、僕自身がこれまでに読んできた本の中でおすすめの本を取り上げてみたのでぜひ参考にしてみてください。
おすすめの声優本
「話し方」に自信が持てる1分間声トレ/秋竹朋子
ビジネスボイストレーニングスクール「ビジヴォ」代表で、国内外の音楽コンクールで多数の受賞歴がある秋竹朋子さんの人気セラー。ビジネスマンや一般層向けなだけあって、前半は基礎的な発声や滑舌の改善、後半ではコミュニケーション力向上のコツなどがイラストを添えてわかりやすく紹介されています。「ボイストレーニングを継続して行いたい」「発声、滑舌、喋り方のクセを治したい」といった疑問に様々な練習方法で応えてくれる一冊です。
「稼ぐ!」話し方/真地勇志
『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』『秘密のケンミンSHOW』など、お茶の間の人気番組に数多く出演してきたナレーター・真地勇志さんの著書。声優・ナレーター志望者が身につけるべき発声・滑舌はもちろん、卓立方や間の操り方、想像力や表現力を養う練習方法やコツが柔らかい文体でまとめられています。所属する「青二プロダクション」の付属養成所で講師も務めてこられたこともあり、生徒の目線で初歩から発展的な内容まで幅広くカバーしたおすすめの声優本です。
売れる声優になるためにあなたが今しなければいけない30のこと/平光琢也
『テニスの王子様』『HUNTER×HUNTER』の音響監督ほか、舞台演出なども手がけてきた平光琢也さんの著書。制作現場の立場から、どういった声優が求められているのかを客観的な視点で知ることができ、オーディションやボイスサンプルといった実践的なアプローチ方法も具体的に記されています。やや専門的で奥が深いだけに、演技経験者やオーディション経験者ほど共感できる部分が多いと思いますが、今後こうした道を目指していくなかでも繰り返し読める内容が詰まっています。
声優道 死ぬまで「声」で食う極意/岩田光央
『AKIRA』金田正太郎で有名な声優・岩田光央さんによる新書サイズながらも読みごたえのある声優本。これまでの著者の声優人生をもとに、前半で業界の現状や仕組み、声優志望者の問題点などを挙げた上で、第4章では声で食っていくための「極意」を展開。的確かつストレートな言い回しで綴った内容なだけに、"本気で声優を目指す人"にこそ読んでほしい一冊です。
まとめ
というわけで、今回は「声優本」を検討する前に知っておくべきポイントを解説してきました。今では、学校や養成所で学べるだけでなく、ネットを使って多くの情報を知ることができる便利さがありますが、実際のところ、こうした専門書や実用書でなければ知り得ないこともたくさんあったりします。
自分自身が、目指す過程で行き詰まったときや視野を広げたいときなど、気になった本を手にとってみることで解決できることがあるかもしれません。