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2026. 01. 14
学園長コラムコラム70「2026 World Cup」
サッカーに関心のない人には申し訳ない。今回の話はサッカー一色です。
私がサッカーに夢中になったキッカケは、1968年メキシコオリンピックで日本代表が銅メダルを獲得したことにあります。
釜本、杉山らが活躍したこのとき、私は小学校6年生だった。
みなさんご存じかどうかわからないが、当時のオリンピックはプロが出場できず、アマチュアのみのスポーツ大会であった。
陸上競技や水泳、体操など、多くの競技にはそのスポーツを職業とするプロフェッショナルはほとんど存在しなかった。
野球は当時からプロが存在していたが、野球が愛されていたのはアメリカと日本ぐらいで、世界大会の対象競技ではなかった。
当時あるいはそれ以前から世界中にプロが存在していたスポーツはサッカーぐらいしかなかった。
従って、プロが出場しないサッカーはオリンピックでは注目されない競技であった。
残念ながら日本では当時、サッカーはマイナー競技であり、プロは存在せず、アマチュア日本代表がそのまま日本代表でもあった。
しかしながらメキシコ大会の三位決定戦、つまり銅メダル獲得戦はホームであったメキシコと日本の対戦となり、
スタジアムはメキシコ人で埋め尽くされ、異様な雰囲気がこのとき初めての衛星中継で多くの日本人にも注目された。
ちなみに決勝戦はハンガリーとブルガリアの対戦であり、東西冷戦時代と呼ばれていたこの時代、
共産主義・社会主義であった東側諸国にはスポーツのプロ選手は存在しなかったので、
理由は異なるが日本同様に東側諸国のアマチュア代表はその国代表と一致しており、
両国以外の優勝候補だった国はソヴィエト連邦やチェコ・スロバキアらだった。
オリンピックで日本が銅メダルを獲得したことは日本国内で大きく報道され、このとき日本中の中学校にサッカー部が生まれた。
私が小学校を卒業して中学へ入学すると、できたばかりのサッカー部の先輩はほとんどがサッカー未経験者だった。
私が中学2年だった1970年、ワールドカップがメキシコで開催された。
サッカー・ワールドカップは第一次世界大戦後に生まれ、第二次世界大戦のときの中断をはさんだものの、
今なお続いており、今や世界中から注目されるスポーツ大会となっている。
ワールドカップと言えばサッカーの世界大会を指し、他のスポーツでワールドカップが始まるのはずっと後のことだった。
1968年のオリンピックで銅メダルを獲得した日本代表、1970年のワールドカップに出場することを、
私を含めた日本中のサッカーファンが期待した。
当時のワールドカップは出場16チームしかなく、2026年大会の48チームの3分の1しかない。
その上、アジア枠は1つしかなく、東アジア予選と西アジア予選を勝ち抜いた2つのチームのうち最終決戦を勝ち抜いた1チームだけが出場できた。
その東アジア予選で、日本は韓国に勝てなかった。
ホーム&アウェイの東アジア決勝戦で、韓国は朝鮮戦争の後遺症で競技場・競技環境を整えることができず、
両試合ともに日本の国立競技場で戦うことになった。日本は引き分けと敗北であり、勝つことができなかった。
東アジア予選を勝ち抜いた韓国は、当時の西アジア勝者のイスラエルと戦ったが、
韓国もここで敗北し、ワールドカップ出場の夢をかなえることはできなかった。
唯一のアジア代表となったイスラエルだったが、ワールドカップ一次リーグでイタリア、スウェーデン、ウルグアイと戦い、
一勝もできずに決勝トーナメントには進出できなかった。
東アジア代表になれなかった日本、アジア代表になれなかった韓国、一勝もできなかったアジア代表イスラエル。
日本と世界の距離のなんと大きかったことか。
1998年フランス大会に初出場を果たした日本代表が一次リーグを三戦全敗で終えたことはさびしいことではあったが、
1970年大会を知る私は心の底から「ご苦労様、よく頑張った」と思うことができた。
さて、ここからITの話につなげます。
前回2022年のカタール大会、対スペイン戦でいわゆる「三苫の1ミリ」が話題になりました。
ボールがゴールラインを割ったかどうか、ギリギリ1ミリだけラインに重なっていたことが画像で判明し、ボールは外に出ておらず、
プレーは継続、日本の得点につながり、これが決勝点となった件です。
このように審判の判定に貢献するだけでなく、観客や視聴者を納得させ、感動させることが可能となりました。
可能にしている技術はカメラだけでなく、AIや画像処理なども。
あまり報道されることはありませんが、例えば前半終了時や試合終了時に、両チームのボール保有率や、
選手ごとの走行距離が示されますが、これらもITなくしては実現できないものです。
また、例えば日本代表が対戦チームを事前にチェックしようと思えば、
過去の試合の映像などを分析する必要がありますが、ここでもITが活躍します。
今回のテーマは「サッカーとIT」ではなく、「あらゆるものとIT」です。
かつてIT技術者は、IT企業に勤める以外の選択肢を持ちにくかったものですが、
20世紀の終わりごろにはすでに、金融機関や高度な技術を活用する製造業各社、サービス業各社は独自のIT人材を抱えるようになっていました。
そしていま、IT技術者は「あらゆる」と言ってよいほどに様々な業種・業態の企業あるいは官公庁・自治体からも求められています。
小学生のときにサッカーの面白さを知った私は、当時、サッカーがコンピュータや機械と関係を持つとは夢にも思わなかった。
IT企業に就職した今から46年前、仕事で使う技術がサッカーと関係を持つとは、想像すらできなかった。それがいまつながっている。
ITの活用範囲は限りなく広がるものと思います。
以上

<プロフィール>
東京工業大学理学部数学科卒業。
ITエンジニアとしてコンビニ、アパレル、保険、銀行、人材派遣など様々な業界のシステム開発を手がけ、現在は株式会社クレスコ社外取締役、ユーザー系企業・顧問 情報活用コンサルティング、IT系企業・顧問 事業戦略策定コンサルティングを兼務。「ダメなシステム屋にだまされるな」(2009年日系BP)など、IT関連の著書も多数。
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