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2020. 06. 08

学園長コラム

【学園長コラム vol.30】30歳になったときを想像してみる

来年の自分の姿を想像することはむずかしくない。
一方、四十歳や五十歳の自分を想像することはちょっと不可能じゃないかな？
情報技術の世界に入る人に是非、トライして欲しいのは三十歳前後の自分の想像だ。

この世界に入ると、まずある特定の要素技術や開発環境に囲まれる。
例えば、「このハードウェアの上で動くソフトウェアを開発する」
「プログラミング言語はこれ」「通信に関してはこのモジュールを使う」
「参考にするプログラムはこれ」「ドキュメントはあれとこれをしっかり記述すること」など。

こういった状況で短かければ三ヶ月、長ければ数年間を過ごすこともある。
そして、この状況はいつまでたっても忘れないぐらいの強いインパクトを持つものだ。
ちなみに、私の「最初」は四十年以上も前になるが、今でもかなりな部分を思い出すことができる。

次に「別なプロジェクトを担当する」ことが三ヶ月後だったり数年後になったりするものだが、
二つの別な環境を経験すると、いろいろなことが見えてくる。

「ハードウェアは全然違うのに、言語は同じ」
「言語は全然違うのに、プログラムの構成や組み方がそっくり」
「ユーザーが全く違う人たちなのに、セキュリティの考え方が同じ」など。
さらに三つ目、四つ目になってくると、「この仕事で大事なこと」とか「自分が得意分野にしたいこと」
が見えてくることがある。こうなってくると面白い。

三年とか五年が経つと、自分のチームに新人や経験の浅い人が配属されることがある。
上司や先輩から「教育担当をしてくれ」と言われることもあれば、そうでなくとも教えることが出てくるだろう。
「どう説明するとわかりやすいのか」「厳しく守るべきルールと、自分の裁量で考えてよい部分の境界はどこか」
などと悩むこともあるだろうが、実はその悩みが自分自身を成長させることに気づくはずだ。

三十歳ぐらいになると、ある仕事を完全に任されたり、数名のチームのリーダーに任命されたり、
それまで接点のなかった上司や顧客や他の会社の人たちとコミュニケーションをとるといった役割も出てくるだろう。
これまでの実績からある程度の自信はついている。
しかし同時に全く未経験な立場や仕事にも挑戦しなくてはならない。
大人の顔になってくるはずだ。もちろん四十歳や五十歳の落ち着いた顔とは違う。
自信はあるが、まだ見ぬ世界は相当に広く、まだまだ自分がこの先どうなっていくのかわからない、
しかしそのことが怖いわけではなく、楽しみでもある。

情報技術の世界に没頭し努力を続けていくと、三十歳ぐらいで「モテる」のだ。
顧客にモテる、他の技術者にモテる、先輩にモテる、後輩にモテる、
ハードウェア担当者にモテる、セキュリティ担当者にモテる、など。
もちろん異性にモテる場合もある。

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