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2020. 01. 20
学園長コラム【学園長コラム vol.23】AIはこれから(3)
前回、「AIはこれから(2)」で、
1)百貨店とそこにある各ブティックで戦略的なAI活用事例があることを述べました。
この種の事例は今後、世界中の大都市で広まるものと考えます。
百貨店やショッピングモールなど、一つの巨大企業・巨大組織が、そこと契約している多くの小売店舗等と、
いわばWin-Winの関係を気づくためにAI分析システムを作る。このハードルは決して高くない。
それでは今回は、もっとハードルが高い事例、まだ世界でも実現されていない空想事例を紹介したいと思います。
これが実現すれば、インターネットのように、次々に参加者が増え、
それによってこのネットワークがさらに価値を増し、
そのことがさらなる参加者を呼び込むという好循環が生まれるものと考えられます。
一つの街を考えます。
たとえば東京・吉祥寺駅の北口、400m四方ぐらいのエリア。
このエリアの要所にカメラを設置し、前回の百貨店のように人物と、そしてクルマを撮影する。
人物の顔やクルマのナンバーにはボカシを入れ、個人が特定できないようにする。
このエリアで駐車場を経営する会社は、クルマの流れと駐車場稼動状況のデータを併せて分析し、
適正かつ競争力のある価格を設定し、タイムリーに変更する。
一方、クルマでこのエリアにやってきた消費者は、駐車場の空き情報、価格情報、
クルマの流れから目指すべき駐車場を決める。
この情報を見たうえで駐車場を決めたクルマ1台につき、駐車場は50円をシステム運営会社に支払う。
あたかも、インターネットの検索結果から自社サイトへ誘導できたときに検索サイトに少額を支払うように。
このエリアの飲食店は、店の出入り口にカメラを設置し、人の出入りを、
「客か、従業員か」をAIが判断し、それによって、店の混雑具合がリアルタイムにわかる。
さらに人気店なら、店の前の待ち行列を撮影して、推定待ち時間をAIが算出する。そ
の情報がIoT技術によって自動的にサイトにアップされ、消費者はスマホで、空き具合を見ることができる。
この情報を飲食店紹介サイトと連携すれば、集客効果は一気に高まるだろう。
これによって来店した顧客一人につき、システム運営サイトが20円とかを請求すれば、
運営費をかなり賄うことができるだろう。
来店したお客様に対して、吉祥寺のどこを歩いているときに予約をしたかが店にもわかるので、
遠くからのお客様にはドリンクサービスなどによって、お客様のロイヤリティに応えることもできるだろう。
人やクルマの流れのデータは、この地域の防犯対策や安全対策にも使用できる。
商店会や警察が、どれだけ利用料を払うかはわからないが、このシステムのユーザーになりうる。
百貨店とブティックという閉じられた空間の限定メンバーだけの間から、
このようにオープンな使い方に至るにはハードルがあることは事実だ。
しかし、インターネットと同様に、この動きは、広がれば広がるほど参加者が増え、
好循環が機能するスキームでもある。
ITカレッジ学園長 佐藤 治夫
<プロフィール>
東京工業大学理学部数学科卒業。
ITエンジニアとしてコンビニ、アパレル、保険、銀行、人材派遣など様々な業界のシステム開発を手がけ、現在は株式会社クレスコ社外取締役、ユーザー系企業・顧問 情報活用コンサルティング、IT系企業・顧問 事業戦略策定コンサルティングを兼務。「ダメなシステム屋にだまされるな」(2009年日系BP)など、IT関連の著書も多数。
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