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2019. 12. 30
学園長コラム【学園長コラム vol.20】ビル・ゲイツとの出会い
残念ながら私は実際にはビル・ゲイツ氏に会ったことがない。
しかし、彼の存在を強烈に感じたことが何回かあった。
彼は1955年生まれ、私は1956年生まれ。同世代だ。
天才の彼と凡才の私を比較するのはおこがましいが、彼が有名になる前に、私は彼の存在を知った。
1980年代、私がIT企業の若手のとき、彼はハーバード大学に籍を置きながらも、
アルバイトでITの仕事にのめり込んでいた。
当時、PCとかパソコンという言葉はまだ流通しておらず、
小型コンピュータを英語ではmicro-computerと呼んでいた。
プログラミング言語にはコンパイラ型とインタプリタ型の両方があるが、
小型コンピュータでは後者が主流であり、インタプリタ型の言語の代表格がBASICと呼ぶ言語だった。
そして、それをビル・ゲイツ氏と彼の先輩の二人が中心となって作っていた。
私は入社以来、超大型コンピュータとその上で動くコンパイラ型言語を駆使して
ブイブイ言わせていたが、小型コンピュータが日本でも出回るようになり、
中堅企業の小型コンピュータ上で動くソフトウェアを開発担当することになった。
そのとき「BASICで開発せよ」と指示され、「この言語は、キミと同世代の学生が
バイトで作ったものだから、ちゃんと動くかどうかわからんけどね」と先輩に言われたことを覚えている。
このとき、はじめてビル・ゲイツ氏を私は意識した。
その後の1990年代前半、小型コンピュータではアップル社のマッキントッシュが
世界を席巻していた頃、私が所属していた部署では、マイクロソフト社のウィンドウズ3.1の上で動く
金融機関向けシステムの開発を進めていた。
マックほど見やすくなく、様々な実績もないけど、とにかく安い。
この実績のないOSの上で、リアルタイムに証券市場から伝送される価格データを取り込み、
表計算ソフトであるエクセル上に表示させるという超難問に取り組むことになった。
ここで再びビル・ゲイツ氏と出会った。心の中で。
その後、ウィンドウズ95が出て、ようやくマックに並び、あるいは追い越し、私はその記念に、
自宅にウィンドウズPCを大金はたいて購入した。ボーナスだけでは不足だった。
私は同世代のスティーヴ・ジョブズ氏をも敬愛している。
二人とも天才だ。しかし、たぶん、二人とも近くで付き合うとイヤなヤツだと想像する。
ビル・ゲイツ氏は、米国の大金持ちに似合わず、運転手付きの高級車ではなく、
自分でレクサスを運転しているという。そこだけ、私はマネをした。
ITカレッジ学園長 佐藤 治夫
<プロフィール>
東京工業大学理学部数学科卒業。
ITエンジニアとしてコンビニ、アパレル、保険、銀行、人材派遣など様々な業界のシステム開発を手がけ、現在は株式会社クレスコ社外取締役、ユーザー系企業・顧問 情報活用コンサルティング、IT系企業・顧問 事業戦略策定コンサルティングを兼務。「ダメなシステム屋にだまされるな」(2009年日系BP)など、IT関連の著書も多数。
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