ニュース&トピックス
News
2020. 01. 06
学園長コラム【学園長コラム vol.21】AIはこれから(1)
AI(Artificial Intelligence)人工知能はこれから大きく普及するということを何回かに分けて述べたい。
まず最近報道された事例を二つ。
一つ目はTVニュースでやっていた。
金融機関のATM設置場所にカメラを取り付け、
振り込め詐欺の被害に今にも会いそうな人を見つけるというもの。
携帯電話で詐欺師の指示に従いながら振り込み操作をしている人は、その様子からわかるという。
多くの金融機関では、銀行員やガードマンのような人がATMの近くに立っており、
怪しいと感じたら声をかけるようにしているが、報道された金融機関では、
人ではなくカメラ映像を解析したAIが怪しいと認識し、それをもとに銀行員がやってきて声をかけるというもの。
もう一つはネットのニュースで紹介されていた。
百貨店の屋上でのハト被害を抑えようという試み。
多くのハトが、人が手に持つスナック菓子などをねらって、中には飛びついてくるものもあるという。
ここではドローンを飛ばしてハトを追い払うということだが、ハトがどこにいるか、
人がどこにいるかをAIがドローン映像解析から判断し、効果的かつ安全なドローン飛行を実現しようというもの。
二つの事例に共通していることは、これまで人間が目で確認していたことを、
AIを活用して機械にやらせようということだ。
つまり人間の作業を機械に代替させるというアプローチであり、
人と機械ではどちらが安いか、どちらの方が費用対効果が良いか、ということが導入の判断を左右する。
このアプローチはITに限らず、これまでのあらゆる機械化でとられてきたものだ。
このアプローチによってこれまでの数十年間、コンピュータやネットワークが普及し、
様々な業務が機械化されてきた。
一方、このアプローチとは異なり、別な観点から登場し、普及した技術もある。
その代表例がインターネットだ。
インターネット以前の世界では考えもしなかったことが、次々に現実のものとなってきている。
例えば、田舎で小さな養蜂業を営む人が、世界中からハチミツの注文を受け、ネット通販をやっている。
こういった例を冒頭の二つの事例と比較してみよう。
冒頭の事例では、金融機関も百貨店もいずれも大企業であり、資金が豊富だ。
それぞれ顧客のために人件費をかけてやっていたことを、機械で代替してより安価に、
より費用対効果を良くして継続しようという試みだった。
ところがインターネットの事例は、
それまでは夢物語であったような実現可能性のきわめて小さなことがいま、実現している。
AIはインターネットのように、これまでの世界を変えるような技術であることを次回以降で述べていきたい。
ITカレッジ学園長 佐藤 治夫
<プロフィール>
東京工業大学理学部数学科卒業。
ITエンジニアとしてコンビニ、アパレル、保険、銀行、人材派遣など様々な業界のシステム開発を手がけ、現在は株式会社クレスコ社外取締役、ユーザー系企業・顧問 情報活用コンサルティング、IT系企業・顧問 事業戦略策定コンサルティングを兼務。「ダメなシステム屋にだまされるな」(2009年日系BP)など、IT関連の著書も多数。
▼バックナンバーはこちら▼
【学園長コラム vol.1】毎日の仕事はITだらけ
【学園長コラム vol.2】プログラミングの初仕事
【学園長コラム vol.3】世界を変えるためにやっている
【学園長コラム vol.4】異常終了 - アベンド -
【学園長コラム vol.5】天才ユーザー(アパレル)
【学園長コラム vol.6】等比数列の和の公式
【学園長コラム vol.7】業種とIT
【学園長コラム vol.8】世界のIT
【学園長コラム vol.9】Win - Win - Win
【学園長コラム vol.10】Why don't you come to me?
【学園長コラム vol.11】経済産業省が鳴らす警鐘
【学園長コラム vol.12】AIとIoT
【学園長コラム vol.13】天才ユーザー(コンビニ)月曜夜9時の少年ジャンプ
【学園長コラム vol.14】天才ユーザー(百貨店)
【学園長コラム vol.15】メガ、ギガ、テラ
【学園長コラム vol.16】バッチ処理
【学園長コラム vol.17】恐怖の無限ループ
【学園長コラム vol.18】金持ちを目指せ
【学園長コラム vol.19】英語
【学園長コラム vol.20】ビル・ゲイツとの出会い