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2025. 06. 05
学園長コラム【学園長コラム vol.64】標準化
皆さん、こんにちは!総合学園ヒューマンアカデミー ITカレッジ
佐藤 治夫 学園長の業界コラムvol.64です。
私がIT技術者として社会人デビューしたのは、もう45年以上昔のことになります。
その当時はIT(Information Technology:情報技術)という言葉を使う人はおらず、
私はプログラマの卵としてデビューし、システムエンジニアと呼ばれるレベルに至ることを目標としていました。
みなさんご存じのとおり、プログラムはまず翻訳時(コンパイル時)に文法エラーが出ないことが第一、
そして次に正しく稼働することが第二、というか、ここまで到達しないとプログラムとは呼べない、
あるいは給料を頂戴できない。
今でも初めて(正しく)動いたプログラムの名前を憶えていますし、
数週間を費やした難解なプログラムの名前も忘れられません。
さて、文法エラーがない、正しく稼働する、この次に重要なことは何でしょうか。
私は当時、個性的であること、これが大事だと考えていました。小説でも漫画でも、
絵やセリフがおかしくないとすれば、いかに面白いか、他と違うかが重要であったのだから、
プログラムも同じだと考えていたのです。
これが全くの誤解。先輩諸氏に詳しく教わりました、いや叩かれました、かな。
「お前が組んだプログラム、2年後に別な人が修正せねばならないとしたら、何が重要か考えてみろ」
といった教育的指導を受けたのです。
「読みやすいこと」「わかりやすいこと」と考えた私を先輩は「当たり前だ、そんなことは」と一蹴し、
「標準化って言葉、知っているか」と切り込んできました。実は新人研修のときに聞いたことはあった言葉でしたが、
意味あるいは重要性は全く理解できていませんでした。
たとえば蓄積された入力データを1件ずつ読み込んで、何らかの計算処理等を施して出力するプログラムを考えてみましょう。
誰が組んでも同じようなプログラムになりそうなものですが、たとえば、入力データがたまたま1件も存在しないとき、
あるいは最後の1件を処理して次の入力データを読み込もうとしたとき、プログラムのどこで判断させるか、
実は何通りかの方法があるということを、私は社会人デビューしてから1年後ぐらいに気づきました。
さらにその2年後ぐらいに私の8年ほど先輩が5年ぐらい前に作った超難解なプログラムを修正せねばならなかったとき、
標準化の必要性・重要性を身に染みて理解したものです。
この先輩の組んだプログラムは実に個性的でした。
つまり、趣味などで自分一人が楽しむのであれば、標準化は不要です。
しかし、会社などの組織で、あるいは仕事としてプログラムを作る際には、標準化は必須なのです。
当時、会社員はみなスーツでした。これも一つの標準化。私は標準的なスーツを着てはいましたが、
ネクタイで個性を出そうと努力し、よく「なんじゃそれ」と周囲から突っ込まれていました。
以上

<プロフィール>
東京工業大学理学部数学科卒業。
ITエンジニアとしてコンビニ、アパレル、保険、銀行、人材派遣など様々な業界のシステム開発を手がけ、現在は株式会社クレスコ社外取締役、ユーザー系企業・顧問 情報活用コンサルティング、IT系企業・顧問 事業戦略策定コンサルティングを兼務。「ダメなシステム屋にだまされるな」(2009年日系BP)など、IT関連の著書も多数。
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