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2019. 10. 07
学園長コラム【学園長コラム vol.8】世界のIT
世界中のいかなる国においても、IT利用は急拡大を続けていますが、
その国によって個性があるので、その代表例をいくつか紹介します。
最初は米国。
コンピュータを発明し、インターネット、電子商取引、SNSなど
新たな技術、新たな概念を次々に生み出している米国はIT先進国の断然トップです。
その経済規模、グローバル企業の多さと強さ、多様性と自由を重んじ、
失敗には寛容な国民性は、今後ともにIT活用の最前線を疾駆することが確実です。
世界中から優秀な頭脳が集まることもこの理由の一つ。
次にイスラエル。
イスラエルは小さく、戦禍を何度も経験し、工場設備や農業施設、道路などの
インフラもいつ爆撃に襲われるかもしれず、産業が育たない国土であるといえます。
ITを除いては。
インターネット以前、パソコン通信と呼ぶ電話回線とPCをつないだネットワークが
世界の主流だったころ、コンピュータウィルスの多くはイスラエル製と噂されました。
そして、ウィルス対策ソフトでイスラエル人が活躍しました。
自国経済に希望が持てない優秀な頭脳は、米国を中心とする世界を照準に定め、
ウィルスとその対策ソフトの両方を作れば生きていける。このことの証拠はありません。
しかし多くの人がそう信じています。
イスラエルの名誉のために違う事例を一つ。
人工知能を使って、ツィッターやFacebookなどのSNSのテキストを分析し、
新薬の評判などを分析して製薬会社に提供している画期的なIT企業などがあります。
インド。
数千年の歴史を持つ人種差別制度であるカースト制は
数十年前に憲法で廃止が宣言されましたが、まだまだ根強くあります。
靴磨きの息子は靴磨きにしかなれず、屋台で野菜を売る者の息子は店舗を構えて
野菜を売ることさえできないのがカースト制。
しかし、父親がITであったインド人は存在せず、現在のIT技術者の全員が、
実質的に自分のカーストを抜け出してITの世界に入ってきました。
国は大きいものの、社会インフラの整備はまだまだであるインドはイスラエルと同様に、
米国や欧州などをターゲットにしてIT事業を展開しています。
IT企業の業務品質を計るCMMIという世界的な指標がありますが、
この査定で最高レベルを獲得しているIT企業の数はインドが突出しています。
インド人の数学や理論好きといった性質がその理由の一つかもしれません。
さて、日本。
工業など多くの産業分野で米欧のまねをしてきた日本ですが、
ITはその国土、国民、歴史の強みを発揮できないと世界で活躍できません。
何を面白いと感じ、何に妥協しないか。日本の個性を生かしたIT技術者を目指したいものです。
ITカレッジ学園長 佐藤 治夫
<プロフィール>
東京工業大学理学部数学科卒業。
ITエンジニアとしてコンビニ、アパレル、保険、銀行、人材派遣など様々な業界のシステム開発を手がけ、現在は株式会社クレスコ社外取締役、ユーザー系企業・顧問 情報活用コンサルティング、IT系企業・顧問 事業戦略策定コンサルティングを兼務。「ダメなシステム屋にだまされるな」(2009年日系BP)など、IT関連の著書も多数。
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【学園長コラム vol.2】プログラミングの初仕事
【学園長コラム vol.3】世界を変えるためにやっている
【学園長コラム vol.4】異常終了 - アベンド -
【学園長コラム vol.5】天才ユーザー(アパレル)
【学園長コラム vol.6】等比数列の和の公式
【学園長コラム vol.7】業種とIT