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2022. 11. 28
学園長コラム【学園長コラム vol.57】ワールドカップとIT
サッカーのワールドカップが始まりました。
この大会は、第一次世界大戦が終結した後、平和を祈念して始められたもので、第一回は1930年のウルグアイ大会です。
コンピュータが発明されたのは1945年ですので、1930年頃には既に研究が始まっていたはずです。
平和を祈った人々の希望とは裏腹に、コンピュータは弾道計算の目的で開発されました。
サッカーのワールドカップが1930年、1934年、1938年と続きましたが、
第三回の頃には欧州に戦雲がたれこめていて、第四回は開催されずに世界は第二次世界大戦に突入してしまいます。
第四回の大会は戦後の1950年まで待たねばなりませんでした。
私自身が記憶しているのは第八回、1966年の大会であり、このときの決勝戦では今日でも未解決?の問題があります。
決勝点となった得点が「入ったか、入らなかったか」が未だに話題になっているのです。
サッカーの得点は、ボール全体がラインを越えたときです。
従って、1cmでもライン上にかかっていれば得点ではありません。この判定は極めて困難です。
審判がラインの上に立ち、ゴールの真横からその瞬間を凝視していない限り不可能です。
しかしそれでも困難です。
このときのボールは、ゴールの上の横棒、バーと呼びますが、
バーに当たって真下に落ち、ボールの回転によって戻ってきました。
つまり、真下の地面に落ちた瞬間に、ボール全体がラインを越えたかどうかが得点か否かを決めるわけです。
この判定は人間ワザでは無理ではないでしょうか。
1966年当時、コンピュータは世界中に広がっていましたが、
これをスポーツに使おうなどと考えていた人はいなかったと思います。
スポーツ、特に長い歴史を持つサッカーは「判定は人間(審判)が行うもの」と考えられてきましたから、
21世紀に入ってビデオ判定が始まったときには世界中が驚いたものです。
今回の大会をテレビで観戦していると、サッカーがITをフル活用していることがわかります。
カメラの台数が多いことはもちろんですが、いずれもディジタル映像を記録しており、
ボールがラインを越えたかどうかだけでなく、
オフサイド判定というむずかしい判定をも立体映像を作り出して審判に無線で結果を知らせ、
視聴者にはわかりやすい映像を届けてくれます。
さらに、細かいことは報道されませんが、判定の手助けにAI人工知能を使っていることも明らかになっています。
数百年も以前から人々に愛されてきたスポーツさえもが、ITを活用しています。
農業や漁業にさえITが活用されていることは言うまでもありません。
この先、全くITを使わない何かが生き残ったり、新しく生まれてくることがあるのでしょうか。
むずかしい問題ですよね。人工知能に答えてもらいたいぐらいです。
<プロフィール>
東京工業大学理学部数学科卒業。
ITエンジニアとしてコンビニ、アパレル、保険、銀行、人材派遣など様々な業界のシステム開発を手がけ、現在は株式会社クレスコ社外取締役、ユーザー系企業・顧問 情報活用コンサルティング、IT系企業・顧問 事業戦略策定コンサルティングを兼務。「ダメなシステム屋にだまされるな」(2009年日系BP)など、IT関連の著書も多数。
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