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2020. 02. 17
学園長コラム【学園長コラム vol.27】理系? 文系? それとも?
「理系」「文系」という分類は日本だけです。
日本人はその多くが大学受験を人生最大のイベントあるいは関門と考えており、
入試科目に数学や物理学があるかどうかで理系と文系にわけており、そのときの選択がその後の人生を左右する場合があります。
バカらしいと思いませんか?
日本で最も偏差値の高い学生は、文系なら中央官庁への就職をねらい、理系なら大手メーカーの研究開発職をねらう。
これらの道を否定はしませんが、米国の高偏差値学生が、まず理系分野で技術を学び、
その後、法律や経済の分野で再び学んでいることに比較すると、日本は単純すぎるというか、選択の幅がせますぎる気がします。
少なくとも米国では、優秀な若者は「ITなどの技術と、法律・経済などの両方が、
ビジネスの世界で成功する」ためには必要だと考えています。
ただし大学を二つも卒業する人は実はまれで、
ビル・ゲイツは大学の法科にいながら技術に没頭していましたし、スティーヴ・ジョブズは大学中退です。
しかし彼らの共通点は技術力と経営センスの両方がともに抜群だったことです。
実は日本でも優秀な人は、その出身が理系か文系かを見抜くことが容易ではありません。
優秀な技術者は、仲間を巻き込んだり、技術論争に勝利したり、スポンサーから資金を引き出したり、
顧客や上司を納得させるために、論理的で魅力的なプレゼンを行い、文章を書きます。
こういう優秀な技術者を理系という名前で分類したりしません。
一方、優秀な経営者には、いまや、ITを中心とした新技術の効果や課題を理解できない人はほとんどいません。
こういう経営者を文系だと分類することもない。
私たちは、理系だとか文系だとか言っていないで、そんな分類を超越した存在を目指すべきなのです。
しかし同時に、その道がたやすいものではないことを覚悟すべきです。
レオナルド・ダ・ヴィンチが最高の目標。
誰も彼を理系・文系に分類しようとは思いません。
そこで重要なヒントを一つ。新技術は若くないと習得するのが容易ではありません。
若いときに法律や経済学を頭にたたき込んだ人が、35歳ぐらいで
「ITがダメなヤツは管理職には登用できない」と言われたら、多くの人は途方に暮れるでしょう。
入門書を読むことはできても、その先の広くて深い世界に入ることは極めて困難です。
しかし一方、若いときにIT技術をたたき込んだ人が、その後少しずつ実社会の経済や法律に接する機会を持ちつつ、
35歳ぐらいで「銀行法や有価証券取引法を知らずに金融相手の責任者には登用できない」と言われたら、
優秀でやる気のある人なら挑戦が可能です。
少なくとも、逆の例よりも高い確率で挑戦する人が出てきます。
若いとき、技術を身につけなさい。
そしてその技術が世の中でどう使われ、どんな効果を生み、どんな課題を抱えているのかを考えなさい。
本当の優秀さは、数学や日本史の入試の点数では測れないのですから。
ITカレッジ学園長 佐藤 治夫
<プロフィール>
東京工業大学理学部数学科卒業。
ITエンジニアとしてコンビニ、アパレル、保険、銀行、人材派遣など様々な業界のシステム開発を手がけ、
現在は株式会社クレスコ社外取締役、ユーザー系企業・顧問 情報活用コンサルティング、
IT系企業・顧問 事業戦略策定コンサルティングを兼務。
「ダメなシステム屋にだまされるな」(2009年日系BP)など、IT関連の著書も多数。
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