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2019. 11. 18
学園長コラム【学園長コラム vol.14】天才ユーザー(百貨店)
大都市の百貨店における花形は婦人服売り場です。
2階も3階も全部婦人服で、4階の半分も婦人服、
そして4階の残り半分だけが紳士服。
こんなことはよくある。
婦人服売り場はブランド名を看板に掲げた小さなブティックの集まりだ。
ショーウィンドーにそのブランドのコンセプトを示すマネキンが着飾っており、
通路を行く顧客の注目を集めようとしている。
紳士服と違って婦人服は実に様々。
たとえば、仕事で着るのに適したものもあれば、遊びに行くときの雰囲気のものもある。
さらに、仕事の後に飲み会などが予定されているときはその中間的な位置づけだったりする。
また、肩幅を広く見せたい人と、小さく見せたい人では服の雰囲気が全く異なる。
強調したいパーツや曲線によっても違う。
だから大手の婦人服メーカーはコンセプトの異なるブランドを複数展開し、
そのそれぞれで百貨店内にブティックを出している。
こうなると、ブランドごとに、どういった客層をターゲットにするかが重要なテーマとなる。
ショーウィンドーを見た顧客が、中に入ってくれば店員の記憶に残る。購入に至れば記録も残る。
しかし、ショーウィンドーのマネキンを立ち止まって見るだけで中に入ってこなかった顧客については何も残らない。
ショーウィンドーを見ずに素通りする顧客は想定ターゲットではないだろうから無視して構わないが、
あと少しで店内に入りそうだった顧客がどういった人たちであったかはマーケティングの上で重要な観点だ。
ここではマネキンの目にカメラが設置されていて、
マネキンを注視する人物を特定し、画像を撮り、AI分析の対象データとする。
その人がいま来ている服は甘口か辛口か、タイトかルースか。
コーディネートの力量を査定することもできるし、化粧との組み合わせも採点できる。
さらに、服、鞄、靴、時計から身につけているものの総合価格を類推することもできる。
年齢層や職業タイプも今後可能となるだろう。
さらに、先日違う雰囲気の服装でやってきた人物と同一であるなどを高い確率で発見できる。
実はこの百貨店は架空です。
上記のことを検討した百貨店は実在しますが、このことがバレたらヤバいので結局、採用を控えました。
マネキンに極秘裏に撮影されていることを日本人は許さないでしょうから。
日本では大手百貨店などの巨大組織や有名人は、褒めるか叩くかの二択のごとしで、
著名百貨店が新しいことをやれば、画期的であると褒める報道をするか、
あるいは独善的、偽善的、横暴などと叩くかのいずれかに陥りがちです。
この案件は後者でしょう。
米国では既に実現している可能性があります。
しかし米国でも特に富裕層や知識層からの反発があるでしょうから、
極秘裏にやっているはずで、マスコミが事実をつかんでも黙らせる手段が米国には豊富にありそう。
中国は国家が「実験だ」「AIで米国に勝つためだ」と言って国民を黙らせることは容易そうです。
ITカレッジ学園長 佐藤 治夫
<プロフィール>
東京工業大学理学部数学科卒業。
ITエンジニアとしてコンビニ、アパレル、保険、銀行、人材派遣など様々な業界のシステム開発を手がけ、現在は株式会社クレスコ社外取締役、ユーザー系企業・顧問 情報活用コンサルティング、IT系企業・顧問 事業戦略策定コンサルティングを兼務。「ダメなシステム屋にだまされるな」(2009年日系BP)など、IT関連の著書も多数。
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