声優の仕事内容!必要な資格や目指し方は?

「声優」の仕事がアニメーション作品や海外の映画に声をあてるものだと理解はしても、具体的にどんな働き方をするのか考えたことはありますか。具体的な仕事内容や仕事場所、声を録っていく工程などを把握しておきましょう。また、待遇面や声優になるための方法も知っておくことが大切です。声優として、長く活動を続けていくための注意点や求められる人物像についてもポイントを押さえましょう。声優という職業について、詳しく解説していきます。

 

声優の仕事内容ってどんなもの?

声優の仕事といえば、アニメーションに声をあてたり、映画の吹き替えをしたりするものを想像するかもしれません。
声による演技を吹き込むことで、観る人を魅了する作品に仕上げていくことこそ、声優の存在価値を高めているといえます。
また、技術の進歩によって、ゲーム作品のキャラクターにも声が入るようになり、声優が活躍する場面も増えているのです。
さらには、ドラマCDなどに参加する人、テレビやラジオのナレーションを担当している人もいます。
企業CMなどで起用される声優も出てきており、アニメファンや海外映画好きだけではなく、一般の人々たちにも声優の存在が知られるようになってきました。
出演する作品や番組に合わせて、声による演技で人々を楽しませるのは、声優にとっては基本となる活動だといえるでしょう。

かつて、声優というのはあまり表舞台に出ることはなく、その姿を目にする機会はほとんどありませんでした。
しかし、声優への認知度が次第に上がっていくにつれて、イベントなどに参加したり、トークショーなどが開かれたりするようになったのです。
出演作品の宣伝用イベントなどへの参加だけではなく、アニメーション作品やゲーム作品の企画としてトークショーが行われることもあります。
さらに、人気声優のなかには、歌手やアイドルとしての活動に力を入れている人もいるのです。これまでの枠を超えて、歌ったり踊ったりするというのも、声優の仕事に含まれつつあります。
また、インターネットの普及からWeb上に活躍の場が広がっているという面もあるでしょう。Webラジオへの出演や動画配信などで認知度を高めている声優もいます。
そして、人気声優としてテレビ番組に出演する人もいるため、声優という仕事の幅は年々広がりを見せているといえるでしょう。
以前とは違い、人前に出ることが多くなっている声優の仕事は、「声で演技すること」だけに留まらなくなっているのです。
「あくまでも裏方」というイメージは昔のものであり、むしろ多くの人から注目されて人気を得る仕事になってきています。

仕事をする時間は、個人の仕事の取り方や仕事内容によってまちまちです。決まった勤務日や勤務時間があるわけではありません。
アニメーションの収録などでは、他の声優の都合や制作者の日程によって、夕方から行うこともあれば1日中行う場合もあります。
公務員や会社員と違って、定時まで働くといったものではないのです。そして、オーディションに通らなければ、ずっと仕事がない状態が続いてしまう可能性もあるでしょう。

休日であっても、台本をしっかり読み込んでセリフを覚え、演技を磨く時間も必要となります。仕事をしている時間以外にも、準備のために必要な時間があることも忘れないようにしましょう。
 


仕事の場所はどこ?

声優の仕事というのは、決まった勤務先があるわけではありません。
アニメーションの声あてや海外映画の吹き替え、あるいはドラマCDや音楽CDの制作などは「録音スタジオ」と呼ばれる場所で行います。
録音スタジオというのは、外からの音が一切入らない部屋に、声を収録するためのマイクが設置された場所です。
また、一口に録音スタジオといっても、参加する作品に応じて形は違います。たとえば、アニメーションや海外映画などに声をあてる場合は、
実際の作品の映像などを見ながら、複数人の声優で録音を行うことが多いのです。そのため、数本のマイクが並んだ録音場所と、映像を映すためのモニターなどが設けられています。
イベントなどに参加する場合は、開催場所へ足を運ぶ必要もあるでしょう。
アニメーション関連のイベントは、番組宣伝のイベントから作品に関わる地域とのコラボレーション企画などさまざまなものがあります。
声優としての認知度や人気を高めるためにも、人前に出る仕事での活動に力を入れる人も少なくありません。
また、人気声優になればトークショーなどに呼ばれる機会もあります。さらに、歌手活動などで人気が出てくると、ライブやコンサートに参加する場合もあるでしょう。
したがって、声優の仕事というのは、決まった職場に通勤して働くというものではありません。むしろ、毎日のように仕事場所が変わることさえあるのです。

スタジオでの収録が基本となる仕事ではあるものの、収録するスタジオも番組によって変わりますし、外に出る仕事もあります。
そのため、声優にはどんな環境でも活動ができる体力や適応力も求められるでしょう。
 

声を録る方法って?

声優にとって、声の演技というのは、基本的な仕事の1つです。
アニメーションや海外映画などの映像に合わせて声を録音する作業は、一般的に「アテレコ」と呼ばれます。アテレコをする場合、
声優はあらかじめ渡された台本を読み込んでから録音スタジオに入り、マイクの前に立って準備をするのです。
このとき、声優は声以外の音がするものはできるだけ身につけないようにします。アテレコ用のマイクはとても高性能であるため、
服の擦れる音まで録ってしまう場合もあるからです。せっかく素晴らしい演技で収録を終えても、余計な音声が入ってしまえば改めて収録し直す必要が出てきてしまいます。
そのため、録音スタジオのなかには音が鳴るものを持ち込まないように気を付けているのです。

アテレコが開始すると、声優はマイクの前に設置されたモニターから流される映像に合わせて演技をします。
担当するキャラクターの表情や動き、あるいは周囲とのやりとりなどを考えながら声をあてていくのです。
ただ、アニメーションに関してはアテレコと動画制作が並行して進められている場合もあります。
そのため、モニターに映し出される映像が不完全だったり、絵コンテ(アニメーションの流れを描いた下書き)のままだったりすることもあるのです。
こういったときには、普段以上に監督や演出家などと綿密な打ち合わせをしておく必要があるでしょう。

アテレコでは、用意された映像に合わせて声の演技を入れるという、演劇などとは違った難しさがあります。
たとえば、アニメーションでのセリフ1つをとっても、キャラクターが話している場面がすでにできあがっているため、尺に合わせて声を収録しなければなりません。
もし、声優の演技が短くなり過ぎれば、声がないのに口が動いている映像ができあがってしまいます。
逆に、演技が長くなれば、シーンが切り替わっても声だけが聞こえてくるという結果になってしまうのです。
キャラクターの心情や感情を表現しつつ、シーンの尺にピッタリと合った音声を吹き込むというのは、相当の技術や経験を求められるものでしょう。

録音を行うときは、担当している声優が全員集まって、同じシーンを一緒に収録するのが基本です。ただ、どうしても予定が合わない人がいるときは、個別で収録をしたり収録予定日そのものを変更したりすることもあります。また、収録にかかる時間は30分番組でも3~6時間程度かかるのが通常です。

収録内容や進行状況によっては、さらに長い時間がかかることもあります。それに、一度録音して終わるわけではありません。
録音スタジオの隣にあるミキシングルームには、声優の演技をチェックするためにエンジニアや監督、プロデューサーなどが待機していて、音声のクオリティについて指導を受けます。
収録した音声について納得を得られないときには、改めて演技指導が入ったり修正を求められたりすることもあるのです。
また、アテレコを複数の声優が同時に行うときには、1人の演技だけが際立ってしまってもいけません。
出演者全員の息が合っていなければ、監督などから認めてもらうのは難しいでしょう。
他の声優のクセや特徴なども把握したうえで、自分の演技を行っていくには、日頃からコツコツと勉強を重ねていく必要があります。
声優という職業自体は、個人の実力や人気を求められるものの、実際の現場では多くの人とコミュニケーションをとっていく能力も欠かせないのです。


声優から歌手になれることも!


声優が活躍する場所はますます広がっていて、アテレコの仕事とは別に、歌手としての活動に力を入れている人もいます。
以前から、アニメーション作品に参加した声優がオープニング曲やエンディング曲を担当したり、演じているキャラクターに合わせた「キャラクターソング」を歌ったりすることはありました。ただ、アニメーション作品自体が「子ども向け」というイメージがあったことで、あまり注目されていませんでした。
また、テレビドラマと比べると認知度が低かったことなどが影響していたせいか、アニメファンの目に触れるだけに留まってしまい、注目を浴びる機会は少なかったのです。

ところが、アニメーションが日本を代表するコンテンツになったこともあり、歌番組に出演する声優が現れるなど、歌手活動でも注目を集める場面も増えてきています。
アニメーションに関わる曲はもちろん、歌をテーマにしたゲームなどでオリジナルの楽曲を歌う仕事も多くなっているのです。
ゲームやアニメのなかで結成された架空のアイドルグループを基にして、キャラクターを演じている声優による実際のコンサートイベントまであります。
キャラクターのイメージを守りつつも、声優自身の個性や魅力を感じられるライブやコンサートとして、高い人気を誇っているものも少なくありません。
さらには、トップ声優のなかには、日本武道館で単独ライブを行う人までいるほどです。

プロのミュージシャン顔負けの音楽活動をする声優が現れたこともあり、声優から歌手デビューという道も考えられるようになっています。
そして、「声優ユニット」という形で、最初から歌手としての活動を中心に売り込んでもらえる場合もあるでしょう。
ただし、どのような形であっても、歌手活動には歌唱力を求められます。
この点については一般的なミュージシャンと何も変わりません。声優としての実力だけではなく、聴く人の心に響くような歌声を届けられるように努力が求められるでしょう。

芸能人として活躍する場合もある

以前の声優業というのは、声優本人が表に出ることはほとんどありませんでした。
あくまでも、キャラクターが主体であり、声優は声での出演のみという形が一般的だったからです。
しかし、声優の音楽活動が広がっていったこともあって、声優自身がメディアに登場したり、タレント活動をしたりする機会が増えています。
トップ声優のなかには、地上波の番組にゲストとして登場することもあり、芸能人に負けない活躍を見せているのです。
また、インターネットの普及によって、コンテンツの幅が広がった点も声優のタレント活動を後押ししている面もあるでしょう。
Webラジオやインターネット配信番組、動画配信などに活動の場を見出している人たちもいます。役柄をただ演じるだけの声優ではなく、声優本人の個性や魅力でファンを増やしていこうとしているのでしょう。

芸能活動では、台本や決められた筋書きに頼るばかりではなく、場を盛り上げるためのトークやアドリブも求められるようになります。
これは声優としての演技力だけでカバーできるものではないかもしれません。実際に、テレビ番組に出演するバラエティータレントやお笑い芸人に負けないユニークな一面を持つ声優もいるのです。
声優としての仕事だけではなく、本人が表に出てくることでファンの心をつかむ機会が増えています。だからこそ、より多くの才能や魅力が求められる場合も多いのです。

声優という職業を続けていくうえでは、タレントとしての活動は外せないものになりつつあります。
かつてはファンの前にさえ姿を見せることのなかったベテラン声優でさえも、メディアやイベントなどの出演を通じて、多くの人の前に立つようになってきているのです。
声優になることは、一般的な芸能人の活動と重なる部分が多くなっているのかもしれません。
「声の仕事をするのが声優」というイメージそのものが変化しつつあるのです。

声優の給料はいくらなの?

声優として活動する人の多くは「個人事業主」として仕事をしています。つまり、商店街などでお店を経営している人と同じです。
プロダクションに所属するのが一般的であるものの、個人事業主扱いだといえるでしょう。そのため、毎月決まった額の給料をもらえるわけではありません。
プロダクションなどと契約を結び、仕事の調整などのマネージャー業務をお願いしているのです。
なかには個人で事務所を立ち上げることで手数料などを抑えている声優もいます。しかし、独立して活動するには、経験や人脈といったさまざまなものが求められるため、いきなり1人だけで活動するのは難しいでしょう。

声優の収入は、時期によって大きく違ってきます。請け負った仕事によって「ギャラ」を受け取り、そこから契約したプロダクションに事務手数料を支払ったうえで、残った金額が自分の報酬です。一般的に、事務手数料はギャラの20~30%と設定されています。さらに、そこから源泉徴収(収入からあらかじめ引かれる税金)が10%程度あるため、声優が実際に受け取るのは最終的にギャラの60%ほどになるでしょう。

個人事業主として仕事を請け負うため、仕事で得られるギャラというのは個別の仕事によって変わってきます。
ただ、声優の主な仕事であるアニメーションのアテレコや海外映画の吹き替えでは、明確な「ランク分け」があるのです。声優のキャリアなどに応じて、1本の案件に対するギャラが決められています。例としては、30分番組でのギャラは最低ランクで1万5000円、最高ランクでは4万5000円といった形で設定されているのです。これを超えて上限なしのノーランクとされる声優もいるものの、何十年もキャリアがある大御所声優にかぎられます。長年声優として活躍しているベテランでも、基本的にはランクに合わせたギャラで仕事をしているのです。

しかも、声優として仕事をするようになってから最低でも3年間はビギナーという最も低いランクで仕事を受けることになります。1本1万5000円のランクで仕事をするわけですから、仮に10本の仕事を受けたとしても、ギャラは15万円にしかなりません。そこから手元に残るのは6割程度ですから、実質的な収入は10万円弱ということになるでしょう。アニメーション声優、吹き替え声優としての収入は一般的な仕事と比べたとき、収入はあまり高いとはいえないかもしれません。

ただ、それ以外の仕事の報酬には細かい線引きはされていないのです。ラジオやナレーションの仕事、あるいはドラマCDや音楽活動の仕事は、案件ごとにギャラが変わっていきます。特に、ドラマCDや音楽CDなどは、売上に応じて歌唱印税が入ってくるでしょう。これらの収入は声優自身の実力や人気にもよるものの、1つの仕事で大きな報酬につながる可能性もあるのです。実力のある声優のなかには、年収1000万円を超える収入を得ている人もいます。

しかし、こうした仕事も声優としての人気がしっかりと確立してからでなければ、得られないものがほとんどだといえるでしょう。
最初はアニメーションの脇役をもらうだけでも苦労するかもしれません。声優の仕事だけで生活できるようになるまで、長く下積み時代を過ごす人も少なくないのです。華やかな活躍の可能性がある声優という職業ではあるものの、見えないところでは大変な一面があるという点は踏まえておきましょう。

声優になる方法は?

声優の多くは個人事業主として活動しているため、声優になるための決まった道というものはありません。
極端な話をするなら、声優を募集しているオーディションに受かる実力があれば、まったくの未経験でも声優になれるのです。ただし、実際に声優として活動するための演技力などを培うには、それなりの時間がかかります。何の練習や訓練もなく、実力を持ち合わせている人はほとんどいないでしょう。
そのため、声優養成所や専門学校などに通うことで、声優として活動するうえで欠かせない知識や技術を身につけようとする人が多いのです。
養成所などで基本的な演技などを学んだ後は、「声優プロダクション」に所属することを目指します。プロダクション所属の声優となるためには、オーディションで合格しなければいけません。だからこそ、声優を目指す人の多くが養成所などで実力を磨いているのです。とても高いハードルがあり、数々の養成所を渡り歩きながらプロダクションとの契約を目指している人もいるほどで、オーディションを通るのは簡単ではありません。しかも、プロダクションに所属すれば、必ずしも声優の仕事が得られるとはかぎらないのです。声優プロダクションに所属すると、芸能事務所のようにマネージャーが付いて営業を担当してくれるものの、仕事を手に入れるには番組側のオーディションで合格する必要があります。
すでに知名度があったり、人気があったりする声優でも新人でも差はなく、オーディションで採用されて初めて仕事を得られます。ただ、サブキャラクターなどの場合は監督や音響監督などから指名が入ることもあるのです。これは演技力に定評があったりキャラクターのイメージにピッタリの演技ができたりする声優に、直接仕事を申し込んでくるというものだといえます。したがって、声優として活動を始めたばかりの人に指名が入ることはまずありません。そのため、声優として仕事を得るには、オーディションをいくつも受けながら、演技力などを高めるための練習や訓練を重ねていくのです。

声優プロダクションにはそれぞれに特徴があり、アニメーションの仕事を得意としているところもあれば、海外映画の吹き替えを中心に活動している事務所もあります。
声優としてデビューを目指すうえでも、「どんな仕事を中心に活動したいのか」を考えてプロダクションを選ぶのは大切になるでしょう。ただ、有名なプロダクションの多くは東京都やその周辺に集中しているため、希望する仕事ができる事務所を選ぼうとすれば、上京を考える必要があるかもしれません。養成所や専門学校は各地にもあるものの、声優としての活躍を願うなら、地元を離れる可能性も視野に入れるべきでしょう。

なお、養成所や専門学校で学んでいる人の多くは10代後半~20代前半です。年齢に制限を設けている学校などもあるものの、制限の無いところではもっと上の年代の人も在学しています。ですから、見聞を広めるために大学へ通ってから声優を目指すという方法もあるでしょう。四年制大学のなかには、演劇に関わる学科などを設置しているところもあるので、そこで発声や演技などを学んでから声優の道に進むこともできるのです。

ただ、それでも声優業に関わるすべてを学べるわけではないため、卒業後は養成所などで声優としての専門的な知識や技能を得る必要があります。
声優としての活動は常に実力を問われるものなので、目指す人にはそれなりの覚悟が求められるでしょう。知識や技能、演技力などを身につけて、プロダクションに所属し、オーディションに合格するまでの道のりはそれなりに長いものがあります。声優という職業を本気で目指していく、情熱を常に持ち続けることが大事になるでしょう。ただその一方で、成功すれば多くの人から賞賛を得られるものでもあるため、夢として追いかけるだけの価値はあるのです。



声優専門の学校ヒューマンアカデミーでは、声優としてデビューした先輩のリアルな仕事・生活なども
聞くことができます。