マンガのもつ面白さを再認識させてくれる「マンガ演出・コマ割のテクニック大解説セミナー」
2015年1月25日（日）、ヒューマンアカデミー東京校で「マンガ演出・コマ割のテクニック大解説セミナー」が開催されました。
講師は、綾瀬はるか主演でドラマ化され「干物女」という流行語を生み出した「ホタルノヒカリ」の作者・ひうらさとる先生と、ゲーム業界の裏側を描いてこちらもドラマ化された「大東京トイボックス」の作者・うめ先生です（うめ先生は企画・原作・演出・料理担当が小沢高広氏、作画・演出・三線担当が妹尾朝子氏のコンビです）。
人気作品を次々と生み出した3人の貴重な話を聞こうと、会場内には60人を超えるマンガ家志望者が集結し、演出方法やコマ割りなどのマンガを面白く見せるテクニック、人気作の裏側にせまる制作秘話などを聞くために、みな熱心に耳をかたむけていました。
マンガを面白く伝えて見せるテクニックとは？
セミナーの前半は「マンガ演出・コマ割大解剖」と題し、マンガのコマ割り、テクニック、演出方法などを3人の先生が徹底解剖して説明してくれるという内容です。
実際に「ホタルノヒカリ」「大東京トイボックス」のワンシーンをスクリーンに映しながら、「どのようにして読者の視点を自分の伝えたい場所に注目させるか？」や、躍動感のあるシーンの作り方、クライマックスに向けての緩急のつけ方といったテクニックや演出方法などの話を、その当時の制作秘話などを交えた話を聞くことができました。
中でも、ひうら先生が語った「作品は読んでも読まなくてもいい。でも、じっくり読んだらもっと作品は好きになると思うけどね、じゃまた来月という話の作り方がプロのマンガ家のテクニックだ」という話には共感を覚えました。
また、うめ先生が最新の3D技術を駆使した構成のやり方、説明シーンでのコマ配置の方法などに話が及ぶと、先生同士も「へぇ、ためになりますねぇ」と、感心しているご様子で、さまざまな気づきを得られる貴重な場となりました。
有名先生に自分の絵を見てもらえるワークショップ
セミナーの後半は、ベタラフの中に、学生や参加者が一コママンガを描き、先生たちに論評してもらう形式のワークショップです。
たった一コマの演出課題に、その人その人のオリジナリティー溢れる素晴らしいアイデアが集まりました。優秀作品を生み出した3名には先生たちも参加しているプロジェクト「ストーリー311 第1弾」をサイン入りでプレゼントされるという豪華なプレゼントも！
この「ストーリー311」とは今回講師で来ていただいた、ひうら先生やうめ先生はもちろん、「海月姫」「かくかくしかじか」などの作者・東村アキコ先生や、「さくら十勇士」「ホイクメン」を連載中の上田倫子先生といった実力派の11名の先生方が、東日本大震災を生き抜く人々を描いた作品を掲載し、その売り上げを寄付したというものです。2014年3月31日に絶版になったこともあり、それがもらえるということで非常に盛り上がりを見せた時間となりました。
3名の先生がおくるメッセージ
セミナーの最後には、講師の先生方から参加者へ次のようメッセージが贈られました。
ひうら先生「マンガはペンと紙があれば描くことのできる、一番お金がかからないエンターテインメント。自分で描いたマンガを人に評価してもらえる喜びはとても大きいので、ぜひ挑戦して欲しいです。私もマンガを読むことが大好きなので、楽しい作品をお待ちしています」
妹尾先生「マンガはいろいろな媒体が増えたので、機が熟せばチャンスがくるかもしれません。例え違う道にいったとしても、マンガが好きなら頑張り続けてください」
小沢先生「マンガ業界が電子書籍に参入したことで、去年は単行本の売上が20年ぶりぐらいに上向きになりました。ここからしばらく、マンガ業界全体が上昇傾向になると思うので始めるにはいいタイミングです。思いきって挑戦してください」
第一線で活躍している先生たちが伝えたいこととは？
今回のセミナーに参加し、先生方のメッセージを聞いた参加者たちは、とても有意義な時間を過ごせたのではないでしょうか？ 特に、うめ先生が語った「全部のコマを読まなくても筋を追えるということを意識することで、作品がぐっとプロに近づく」という話には、多くの人が惹きつけられていました。これからマンガ家を目指す人たちの教訓になったのはないでしょうか。
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