声優・俳優
声優は目指すべき？厳しさと魅力について
声優志望者の心構え
みなさんも進路を決めなければいけない時期になると、自分自身が本当にやりたいことや好きなことについて深く考えると思います。そのなかで、声優を目指そうと悩む人も多いかもしれませんが、世間の声を聞くと「声優になるのって大変そう...」と感じることも少なくないはずです。僕も以前、声優やナレーターを目指していたこともあり、こうしたことに深く納得すると同時に、みなさんがこの仕事に憧れる理由もものすごくわかります。厳しい仕事であるにも関わらず、毎年多くの人が目指すということはそれだけ魅力があるということですね。そこで、今回は本気で目指そうか悩む人に向けて、声優になる上での厳しさと魅力についてご紹介していこうと思います。
覚悟を決めるまで
声優を目指す第一のステップとして、まずはスタートラインに立つことだと思います。
みなさんのなかで「声優を目指す」と決めたらその瞬間からスタートなわけですが、実際のところは、心の中で迷っていたり、家族に反対されていたりなど、自分の中で決心がつかない部分も多くあるのではないでしょうか？もちろん、そこには経済的な問題や職業柄の不安などがあるかもしれませんね。しかし、ここがクリアできるかできないか、即ち覚悟を決められるか？というのは今後目指す上でものすごく大切なことなので時間をかけてでも周りと相談しじっくり考えるべきです。そして、「自分がなぜ声優になりたいと思ったのか？」を改めて問いただしてみほしいです。オーディションや審査に限らず、今後どこかで挫折しそうになったときに必ず心の支えになるはずです。
声優を目指すことの厳しさ
いざ声優を目指せば、日々のレッスンやトレーニングに励むことはもちろんですが、学校や養成所では多くの人と出会うため自然と人間関係の悩みも増えてきます。加えて、一人暮らしやアルバイトを始める人も多いでしょうから、学業と並行して様々なタスクをこなすことになりますし、ときには周りと比較して落ち込んだり、オーディションで結果が出ないと焦りも出てくるかもしれません。このあたりの学校生活は、こちらで詳しく紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
声優を目指す過程で多くの人がその夢を諦めることになりますが、なかにはプロダクションに所属が決まりデビューする人もいるかもしれませんね。このときから一個人事業主として活動するわけですが、プロになることで学校や養成所時代とは違った難しさがあったりします。日々のレッスン、講師や仲間と切磋琢磨できた環境がなくなることでより自主性が問われることになりますし、現場やオーディションへ行き、外部の業界関係者と接する機会も多くなれば人間性や社交性も今まで以上に求められます。そうして業界を広く知ることで、営業力や自己プロデュース力といった自身の売り方を考える時間が多くなるかもしれません。また、声の仕事だけで生活できるまではアルバイトなども掛け持ちすることなりますし、突然の仕事にも対応できる自己管理やスケジュール管理といった柔軟性もかなり大切です。そして、年齢を重ねていけば、同世代の友人や世間一般と比較して自分の収入や現状に悩むことも多くなるかもしれません。
以前、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』で声優の神谷浩史さんが「やっぱり僕らは日雇い労働者なので〜」と仰っていましたが、まさに、日々、多くの人が不安定で不確実のもと競争している世界です。
こうしたことから、声優業を続けていくこと自体、肉体的・精神的にもかなりハードなことです。
声優を目指すことの魅力
これだけ厳しい現実のある職業ではありますが、それでも毎年多くの人が目指す理由は、この仕事に何ものにも代えがたい魅力があるからですよね。「声を使ってたくさんのキャラクターを演じられること」「憧れの人と同じ業界で作品に携わることができる」など。みなさんの中の動機がそうした魅力の一つ一つであって、憧れや好きという気持ちはいざというときに自分を動かすモチベーションになってくれます。そして、苦い経験をすればするほど、ひとつの仕事やオーディション、自身の成長や人との関わりにありがたみを感じ、今後の自分を形成する上でとても大切な要素になるのではないでしょうか。
まとめ
今後どんな進路を選ぶにしても、得られるものと得られないものがあったりします。
そして、好きなことを続けていくにはそれだけの苦労やリスクも伴いますが、それらをすべて受け入れる覚悟ができたなら、今後みなさんも目指して良かったと必ず思えるはずです。
僕は役者に限らず、"世界は失敗してもいいようにできている"と思います。
僕も一度は大失敗しましたが、自分のために頑張り続けていれば、きっと誰かが見てくれていて、どんな失敗もいつかは取り戻す機会に恵まれると信じています。
『声優道 名優50人が伝えたい仕事の心得と生きるヒント』p.72(鈴村健一) 出版:主婦の友社
ライター：ゆうき
