声優・俳優
声優にルックスは大切?
〜これから目指す人のための声優像〜
2021年、小中学生のなりたい職業(@nifty調査)第3位に選ばれるように、アニメ・ゲーム作品のヒットにあわせて近年多くの若者から人気を集めるのが「声優」という職業ですね。メディアに登場する機会も増えたことで、"マルチ声優"や"アーティスト声優"といったように声優は声以外にも様々なことが求められる時代になりました。そして、なかでもとりわけ重要視されるのが「ルックス」です。現在、声優を目指す人の中にも、自身のルックスやスタイルに悩みを抱える人も多いかもしれません。しかし、テレビ、雑誌、ネットにSNSなど、幅広く"顔出し"が求められる時代なだけに、そのハードルもより高くなっている印象です。
そこで今回は、声優を目指すにあたってルックスの良さは重要なのか?について考えながら、あるトピックから、ルックスに縛られない新しい声優像についても紹介していきます。当たり前のようにルックスが重要視される昨今ですが、これからは誰でも実力次第で声優になれるかもしれません...!?。
ルックスは重要?
人気声優として売れるまでには、日々地道なトレーニングに加え、オーディションでの合格やヒット作品出演など、ルックス以外にも努力や実力にちょっとしたタイミングがものすごく大切だったりしますが、時代のニーズによって顔出しの機会が増えれば当然それに合わせた声優像が求められるようになるわけです。
出典:ぴあ総研調べ、映画.com「アニメハック調べ」、日本動画協会独自調査
特に、2010年代後半はライブエンターテインメント市場の拡大から以前に比べてよりルックスが求められるようになった印象です。近年はコロナ禍によって、イベントの開催が中止になったり見送られるケースが多かったものの、今後もオンライン・オフライン問わず声優がメディアに出る機会はものすごく多いと思います。なかには、こうしたアイドル声優に憧れる人も多いはずですが、今後も声優として活動していくまでの道のりはさらに険しくなるかもしれません。
そもそもアイドル声優として認められるにはどうすればいいか。それには、まずは声優としてのスキルを磨き、メインの役を勝ち取ることが大前提となります。その上で、アイドルとしてのさまざまなスキルが要求される。アイドル面を重視するなら、それなりのルックスは不可欠でしょう。その上で、歌やダンスも人並み以上にこなし、できるだけSNSのフォロワー数も稼ぎ、多くのファンが後ろに控えていることをアピールしなければなりません。
『声優道 死ぬまで「声」で食う極意』p.95 著:岩田光央 出版:中公新書ラクレ
『AKIRA』金田正太郎役で有名な声優・岩田光央さんの著書の中にも、アイドル声優を目指す上でルックスは不可欠ということが触れられていますね。加えて、ルックスはSNSのフォロワーを獲得する上でも大きな強みになるため、現状、声優(とくにアイドル声優)を目指す上でルックスはとても重要なポイントだったりします。
「バーチャル声優」の進出
こうしたことから、「自分はルックスに自信がない...」と悩む人もたくさんいるかもしれません。もちろん、ルックスが良いに越したことはないのですが、求められる人材は時代によって少しずつ変わっていくものです。当然、声優を目指す人の多くが今の声優像を追いかけるわけですが、そうした人たちが社会の中心を担う10年後や20年後の声優像は今よりも少なからず違っているはずです。そんな新しい動きが、バーチャルYouTuberとして活動する朝ノ瑠璃(あさのるり)さんのクロコダイル所属なのかもしれません。
https://twitter.com/asanoruri/status/1455015783034015748
「にじさんじ」や「ホロライブ」といった事務所でVTuberやVライバーとして活動する方は多くいるものの、声優事務所からバーチャルキャラクターとして声優活動も行うというのはすごく新しい試みですよね。 (僕が知らないだけで前例があるかもしれないですが)
もちろん、今回は朝ノ瑠璃さんの実力や活動実績が認められたことが大きいですし、顔出しがNGなことで、オーディションや活動の幅が限られたり身バレのリスクもあるはずです。しかしながら、こうして事務所がバックアップし業界全体が変わっていけば、今後自分自身の強みを活かした様々な声優が生まれてくるはずです。
「声優はルックスも大事」と言われる昨今ですが、これからは実力や影響力を持つことがより何より重要になってくるのかもしれませんね。
声優として一人前になること
ここまで紹介してきたように、声優にはルックスに加えて活動に応じたスキルにメディア戦略など様々なことが求められますが、どんな声優像にも当てはまる必要不可欠な要素は声優本来のスキルだったりします。
しかしそれ以上に考えなければいけないのは、先述した通り、やはり声優として一人前になることです。
『声優道 死ぬまで「声」で食う極意』p.95 著:岩田光央 出版:中公新書ラクレ
とりわけ学校や養成所の講師から口すっぱく言われるのが「発声」と「滑舌」で、これが磨かれていないとどんなにルックスが良くて器用にこなせても現場では使いものにならないですから...。
また、ルックスは必ずしも顔やスタイルの良さに限らず、清潔感や服装や表情など、自分自身の見せ方を研究することによって改善できる部分も大いにあると感じます。
まとめ
声優を目指す上でのルックスの良さは大きな武器になりますが、それも声優本来の磨かれた「声」や「技量」があってこそ活かされます。そして、これからさらに変化していく業界の数年後を見据えていくことで、自分自身を活かせる声優像が発見できるかもしれません。