声優・俳優
【声優本】『「稼ぐ!」話し方』(真地勇志)
近年では、声優をはじめとした声の仕事を目指す人、インターネットを通して配信活動を行う人が増えたように、様々なシーンで"声"や"喋り"のスキルが必要とされる時代ですよね。
しかし、こうしたスキルを磨こうといくつかの練習を試してもなかなか上達を実感できない人も多いはずで、「かといって、わざわざボイストレーニングに通うのも...」という人も多いはずです。
そこで今回は、こうした人に読んでほしい人気ナレーター・真地勇志さんの著書『「稼ぐ!」話し方』について紹介していきます。
実際に読んでみた感想・レビューにはなりますが、控えめに言ってかなりおすすめな一冊なのでぜひ参考にしてみてください。
『「稼ぐ!」話し方』
出典:Amazon.co.jp
- 著者:真地勇志
- サイズ:B6判 (190ページ)
- 発売日:2016/3/30 (初版)
- 出版社:KADOKAWA
【構成】
- はじめに:p.2
- 目次:p.6
- 第1章:p.11
- 第2章:p.65
- 第3章:p.103
- 特別コラム:p.140、p.142
- 第4章:p.145
- 特別対談:p.182、p.185
- おわりに:p.188
著者紹介
真地勇志/まち・ゆうじ
1962年8月8日生まれ、神奈川県出身/青二プロダクション所属/中学の時、アクション俳優を目指し倉田保昭氏のアクションクラブへ。その後、桐朋学園芸術短期大学演劇専攻で本格的に演技を学ぶ。現在、ナレーターとして多数の番組を抱え『笑ってコラえて!』『世界の果てまでイッテQ!』『秘密のケンミンSHOW』『世界ふしぎ発見!』『金曜日のスマイルたちへ』など長寿番組を数多く担当。過去にも『さんまのスーパーからくりTV』『あいのり』『ニュースJAPAN』など様々な人気番組を担当する。
出典:『「稼ぐ!」話し方』(初版) 著:真地勇志 出版:KADOKAWA
名前を見てピンときた人も多いかもしれませんが、実は、普段テレビを観る人なら誰でも一度は聴いたことのある"あの声"のナレーターさんですね。
2022年現在、人気声優、野沢雅子さん、神谷浩史さんらと同じ「青二プロダクション」に所属し、現場のみならず附属養成所や大学でも指導・教育に携わる方ということで、こちらの著書は喋りだけでなく指導者としても一流の方が執筆された本です。
それでは、そんな真地さんが培ったノウハウが1冊に凝縮された本を詳しくご紹介していきます。
書籍紹介
内容
『「稼ぐ!」話し方』というタイトル通り、この本では、いかに人を惹きつけ自分の気持ちを伝えるか?ということが主眼となっており、原稿の文字をただ綺麗に読むのではなく、聴き手(視聴者)を意識した伝え方のコツ(感情、テクニック、トレーニング法)について全4章に渡って綴られている「読む」から「語る」への実践書とでも言うべき一冊です。
ある番組で、東日本大震災で父親を亡くした青年が、天国で見守ってくれているお父さんに届けという気持ちで、用意してきた原稿を一生懸命読んでいました。
とても感動的なもので思わず私も涙が出てきました。
ではなぜ私をはじめ、聞いている人達の心に響いたのでしょうか?
それは、原稿を「読もう」としたのではなく「伝えよう」としたつまり、「語った」からです。
出典:『「稼ぐ!」話し方 』p.42-43(初版) 著:真地勇志 出版:KADOKAWA
この一文にもある通り、人は誰でも「語る」ことができれば、自然と相手に「伝える」ことができると綴られています。
第1章では、この「語る」という目的から上手な話し方として大切な3つのポイント、そして意識のあり方や喉のケアまで基礎的なことが書かれてます。
第2章では、実際に試して行うトレーニング方法として、喉や体の使い方・滑舌の上達法などが紹介され、続く第3章で、感情やテクニックを磨く間の取り方や抑揚といったより深掘りした内容になります。
最後の第4章では、真地さんが実際に養成所や大学の授業で伝えているようなプロ志望向けな内容が紹介されていて、引き出しの増やし方や柔軟性、ボイスサンプルや自己PRのアドバイスなど、基礎から応用まで幅広くフォローした充実の内容ですね。
感想・レビュー
僕自身も、普段から真地さんのナレーションを聞いて参考にさせてもらっているように、この本を見つけた瞬間はすぐに買ってしまいました。
そんな個人的な主観も多少含んではしまいますが、以下で実際に読んでみた感想などを紹介していきます。
良かった点
まず最初の感想としては、専門的な内容なのにとにかく理解しやすく読みやすかったことですね。
他にもたくさんの書籍を読んではきましたが、こちらは写真や図だけでなく文字にもしっかりと文飾が施されていて強調部分や重要なポイントが視覚的にわかりやすかったです。
文字の間隔や大きさも程よく、個人的にはかなり好みなレイアウトでした。
とくに印象的だったのは、実際のオンエアの原稿をもとに紹介する「伝え方」のアプローチで、これは声優学校や養成所でしか教わらないレベルの内容が記述されています。
また、真地さんの実体験や現場での経験談、間に挟んだ柴田秀勝さん、沢城みゆきさんらの「コラム」「対談」も参考になりました。
気になった点
あえてネガティブな点を挙げるとすれば、良すぎた内容だけに"第5章"以降というか、もっと深掘りした内容が知りたかったというところでしょうか。
どちらかといえば実用書的な内容なので、真地さんの哲学や思想をさらに引き出した内容であればもっと読みごたえのある一冊だったと僕は感じます。
そうしたことを考えると、また別の形で著書が出版されることを期待してしまいますね。
こんな人におすすめ
先述した通り、専門的でありながらもわかりやすいため、読書に慣れた人から苦手な人まであらゆる世代におすすめできる一冊です。
なかでも、将来、真地さんのような"声で伝える仕事"を目指す人には、とくに読んでほしい内容がぎっしり詰まっています。
文体も柔らかく各テーマごとに丁寧に解説されているので、気負いすることなく取り組めるポイントから始めやすいのも良いですね。
まとめ
というわけで、今回は人気ナレーター・真地勇志さんの『「稼ぐ!」話し方』について解説してきました。
ナレーターの著書は意外と少なかったりしますが、真地さんの25年以にわたって積み重ねた「話し方」のノウハウが千円ちょっとで学べるのは正直かなりお得だと思います。
どんなシーンであれ、これから"声で稼ぎたい"という人はぜひ持っておくべき1冊です。
ライター:ゆうき