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配信は2年前「スイカゲーム」今、急に売れ始めた訳

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2023年にNintendo Switchでもっともダウンロードされたゲームが何だったか、皆さんは知っていますか?

強力なライバルたちを抑えてトップに立ったゲームの名前は「スイカゲーム」(https://www.aladdinx.jp/pages/suika-game)。遊んだことはないけど動画で見たことがあるという人も多いかもしれません。このゲームがなぜこれほどの大成功を収めたのか、その理由についてひも解いていきましょう。

【目次】

①2021年発売のゲームが2023年に大ブレイク!

②そもそも「スイカゲーム」ってどんなゲームなの?

③配信人気でランキングに躍り出る

④中毒性のあるゲーム性にも注目

⑤まとめ

<①2021年発売のゲームが2023年に大ブレイク!>

「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」や「PIKMIN4」「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」といった大人気シリーズの続編を抑えて、Nintendo Switchの「2023年 年間ダウンロードランキング」1位に輝いたのは「スイカゲーム」というパズルゲームでした。

このゲームを販売しているのは「Aladdin X」という耳慣れないメーカーで、発売されたのはなんと2021年の12月。2年近く前に発売されたタイトルが一躍トップの座に躍り出たことになります。

<②そもそも「スイカゲーム」ってどんなゲームなの?>

「スイカゲーム」とは一体どんなゲームなのでしょうか?大本は中国のソーシャルメディア企業「米兜科技」が2021年1月に配信を開始した、「合成大西瓜」というブラウザゲームです(https://www.wesane.com/game/654/)。

中国で爆発的ヒットを収めたこのゲームを、家庭用プロジェクターを製造販売する「popIn」(事業譲渡による新会社設立で現「Aladdin X」に)が、自社のプロジェクターで遊べるダウンロードコンテンツとして、2021年4月にアレンジ移植したのが「スイカゲーム」でした。これを元にNintendo Switchに移植・販売したものがSwitch版「スイカゲーム」です。

「スイカゲーム」のルールは簡単で、画面の中央に置かれた透明な箱の中に落ちものパズルの要領でフルーツを落としていきます。箱の中で同じフルーツ2個を隣接させることで、フルーツ同士がより大きなフルーツに「シンカ」して得点が入ります。箱の外にフルーツがはみ出たらゲームオーバー。箱の中により大きなフルーツをより多く詰め込むのを目指すことになります。

<③配信人気でランキングに躍り出る>

2021年12月に発売された「スイカゲーム」ですが、ストアに大量に存在するゲームに埋もれてしまい存在感を示すことはできませんでした。しかし2023年の9月に転機が訪れます。

ゲーム実況の配信なども行っている布団ちゃん氏がプロジェクター版の「スイカゲーム」を「僕が寝室で普段やっているゲーム」として紹介したことをきっかけに、同じくゲーム実況者のおおえのたかゆき氏、もこう氏、加藤純一氏が相次いでプレイ実況を配信したことで、広く認知されるようになったのです。

その後、さまざまなYouTuberやVTuberがプレイの様子を配信するようになり、人気が爆発。2023年9月のランキングでランキング圏外からランキング1位へと大躍進を果たし、10月には100万ダウンロードを達成することとなりました。

<④中毒性のあるゲーム性にも注目>

ゲーム実況者と実況動画が大量のゲームに埋もれていた「スイカゲーム」の存在を発掘し、認知を広めたことが大ヒットにつながったことは間違いありません。しかしそれは切っ掛けであって、原因のすべてではないでしょう。

まず、価格が240円と非常に安く気軽に手を伸ばせた点は見逃せません。ルールや画面の見た目が分かりやすいのもポイントと言えそうです。

単純明快なルールに加え、画面右にはフルーツのシンカの順番が大きく表示されているので、次はどんなフルーツにシンカするのか一目瞭然。視聴者にも初心者にも分かりやすいことがプラスに働いたであろうことは容易に想像できます。見た目といえば元となった中国版にはない可愛らしくも味のあるフルーツたちの表情も見逃せないところです。

また、落ちものパズルの多くは難易度上昇でゲーム速度が上がるものが多いのに対し、本作ではタイムリミットに相当するものが一切なく、どこにフルーツを落とすのかじっくりと吟味して、自分のペースで遊ぶことができるのもポイントでしょう。ゲーム実況中の雑談に気を取られてゲームオーバーにという展開を避けられますし、視聴者が「これは自分には無理そうだ」と感じにくい点も上手く状況にはまったと考えられます。

こうした取っつきやすい要素に加え、物理演算系ならではのままならなさを備えているのも「スイカゲーム」の魅力でしょう。

フルーツはどれも丸くて転がりやすい上、互いに干渉するため、思った場所に落とせない場面がちょくちょく発生します。さらにフルーツがシンカする際衝撃が発生するのですが、これによって周囲のフルーツに影響が出ることもしばしばです。事態が良い方向に転がることもあれば、最悪の場合フルーツが箱の外に飛び出てゲームオーバーになってしまうこともあります。

このままならなさに次こそは!と思ってしまい、つい何度もプレイしてしまう中毒性があるのです。

さらに初心者にとって「一番大きなスイカを作る」という分かりやすい目標があるのもポイントと言えそうです。ゲーム配信ではスイカの完成+αで達成できる3000点越えがひとまずの目標となるケースが多くみられました。

加えて画面の左側にはランキングが表示されており、オンラインの総合、月間、本日の3種に加え、自分自身の総合、月間、本日のランキングを確認でき、自分なりの目標を定めやすいのもよいスパイスになっています。

<⑤まとめ>

2023年「スイカゲーム」は驚くような成功を収めました。その背景には運よくゲーム配信者の目に留まり多くの人に知られるようになったという幸運がありました。これはゲーム配信がゲームの売り上げにプラスの影響を齎した顕著な例といえます。

しかし、単純に運がよかっただけでなく、「スイカゲーム」の持っていたポテンシャルの高さや、ゲーム配信に向いたゲーム性を持っていたことも大きかったということが分かってもらえたことでしょう。

次にこのような成功を収めるゲームは出現するのか?そしてそのゲームはもう存在しているゲームなのか、今年のダウンロードランキングに注目しましょう。

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