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究極の練習法? 「外郎売り」ってなに?

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非常にスパルタ的で大変ですが、確実に効果のある練習法があります。声優・俳優・アナウンサーにはおなじみの練習法……その名も「外郎(ういろう)売り」です。

発音・滑舌・演技……全てを学べる外郎売り

「えっ? 外郎売りってなに?」そう疑問に思った方は多いと思います。外郎売りは享保3年(1718年)二代目市川團十郎によって初演された歌舞伎十八番ですが、現代で外郎売りと言えば、劇中の長台詞(ながぜりふ)を指すことがほとんどです。したがって、外郎売りとは「声を使って仕事をする人がトレーニング教材として使える長台詞」と考えてOKです。

まずは外郎売りの原文を見てみよう

まずは外郎売りの原文を以下のリンクから確認してみましょう。

拙者(せっしゃ)親方と申すは、お立合いの中(うち)にご存知のお方もござりましょうが、お江戸を発(た)ってニ十里上方(にじゅうりかみがた)、相州小田原一色町(そうしゅうおだわらいっしきまち)をお過ぎなされて青物町(あおものちょう)を登りへおいでなさるれば,欄干橋虎屋藤右衛門(らんかんばし とらや とうえもん)、只今は剃髪(ていはつ)致して円斎(えんさい)と名乗りまする。
外郎売 – Wikisourceより

どうですか。あまりの長文に驚いてしまったのではありませんか。
しかし、この長文をすべて暗記している声優やアナウンサーも大勢いるのだとか。外郎売りは、そのくらいポピュラーな教材なのですね。

なぜ外郎売りが教材として優秀なのか

外郎売りは、話者が売薬の効能、それにまつわる由来を語るお話です。営業トークらしく、話者は感情やテンションを変化させていき、様々な語り口を駆使して薬のすばらしさを説きます。その興奮と勢いをしっかりと演じようとするなら、かなりのカロリーと表現力が必要になります。情感を込めて外郎売りを演じるだけでも、声優としての演技力が鍛えられるのです。しかもそれだけではなく、外郎売りの台詞の中には、早口言葉(のようなもの)まで含まれていますから、滑舌の練習にもなります。いわば外郎売りは、声の仕事をする人の総合教材なのです。

外郎売りを演じるコツ

◆物語の流れをつかむ
これほどの長文ですから、いきなりすべてを覚えようとする必要はありません(というよりも不可能です。覚えるまでに長い時間を要します)。まずは棒読みでかまいませんので、音読しながら話の流れをつかんでいきましょう。

◆まずはゆっくりと演じてみる
早口言葉の箇所もありますが、最初のうちはスピードよりも滑舌と感情を込めて演じてみましょう。薬の由来と説明、実際に飲んでみてからの効用と高揚、薬が効いていることを表現するための怒濤(どとう)の早口言葉……。この長い台詞のなかに、様々な表現が隠されていることに気付くと思います。

◆徐々に表現のレベルを上げ、スピードをつけていく
物語の流れをつかみ、ゆっくりと演じられるようになってきたら、身振り手振りで感情をたっぷり込めて(語り手の主人公と感情を一体化させて)演じてみましょう。あとはひたすらその繰り返し! スピードも自然とついていきます。

外郎売りをマスターするのがプロの最低条件!?

……というのは言い過ぎでは、と思われるかもしれませんが、「声を使って演技をする仕事をしているなら、外郎売りくらいは最低でもできるだろう」と考えている業界人が多いことは事実です。
マスターするまでは本当に苦労しますが、我が物にした暁には、発声・滑舌・演技力すべてが格段に向上しているはずです。声優スキルの底上げになるのは間違いないので、がんばってみてください!

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