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元スクエニ代表 和田洋一氏が語るゲーム業界の現状と今後

【確認済】02.pngゲーム業界の課題やその解決のヒントはどこにあるのか?業界有識者やクリエイターの方と共に見つけ、ゲーム業界の未来を探る、総合学園ヒューマンアカデミーゲームカレッジ主催の動画インタビュー企画「ゲームのミライ」。

この記事では、上記企画の第0回として「ゲーム業界の現状と課題」について、スクウェア・エニックス元代表取締役社長で当校ゲームカレッジのアドバイザーを務めていただいている和田洋一氏に語って頂いた動画の内容を、簡単に要約して紹介します。



【目次】

①ゲーム業界の現状

②ゲーム業界の課題

③マンネリ化を脱する新しいゲーム性へのヒント

④ゲームクリエイターが取り組むべきこと

⑤まとめ

<①ゲーム業界の現状>

現在のゲーム業界は広く普及拡大していて、その市場規模は直近で2,500億ドル、日本円にして37兆円と非常に大きなものとなっています。2019年には1,500億ドル、2016年には1,000億ドルだったと言えばその急成長ぶりが分かるのではないでしょうか。

これまで、ゲーム市場の拡大はテクノロジーの進化と同期してきました。コンピューターゲームが発展してきた約40年間の中で、最初の30年間はハードの進化がその中心でした。まずインベーダーなどアーケードゲームでの、テレビの画面の中のキャラクターを操作できる驚きからはじまり、家庭用ゲーム機ではセーブデータを取れるようになり、絵も音もより綺麗に進化をとげてきました。そしてインターネットの普及によってオンラインゲームが実現し、ネット越しに友人とゲームを遊ぶことも今や当たり前のこととなっています。

さらにここ10年では、プラットフォームがネット上に移行したことで、ビジネスモデルの面でゲーム業界が抱えてきた問題が次々と解消されることになりました。Free to Play(基本無料で遊べる料金体系)による客単価のコントロールや、無料でのお試しプレイの提供やプロモーションが可能となったことに加え、クラウドサービスの利用が一般的になったことで、サーバーなどの物量管理に柔軟性を持たせることができるようになったわけです。

スマホの普及などもそれを手伝いました。世界中あらゆる年齢・性別を問わずスマホが普及したことで、現在の絶頂期を迎え、今後も伸びていくだろうというのが現状となっています。



<②ゲーム業界の課題>

今後も市場は拡大を続けるという予測を世界中のシンクタンクが出していますが、こうしたマーケッターやアナリスト、コンサルタントの楽観的な見通しに対して、開発者の視点から見ると、世界的に若干の頭打ち感があります。

今までの40数年間、テクノロジーの進歩の驚きがコンテンツの驚きにつながるという構図がゲーム産業を支えてきましたが、この効果が若干切れてきたという問題があるのです。

昨今はアニメや漫画といったIPを生かす方向にスポットが当たっていますが、これは裏を返せばゲームデザインの飛躍がないということでもあります。

エンタメである以上、飽きられるのが一番怖いことですから、いかにこの状況を脱するのかが、次の希望に繋がるはずです。



<③マンネリ化を脱する新しいゲーム性へのヒント>

この数年か10数年前くらいから兆しが出てきているのが、ゲームユーザーの定義の広がりです。従来はゲームのプレイヤーだけを指していたわけですが、近年ではゲームプレイを実況中継する配信者や、その視聴者。e-Sports大会などイベントの観客である観戦者。さらにはゲームを開発するクリエイターへと、ゲームユーザーの定義が広がってきています。

先に紹介した2,500億ドルのゲームマーケットにはこうした、大きく広がった裾野は含まれていません。今後はゲーム自体もさることながら、ゲームをネタにいかにコミュニケーションを行うか、ここをいかにサポートし生かしていくかが重要になってくるはずです。

ゲームと言うとどうしても画面の中で起こることに集中してしまいがちですが、ゲームの外、ゲームを取り巻く環境をいかにフォローして盛り上げていけるか。

また、ゲームをコミュニケーションツールとしてとらえた場合、ハイエンドのゲームをいかにカジュアルに落とし込むのかも重要となってきます。

ゲーム単体ではなく、コミュニケーション・コミュニティをどう活性化するかという点を考えることで、従来のゲームの文法にあまりこだわらないやり方が出てくるはずです。



<④ゲームクリエイターが取り組むべきこと>

ゲームはストーリーやキャラクターといった、いろいろな構成要素がありますが、一皮向けばITの塊です。制御の仕方やAIまで幅広い分野の知識が必要になります。

今のゲームを取り巻く状況はいわば過渡期で、今までの延長線上に未来があるわけではなく、次の段階へと進もうとしている状況です。こういったタイミングでは、ゲーム開発の中心となる基礎をきっちりとやった上で、周辺の応用分野へも目を向けることが大切です。

生成AIに積極的に触れてみたり、ブロックチェーンはどんな仕組みなのかどう役立つのかを探求してみる。VRだったらどんな仕掛けで、何軸で動いているのか、それらを使って何をどう表現するのかといったように、様々な技術に対して普通の人より二歩くらい踏み込んで、技術的なことに興味をもって取り組むことが大切です。

基礎と周辺の両方を手掛けることが一番大切になると思います。

また、個人で学ぶだけではなく、いろいろなジャンルの人と交流を持つことも大切です。これがこれからの開発者にとって必要なことだと思います。



<⑤まとめ>

紙面の都合上、本記事に動画インタビューの内容をすべて掲載することはできませんでしたが、スクウェア・エニックスとタイトーの代表取締役社長を歴任し、20年以上に渡って経営者としてゲーム業界を見つめてきた和田洋一氏の視点から見たゲーム業界の現状と課題、それを乗り越えるヒントについて重要な部分を抜き出してお届けしました。

動画インタビューでは、任天堂の代表取締役を務められた故・岩田聡氏とのエピソードなど、興味深い内容も数多く語られています。YouTubeにて配信中の元動画もぜひ視聴してみましょう。

『ゲームのミライ』和田アドバイザーが語るゲーム業界の現状と課題 -YouTube

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