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メタバースとは? 3DCGを学ぶなら知っておきたい可能性と価値

【確認済】06.png3DCGについて学ぶことは、ゲーム制作や映像制作、VTuberのアバター作成などさまざまな分野で役立ちますが、近年注目が集まっている「メタバース」の分野も例外ではありません。

この記事では3DCGについて学ぶなら知っていて損はないメタバースについて、発展の歴史や注目が集まった理由、現在の状況などを交えつつ、その概要を紹介していきます。

【目次】

①メタバースって何?

②メタバースの歴史

③メタバースに注目が集まったわけ

④類似サービスとの違いと価値

⑤メタバース活用事例を確認する

⑥メタバースには欠かせない3DCGスキル

⑦まとめ

<①メタバースって何?>

近年はメタバースという言葉を見かける機会も増えてきましたが、そもそもメタバースとは何なのでしょうか?

元は1992年発表のSF小説『スノウ・クラッシュ』で登場した、古代ギリシャ語で超越などを意味する「メタ(meta)」と世界・宇宙などを意味する「バース(verse)」をかけ合わせた造語です。

具体的には、インターネット上の仮想空間に作られた世界で、ユーザーの分身となるアバターを操作して、自由に動き回ったり、コミュニケーションをとるサービス全般をこのような名前で呼んでいます。



<②メタバースの歴史>

その手のサービスって昔からなかったっけ?と思った人も多いのではないでしょうか。

実際、1990年には日本国内では『富士通Habitat』という2Dで描かれた仮想の街でアバター同士がチャットするサービスが存在したほか、1997年にサービスが開始されたMMO RPG初のヒット作『Ultima Online』では仮想の世界を舞台にアバターでの冒険や生活を楽しむことができました。身近な作品では『どうぶつの森』シリーズなども広義のメタバースに含まれると言えるでしょう。

さらに、2003年には『Second Life』という3DCGで描かれた仮想世界で生活し、さらにはアバターや景観、建物、衣服などあらゆるものをユーザーが作成・販売できるサービスも登場しており、大きな注目を集めたことがあります。これは後に紹介する狭義のメタバースの条件も満たしており、メタバースの始祖といっても過言ではないでしょう。



<③メタバースに注目が集まったわけ>

ではなぜ、10年近くもたってからメタバースに注目が集まるようになったのでしょうか?

それは、技術の進歩と世界的な感染症の拡大が大きな理由です。

まず、ヘッドマウントディスプレイ(VRゴーグル)を利用したバーチャルリアリティ(VR)機器が個人でも入手可能な価格になったことで、平面のディスプレイ上に表示された仮想世界ではなく3DCGで描かれた立体的な世界の中に入り込んだような感覚で歩き回るといった体験が、随分と身近になりました。また10年前と比べ3DCGの品質が大きく向上した事実も見逃せません。

加えて感染症の流行によって人々が外出を控えるようになり、オンライン会議やオンラインイベント開催の需要が増えた結果、従来型のビデオ会議・配信と比べ、アバター同士であっても対面でのコミュニケーションが図れるメタバースの価値に、企業や行政の注目が集まることとなったのです。

これらと前後して、2021年の後半にはSNS大手の『Facebook』が、今後SNSはメタバースに置き換わると予測しメタバースに注力するとして、社名を『Meta』に変更すると発表しました。このニュースをマスコミが大きく取り上げたことも、メタバースという言葉が広まる結果をもたらしたのです。



<④類似サービスとの違いと価値>

『どうぶつの森』などのオンライン対応ゲームも広義のメタバースと紹介しましたが、では狭義の「現在注目されているメタバース」は何が違うのでしょうか?

これは意見の分かれるところですが、おおむね「仮想世界で得た価値が現実にも反映される・持ち出せる」ことだと言えるでしょう。

・仮想空間内にショップやショールームを出店して、アバターアイテムなどを販売・配布して対価を得たり、ブランドの認知を向上させたり、現実の商品を通信販売する。

・仮想空間内でコンサートやライブ、上映会などを開催し、宣伝あるいは入場チケットを販売して収益を得る。

・仮想空間内にオフィスや会議室を再現して業務に役立てる。

・仮想空間内で業務を体験させることで人材の育成につなげる。

・仮想空間内に観光地を再現して現実の観光地の認知を広める。

このように、さまざまな利活用が模索されているのです。

なお、メタバースはVRと関連付けられて語られることも多いですが、普及率の関係からスマホやPCブラウザなどから利用できるサービスも多く、現状VRが必須とは考えられていません。



<⑤メタバース活用事例を確認する>

上記で取り上げた例の実例をいくつか簡単に紹介しましょう。

バーチャルマーケット 2024 Summer

ギネスにも認定された世界最大のVRマーケット。開催期間中はデジタルから現物までさまざまな商品が販売されます。VRゴーグルを使うVRチャットアプリの定番『VRChat』内での開催ですが、PCのブラウザやスマホからの参加も可能です。

バーチャル渋谷

渋谷区公認の元、渋谷5Gエンターテイメントプロジェクトが運営している仮想空間上に作られた渋谷。ライブやハロウィンなどさまざまなイベントを開催しています。メタバースプラットフォーム『cluster』を利用しており、VRゴーグルの他スマホやPCからの利用も可能です。

米津玄師 2020 Event / STRAY SHEEP in FORTNITE

2020年にTPSゲーム『FORTNITE』内で開催された米津玄師氏のライブの映像をYouTube上で公開したものです。同ゲームは戦闘を行わない交流目的の利用にも積極的で、さまざまなアーテイストのゲーム内ライブを開催しています。

日光市教育旅行メタバース「日光の 学び旅かな メタバース」

日光市が日光を訪れる児童・生徒や教職員に向けて、事前学習のために仮想空間内で複数の観光名所を解説・再現したものです。メタバースプラットフォーム『DOOR』を利用しており、VRゴーグル、PC、スマホなどのブラウザを使ってアカウント不要で利用可能です。



<⑥メタバースには欠かせない3DCGスキル>

ここまでの解説で、メタバースとは何なのか大体理解できたのではないでしょうか。

技術的な面で考えると、メタバースにおける世界やアバターは基本的に3DCGで表現されることになります。つまり、現在ゲームや映像を作成する際に利用している3DCGスキルはほぼそのままメタバースに応用できるわけです。

メタバース事業を推進している企業は、モデリングやテクスチャの作成からアニメーションの作成まで、広範な3DCGスキルを持った人材を求めることになるでしょう。

さらにメタバースのすそ野が広がれば、アバターやオブジェクト、衣装やアイテムなどのデジタルデータを個人で広く販売できるようになる可能性もあります。

また、現在メタバースに利用されるデジタルデータは、相互に利用できる形にはなっていませんが、将来的にアバターなどを相互運用できるよう共通規格を設けようという流れになる未来が訪れるかもしれません。そうなれば3DCGスキルを活かす機会はさらに増えることになります。



<⑦まとめ>

メタバースとは何か、そしてどのように利用されるのかを解説してきました。このように将来性を感じられる技術ではありますが、一方でバズワード(もっともらしく語られるが実体があいまいな素人だましの用語)ではないかという懐疑的な見方も存在します。

しかし現在では、実写と見紛うような美しい3DCGで描かれた世界の中でアバターを操るという体験は、ゲームを通してすっかり当たり前のことになりました。また文字だけ、音だけのコミュニケーションより、映像も使ったコミュニケーションの方が直感的で現実感を伴っていることは間違いありません。

無数にある3DCGの応用分野のひとつとして、メタバースの動向に注目することは、きっと無駄にはならないことでしょう。

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