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声優志望者が夢を諦める3つの理由

46_アートボード 1.jpg本気で目指すための心構え


昨今では、全国に約30万人の声優志望者がいると言われるように、毎年多くの人が学校や養成所へと入学しています。しかし、対照的に様々な理由から夢を諦める人がいるのも事実で、そうしたことから世間では声優を目指すことに対して否定的な意見も少なくありませんよね。

筆者である僕自身も、以前声優を目指しながらこうした人を見てきました。そこで感じたことは、諦める、あるいは諦めざるを得ない状況になる際には主に3つの理由があるということです。逆に言えば、こうした問題にうまく対処できる人ほど、今後充実した生活を送ることができるのかなと思っています。

今回はそうした経験から、声優志望者が夢を諦める理由について深掘りしていきます。みなさんが、これから本気で声優を目指すための覚悟や心構えとして参考にしてもらえたら嬉しいです。

夢を諦める3つの理由

声優を目指す理由があれば、諦めるときにも必ず何かしらの理由があったりするものですね。諦める主な原因として、大きく分けると以下の3つがあると感じています。

  • ●精神的な理由
  • ●経済的な理由
  • ●年齢的な理由

人によって細かい理由は異なりますが、なんとなく世間で言われるようなことと同じですよね。ただ、これではざっくりしすぎているので、もう少し具体的なことを挙げながらより身近に感じてもらえるよう紹介していきます。

精神的な理由

学校や養成所へ通ったことがある人ならわかるかもしれませんが、実際、声優のレッスンは地道で過酷なことの方が多かったりします。とくに入学後の基礎レッスンは、筋トレ、呼吸法、滑舌といった反復練習が多いですし、レッスンの課題を通して生徒同士で関わる機会も頻繁にあるため、人間関係の問題が起こりやすい環境といえます。

コミュニケーションや集団行動が苦手という人もちらほらいるため、こうした学校生活が肌に合わず、精神的に辛くなって辞めてしまう人も少なくありません。

その他にも、入念に準備をして臨んだオーディションで落ちることもザラにありますし、数年間頑張ってきた末の所属審査に合格できず自信を失くしてしまう人もたくさんいます。

そして、プロになれば実生活にも影響するため、さらにシビアな状況に置かれるでしょう。その都度、何度も何度も「目指すか?」「諦めるか?」の選択が頭をよぎるかもしれません。そうした精神的なプレッシャーにうまく対処できる要素も、声優を目指す上でとても重要なことだと思います。

経済的な理由

声優を目指す上で、「お金」の問題も悩みとなることが多いですね。

声優学校の学費は卒業までに約250万円、養成所でも2年通えば100万円前後必要になるところが多いと思います。くわえて、交通費や生活費、一人暮らしをする場合は、初期費用から家賃なども負担していくことになり、ほとんどの人がアルバイトをしながら目指すことになると思います。そうした生活が続けば続くほど、レッスンや実生活に影響が出てしまい諦めるケースがとても多いですし、声優になれたとしても決して安心できる状況にはなりません。目指すにあたって、ある程度の貯金がある、いざというとき家族の支援を受けられるといったお金のリスクに対処できる人でない限りかなり険しい道のりになります。


こんなに商売として成り立っていないものを、安易に将来の「職業」として選ぶのは危険です。即刻やめたほうがいい。実家が裕福でいくらでもすねがかじれるとか、声優が駄目でも実家の稼業を継げばいいとか、いつでもしっかりした勤め人のお嫁さんになれる身分だという人間でない限り、近づかないのが正解です。


出典:東洋経済オンライン「声優の大多数が仕事にあぶれる理由」大塚明夫(https://toyokeizai.net/articles/-/321702)

年齢的な理由

今現在でも悩む人は多いかもしれませんが、年を経ていくごとに増えていくのが年齢ですね。

毎年のように成果が出てステップアップしていけば自信にもなりますが、なかなか所属できなかったり、オーディションに受からない状況が続くと次第にこうした悩みが大きくなってきます。学校や養成所を転々としていけば、どんどん年齢の低い人たちと競争することになりますし、オーディションによっては年齢制限から受けられないものも出てきます。

また、地元の友達は結婚をして家庭を築く人もいるかもしれません。こうした、現状の閉塞感や将来的な不安が理由で辞めていく人も多いのが現実で、続ければ続けるほど押し寄せてくる悩みの一つだと思います。

そうした悩みに振り回されないためにも、どこで諦めるかの"線引き"をしておくことが自己の肯定とモチベーションにも繋がりやすいと思います。

それぞれ理由を3つに分けて書いてきましたが、実際はこうした理由が重なって大きな悩みになっているのかもしれません。

それでも目指す人の心構え

リスクが高くとても険しい道ですが、それでも毎年のように目指す人が多いのは、それだけ魅力のある仕事で夢にチャレンジできるタイミングだからというのもあると思います。

昔の僕もそうでしたが、今しかできないことをやりたいという思いが強かったですね。それが、根拠のない自信であろうと、他人と異なる道であろうと、自分が納得して責任を負えるのであればそれでいいと思っています。

大きな挑戦をしても、考えが変わったり失敗することは決して悪いことではないと思っていて、目指すにしろ、諦めるにしろ、その都度自分を信じて行動できる人が強いのではないでしょうか。


僕は役者に限らず、"世界は失敗してもいいようにできている"と思います。僕も一度は大失敗しましたが、自分のために頑張り続けていれば、きっと誰かが見てくれていて、どんな失敗もいつかは取り戻す機会に恵まれると信じています。


出典:『声優道 名優50人が伝えたい仕事の心得と生きるヒント』p.72 鈴村健一 出版:主婦の友インフォス

まとめ

今回は、声優志望者が夢を諦める理由について紹介してきましたが、反対に、みなさんの中にも目指すきっかけとなった理由や動機が必ずあると思います。もし声優を目指すとしたら、そうした初心の気持ちがきっと心の支えになるはずなのでぜひ大切にしてください。

ライター:ゆうき

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