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頭高(あたまだか)とは?原稿読み上達ポイント
ナレーションなどの原稿読みでは様々なことに気を配らないといけませんが、そのときに犯しがちなミスが「頭高(あたまだか)」と呼ばれるものです。
よく「頭高になってるよ」とか「頭が強い」などと指摘された人もいるかもしれませんね。
かくいう僕も、気を抜いたときにはよくやってしまうミスだったのですが、慣れないうちはこの"原稿読みの入り方"が結構難しかったりするんです。
しかし、頭高が克服できれば第一印象が良くなり、オーディションや審査といった様々な場面で役立つスキルになります。
そこで今回は、原稿読みにありがちな頭高についての解説と改善方法を詳しくご紹介していきます。
頭高(あたまだか)とは?
そもそも「頭高(あたまだか)」とはなんなのか?ですが、これは日本語アクセントの一種になります。
アクセントには「平板(へいばん)」「頭高(あたまだか)」「中高(なかだか)」「尾高(おだか)」の4タイプがあり、それぞれどの音節で音が上がり下がるのかが異なります。
例えば、平板アクセントであれば第一音節が低く、第二音節以降+品詞も含めて音が高くなりますね。
頭高アクセントの言語はその逆で、第一音節が高く、第二音節以降+品詞は低くなるといった形になります。
それぞれの名称にならって4タイプの"音程の山"を覚えておくと発音の際にイメージしやすいと思います。
【アクセント例】赤:高い、青:低い
- 平板タイプ:「歴史(の)→れきし(の)」
- 頭高タイプ:「迷路(の)→めいろ(の)」
- 中高タイプ:「美容師(の)→びよーし(の)」
- 尾高タイプ:「判子(の)→はんこ(の)」
ここで注目すべきは、4つのタイプの中で第一音節が高いのは頭高タイプのみということですね。
詳しくは以下で解説しますが、本来のアクセントとは違って頭高になってしまう人ほど第一音節を意識することが改善のポイントです。
※【平板型・起伏型とは?】日本語アクセントを種類別に細分化!(2021.08.31)
「頭高」とその原因
先ほども触れましたが、原稿読みにおいて頭高と指摘される場合は、平板、中高、尾高のアクセントでも第一音節の高い頭高パターンで発音してしまうケースを言います。
例えば、「次(に):つぎ(に)→つぎ(に)」や「4月(の):しがつ(の)」→「しがつ(の)」と発音してしまうことですね。
とくに文章の冒頭で起こりやすく、「また」「そして」「つぎに」といった品詞にも注意が必要です。
喋り出しや冒頭は、聞き手への第一印象としてとても大事なポイントで、とかく綺麗に読もうとしたり緊張しすぎるとおかしなアクセントになりやすいです。
集中力も大切ですが、読む際は自分を客観的にチェックできるようになることで、音の違いがわかり、修正力が身に付き、結果として安定感にもつながります。
【ありがちな頭高現象】
- 頭高アクセント以外で第一音節が高くなる
- 頭高アクセントで第一音節が極端に高くなる
- 冒頭などで第一音節が強くなる
改善方法
それでは、以下で頭高現象を抑制・改善するためのおすすめ方法を紹介していきます。
どれも簡単に実践できるものなので、原稿読みの際にぜひ意識してみてくださいね。
深呼吸
原稿読みに慣れていないときや人前で喋るときはどうしても緊張してしまい、声が上ずったり、第一音節のアタック音が強くなりがちです。
そこで、直前にしっかりとリラックスしてから読み進めていくのがおすすめです。
【深呼吸】
- 目を閉じて鼻先に意識を集中
- 鼻から息を吸う(7秒)
- 口から息を吐く(7秒)
目を閉じてたっぷり息を吸い込み、細い糸をイメージしながらゆっくり吐くことで冒頭の入りが改善するだけでなく、読みが柔らかくなったり、早口を抑えられる効果もあるのでぜひ試してみてください。
【拳を握る】
- 全身に力を入れて両手の拳をグッと握る(10秒)
緊張してしまうと肩に力が入りがちですが、あえてより緊張させることによって、その後に自然と脱力状態に持っていけるリラックス方法です。
肩や首回りの力を抜きたいとき、意識しても緊張してしまうときにおすすめです。
文字・記号を加える
視覚的な効果で頭高を抑えるアプローチで、原稿の冒頭に文字や記号を書き加えることで頭高になってしまうポイントをズラす方法ですね。
『二人の若い紳士が、すっかりイギリスの兵隊のかたちをして~』
『ある日、二人の若い紳士が、すっかりイギリスの兵隊のかたちをして~』
こちらの場合だと、本来は「二人の〜」が冒頭にきてしまうところを、「ある日、」と付け加えることで、以降の文章の音を自然と抑えやすくなります。
もちろん、声に出して読むのではなく、あくまで頭の中で読むイメージで大丈夫です。
『「兎もでていたねえ。そうすれば結局おんなじこった。では帰ろうじゃないか。」
○ところがどうも困ったことは、どっちへ行けば戻れるのか、いっこうに見当がつかなくなっていました。』
上記のように頭高になりやすいポイントの前に、目印となる記号を振っておくのもおすすめです。
【例】
- ○:一拍の間をあける
- /:区切り、切り替わり
- ↗︎:アクセント
自分なりに読みやすい記号や目印を決めて書き込んでおくと、文章中でも対処しやすくなりますね。
音程をイメージする
リラックスや原稿への書き込みのほかにも、自分が出している声の高さをイメージしてみるのも効果的ですね。
例えば、歌手が歌うときによく手で音程を取っていますが、原稿読みの抑揚をつける際にもおすすめです。
高い音を「10」、自然でニュートラルな音を「5」、低い声を「1」という感じで"音程の山"や"抑揚の波"をイメージしてみましょう。
「そこで」「しかし」「つぎに」など、第一音節から第二音節にかけて必ず音の山が上がっていく(↗︎)イメージを持つと頭高が抑えやすくなります。
「もぐり」に注意
ここまで頭高を抑える方法を紹介してきましたが、これを意識しすぎると逆に「もぐり」の原因になってしまうこともあわせて注意しておきましょう。
例えば、第一音節につられて第二音節で音が上がらず文章の途中から徐々に上がっていくパターンですね。
- 正(↗︎):ところがどうもこまったことは~
- 誤(⤴︎):ところがどうもこまったことは~
こんな感じで、「と/ころ」の部分でメリハリがつかずに徐々に音が上がっていくと場合、暗くおどろおどろしい印象になりがちです。
明るい原稿内容だととくにマイナスイメージにつながりますし、その反動から「が」が不自然に高くなってしまうこともあり、聞いていてなんとなく素人読みっぽくなってしまいますね。
「頭高」と指摘されると、とにかく第一音節を抑えることに気が向いてしまいますが、必ず第二音節の音をしっかり上げきることも大切です。
話し方のクセを治そう
自分自身では分かりづらいですが、朗読や原稿読みでは意外と自分のクセが出やすかったりするものです。
それは個性にもつながりますが、今回の頭高のようにアクセントが崩れたり声が不安定になってしまうマイナス点はぜひ改善していく必要がありますよね。
自分と上手な人の読みを聞き比べると、最初はどこが違うのかがわかりにくいですが、一音一音の高さや強さをしっかり追って分析してみると、アクセントや抑揚、語尾に間の取り方など様々な発見があるかもしれません。
※話し方の癖を治すためにチェックしたい項目と改善法(2020.03.12)
※【セリフや原稿読みが上手くなる!】チェックすべきありがちなミス8選(2020.03.16)
まとめ
というわけで、今回は原稿読みで起こる頭高現象についての解説と改善ポイントをご紹介しました。
頭高の原因は、緊張からくるものなのか?、喋りグセからくるものなのか?
普段の練習から追求し取り組むことで、少しずつですが必ず改善できるはずです。
自分の声をうまくコントロールできることで、今後様々な場面で役立つことがあるので、ぜひ実践してみてくださいね。
ライター:ゆうき