声優・俳優
若手育成が課題?日本の映画業界の実態とは?
様々な作品の誕生により、感動や日々の活力を与えてくれる「映画」という存在。今や私たちの生活に必要不可欠なものとなっていますよね。日々多くの映画に触れる中で、自身も映画の世界に携わりたい!と思うようになった方もいるのではないでしょうか。しかし、お分かりの通り映画業界はかなり厳しく、就職難易度も高い傾向にあります。競合も多く、自分が活躍できる場所はあるのだろうか?と不安に思う人もいるかもしれません。
この記事では、映画業界に興味がある!将来映画業界で働きたい!という方へ向けて、映画に携わる仕事はどのようなものがあるのか、現在の課題は何なのかを詳しくご紹介。さらには、今後の展望についても考察しました。ぜひ、未来の選択の参考にしてください。
【目次】
- ①まずは基本!映画業界の3つの業態
- ②気になる!映画業界の課題とは?
- ③映画業界の今後はどうなる?
- ④まとめ
①まずは基本!映画業界の3つの業態
まずは、簡単に映画業界の3つの業態をご紹介します。
映画が製作され、公開されるまでには、主に「映画製作会社」「映画配給会社」「映画興行会社」の3つが大きく関わっています。
「映画製作会社」とは、映画が完成するまでのプロデュースを行う会社。映画の内容はもちろんのこと、どんな客層をターゲットにするのか、どのタイミングで制作するのか、キャストやスタッフはどうするのか、どの映画館で上映するのか...など映画に関わるあらゆる事柄を決める役割を担っています。映画製作の根本となるため責任も重大ですが、その分やりがいのある分野ですね。センスや決断力が問われる仕事でもあります。
続いて「映画配給会社」は、完成した映画の宣伝など、映画館で上映するまでの業務を行います。各映画館に配給をしたり、企業とコラボレーションをしてプロモーション活動をしたりと、映画のヒットには欠かせない存在です。配給会社の宣伝方法によっては、爆発的なヒットを生む可能性もあるため、かなり重要な仕事だと言えますね。
最後に「映画興行会社」は、実際に映画館を運営する部門。映画の上映を始め、映画の上映スケジュールを決めたり、関連グッズなどの販売も担当します。映画は、観客がいてこそ完成するもの。いかに多くの人に映画を見てもらえるか、戦略と実行の両方が重要です。現在、大手映画会社の「東宝」「松竹」「東映」「角川」の4社は、この3つの全てを一つの会社で担っています。他にも、撮影現場での業務を担当する「制作プロダクション」、DVD・ブルーレイを発売する「パッケージ会社」、委託でプロモーションを行う「映画宣伝会社」など、映画に携わる会社は様々。
多くの人の努力によって、一本の映画が誕生していることが良く分かります。
②気になる!映画業界の課題とは?
ここからは、現在の映画界の課題を見てみましょう。
2020年、新型コロナウイルスによってほとんどの映画館が休館。それにより、公開本数、興行収入は前年度までに比べて減少してしまいました。また、それによってこれまで問題視されていたミニシアターの閉鎖に拍車がかかり、若手監督の作品を上映する環境も減ってしまっています。そうなると、若手が活躍する場が減ってしまい、それに伴って次世代の育ちにくさが課題となっています。
そんな状況を打破するため、2019年に短編映画製作プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS(ミラーライアーフィルムズ)」が本格始動。「MIRRORLIAR FILMS」とは、新たな才能の発掘と育成を目的に、公募で集まった短編映画や名の知れた監督の短編作品、俳優が監督を務めた作品など、計36作品を4本のオニバス映画に分け、全国の映画館で上映するというプロジェクトです。俳優だけではなく、脚本家や監督の育成の場を設けることで、日本の映画界の課題に向き合っていこうというものです。映画プロデューサーの伊東主税さん、そして俳優の山田孝之さん、阿部進之介さんが発起人で、山田さんと阿部さんの監督作品も上映されました。若手が映画賞を受賞しても、その作品が公開される機会が少ないという課題点を、オムニバス形式での全国上映に踏み切るというのは大胆なチャレンジですよね。知名度の高い、伊東さん、山田さん、阿部さんだからこそできる画期的な取り組みにより、少しずつ映画業界に動きが見られているように感じます。その他にも、撮影現場を支えるスタッフの長時間労働、ハラスメントの告発など、今後の映画業界の発展のためにクリアしなければならない課題は多くありそうです。
③映画業界の今後はどうなる?
最後に、今後の映画業界はどうなっていくのでしょうか。
一番気になる点といえば、やはり配信業界との関わりでしょう。コロナ禍により、「Netflix」のような配信サービスの普及率がかなり高まりました。これまでは、映画館で上映が終了した作品はDVDやブルーレイとして発売され、その後テレビで放映されるというのがスタンダードでした。しかし、近年は配信サービスで簡単に見られる機会が多くなり「すぐに配信されるから映画館には行かなくていいや」といった考えが生まれやすくなっています。映画館の値上げも相まって、映画館離れが加速していく可能性もあります。「映画館で見たい!」と思わせる作品作りのためには、やはり斬新でクリエイティブな思考を持つ監督・脚本家の育成が欠かせません。そのためには、「MIRRORLIAR FILMS」のように、若手の育成を支援するプロジェクトがもっと広がることが必要です。
④まとめ
華やかなイメージのある映画業界。しかし、作り手側にしか分からない苦悩や課題も多くあることが分かりました。若手の育成問題や、配信サービスとの兼ね合いなど、課題点は小さなものではありません。それらをストップさせるのは非常に難しく、今後どんどん進行していくことでしょう。それでも、映画業界をもっと明るくしたい!映画業界を盛り上げたい!という熱意があるならば、きっとその想いが形となって人々に伝わるに違いありません。自分と同じ想いを持つ人たちと日々を過ごすことは、良い刺激となり、よりクリエイティブな作品の誕生に導くはずです。映画業界の現実と向き合いつつ、ぜひ自分の夢に近づく選択に一歩踏み出してみてください。