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「カフボックス」について

14_アートボード 1 (1).jpg声優・ナレーター志望者の基礎知識


声優やナレーター志望者の中には、「カフボックス」と聞いてあまり馴染みのない人も多いかもしれません。しかし、ナレーションやボイスオーバー、ラジオ番組やゲーム収録といったシーンでは、マイクのそばにあってプレイヤーが必ず扱う機材でもあります。そこで、今回は多くの収録スタジオに欠かせない、けれど意外と知られていないカフボックスの基礎知識や使い方についてご紹介していきます。

カフボックスとは?

通称「カフ」と呼ばれ、収録の際はマイクのボリュームレベルやON/OFFの切り替えなどが手元で瞬時に操作できる機材です。一般的にスタジオは「ミキサールーム」と「収録ブース」に分かれているのですが、本来、音の操作が行えるのはスタッフのいるミキサー側だけです。しかし、ブース内にいるプレイヤー側でもちょっとしたタイミングで操作をしたい場面がよくあるのですが、こうしたときに重宝するのがカフボックスになります。詳しいことについては後述しますが、使い方次第でミキサー側とプレイヤー側の双方に負担がかからず円滑に収録ができる便利な機材なのでぜひ参考にしてみてください。

カフボックスの基礎知識

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出典:http://current.shop-pro.jp

主な機能について、一般的に使われている「CURRENT AF124」を例に解説していきます。

  1. 1.フェーダー:マイク音の大きさをアナログ式に調節できる
  2. 2.ON/OFF(タッチ式):触れることでマイク音のオン・オフを瞬時に切り替えできる
  3. 3.RTBスイッチ(リターントークバック):マイクを介さずにミキサーと会話ができる
  4. 4.CUEランプ:ミキサーからくる喋り出しの合図などを確認できる
  5. 5.モニター入力(ステレオ/モノラル):ヘッドホン・イヤホン端子などの差し込み口
  6. 6.モニターレベル:耳に返ってくる音を調節できる

フェーダーを扱う場合についてですが、基本的に収録前のテストでは上げきった状態でチェックしてもらいましょう。

その際にミキサー側で適切な音のバランスを決めているので、収録時は上げきった状態がベストな出力レベルになり、上がりきっていないと向こうから「マイクの音が小さい」と指摘されるかもしれません。反対に、フェーダーを下げきったときは、出力レベルはOFFと同様の状態になります。よく、ニュース番組の冒頭でアナウンサーの声が聞き取れないときがありますが、あれはカフがOFFのままのケースがほとんどです。現場ではフェーダーも実質ON/OFFスイッチと同様の役割となりがちなので、最初は「アナログ式」か「スイッチ/タッチ式」か自身の使いやすい方をメインにしていくとやりやすいかもしれません。

カフボックスの種類

カフボックスにも様々なタイプがありますが、プレイヤー目線でいえばフェーダータイプとスイッチタイプ、その両方を備える「CURRENT AF124」のようなツインタイプがあります。

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出典:https://www.soundhouse.co.jp

こちらはシンプルな作りのフェーダータイプですね。上面のフェーダーでON/OFFを行い、本体後方にモニター用の差し込み口がついていたりします。

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出典:https://ss.sc-a.jp

こちらがスイッチタイプで、「CURRENT AF124」と違いONOFFそれぞれが独立し、タップ式ではなくスイッチ式になっています。

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出典:http://www.iconic.co.jp

アドギア製のT字型レバーが特徴のフェーダータイプですね。レバーを上げ下げすることでON/OFFが点滅、スイッチはRTBのみとなっており、最上部の大きな赤いバーがCUEランプになっています。また、前面にはモニター入力差し込み口があり、モノラル用とステレオ用それぞれボリューム調節が分かれています。こちらの「AB-3L」は「AF-124」と同様、比較的多くのスタジオで見かけることのあるカフボックスかもしません。

収録ブースに入ったら必ずチェック

ナレーションやラジオ収録など、座って収録する際にはたいてい用意されているのが上記のようなカフボックスです。マイクやモニター画面の近くに置かれているので、ブースに入ったら必ずチェックしておきましょう。ときどき親切なスタッフが丁寧に使い方を教えてくれたりすることもありますが、複雑そうなものは収録前に確認しておくのがおすすめです。

カフには「Cough=」の意味があり、もともと咳払いをカットする目的で置かれているものですがその使いどきは様々です。わかりやすいのが、生放送のラジオ番組でくしゃみや咳払いをしたいときですね。他にも、ナレーションや朗読のテイクの合間の軽い声出しやペーパーノイズが気になるときなど。プレイヤー側が瞬時にON/OFFの切り替えができると、視聴者やスタッフへ不快な音を届けずに収録も円滑に行えます。その他にも、視聴者に届けたくないスタッフとのやりとりではOFFに切り替えたのちRTB機能を使うと便利です。カフボックスの種類によっては一見複雑そうにも見えますが、これらの機能や使いどころを把握できればとても便利で助かる機材なのでぜひ覚えておくのがおすすめです。

まとめ

というわけで、今回は声優・ナレーター志望者が知っておくべき「カフボックス」についてご紹介しました。

実際に見て触る機会は少ないかと思いますが、学校や養成所の収録スタジオ、一般的なレンタルスタジオなどへ行けば置いてあることもあるので、ぜひ一度チェックしておくと今後の仕事現場で役立つかもしれません。

ライター:ゆうき

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