声優・俳優
「声優」という職業とワークスタイルをわかりやすく紹介
声優適正をチェックしよう
昨今では、アニメやゲームの人気に伴い「声優」がフォーカスされることも少なくないですが、世間のイメージでは特殊な職業という印象が強いかもしれません。
みなさんの中にも、「将来は声の仕事がしたい!」と憧れる人は多いとは思いますが、もしも将来声優になれたとして、その先の働き方や生活はちょっとイメージしにくいはずです。
そこで、今回は声優という職業の仕組みや具体的なワークスタイルなどをご紹介していきます。今後の進路を検討している人も、この機会にぜひ参考にしてみてください。
声優という職業について
なんとなくわかってはいるけど、実際のところ声優ってどんな職業なのか?まずは、この点を以下でできるだけわかりやすく解説していきます。
労働形態
声優を生業とする多くの人は、開業届を提出した「個人事業主」、あるいは実質的な「自営業者」や「フリーランス」として活動しているケースがほとんどです。タレント一人一人が独立した"小さな会社の社長"をイメージしてもらうとわかりやすいかもしません。みなさんにとって馴染みのあるアフレコやナレーションといった仕事の数々は、事務所が行う業務の一部をタレントに委ねている状態ということですね。その後、入ってきた報酬は、何割かを事務所が納め、残りがタレントに支払われるという仕組みです。当然ですが、事務所に所属せずフリーで活動する声優の場合は、ギャラのすべてが手元に入ることになります。
【割合例】
- 「タレント」8:2「事務所」
- 「タレント」7:3「事務所」
したがって、声優は雇用契約を交わす会社員(事務所のマネージャーやスタッフなど)とは異なり、会社の給与体系や福利厚生を受けられる対象にも当てはまりません。しかし、こうした働き方には定年がなく、自分という商品が売れていけばいくほど入ってくる収入も大きくなるというとても夢のある仕事でもあります。
声優のワークスタイルについて
少し複雑で前置きが長くなってしまいましたが、ここからは将来がよりイメージできるような実生活について紹介していきます。
仕事が決まるまで
声優の場合、仕事やオーディションが決まるタイミングは様々です。
たいていは、前日までに事務所から連絡があり決定となることが多いですが、稀に当日に連絡が入ってくることもありますし、それらがバラし(決定していた仕事がなくなること)になるケースもあってとにかく不確定で流動的です。
これらは制作側のスケジュールや現場の進捗状況によるところが大きいですが、出演者のトラブルや急病で代役というケースもみられますね。「着信を見逃して...」といった理由で他の同業者に仕事が流れてしまわないように、新人のうちは、特に仕事の連絡をいつでもどこでも受け取れて、アルバイトやプライベートもできるだけ融通の利く生活を送ることが望ましいです。
働き方
声優の仕事時間や働く場所は毎回のように異なります。
そのため、入り時間やスタジオ場所のチェックは欠かせませんし、アフレコやMC、ナレーションやボイスオーバーなど、どういった内容の仕事で何が求められるのか?といったことも変わってきますね。
当然ですが、仕事が違えば共演者もスタッフも毎回違いますし、クライアントも含めれば出会う人たちもかなり幅広くなるはずです。ただ、帯番組などのレギュラーを抱える場合は、毎回ほぼ同じ時間帯・スタジオで収録が行われるケースが一般的です。ある日のある時間に港区のスタジオで仕事をしている人もいれば、その日は自宅でオフという人もいますし、サラリーマンや学生が帰宅する深夜の時間帯に出勤することもあれば、早朝に収録が終わって帰宅など。
とにかく、肉体的にも精神的にも刺激的なワークスタイルは、大変でもあり魅力的ともいえる職業です。
ギャラ
先ほど説明したように、声優やナレーターのギャラは一般的な会社員とは違って固定給与ではないため収入はかなり不安定です。あわせて、実際に報酬が手元に届くまでは仕事をしてから3〜6ヶ月程度の期間がかかります。それぞれの仕事によって振り込まれるタイミングもバラバラなので、まとまって入る月もあれば意外と少なかったという月もあったります。
また、一般的な仕事やアルバイト違ってギャラは労働時間に関係ない点も考慮しておきましょう。例えば、実質30分で収録が終わったとしても、振り込まれた額が数千円や1万円以上なんてこともあります。ただでさえ保障の効かない労働形態でありながら、毎月の収入額が見通しづらい部分はありますが、行った仕事と毎月の明細をしっかりと照らし合わせて、何月何日の仕事のギャラを受け取ったのかをチェックしておくことが大切です。
まとめ
ここまで紹介しただけでも、一般的な職業や働き方とはかなり違いますよね。
最近では、声優の仕事がピックアップされることも少なくないですが、実はその一つ一つはこうした仕組みのもと成り立っていたりします。以前、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』で声優の神谷浩史さんが「やっぱり僕らは日雇い労働者なので〜」と仰っていたように、声優は、まさに先の見えない未来に向かって一日一日を過ごしていかなければならない存在です。しかし、だからこそ一つの仕事へのありがたみや、刺激的な環境から得られるものも多いのかもしれませんね。
現在、声優を目指している人たちが、改めて声優という職業について理解を深めることでこれからの進路の参考にしてもらえたら嬉しいです。
ライター:ゆうき