声優・俳優

声優学校・養成所の授業ってどんな感じ?

18_アートボード 1 (1).jpgレッスン内容とカリキュラムの流れ

「声優の数はこの15年で3倍に増えた」と言われるほど人気の高い職業となり、それに伴い今では都市部を中心に多くの養成機関が存在します。

将来的にこうした学校や養成所へ進学する人もいるなかで、入学に向けて様々な疑問や不安があるかと思いますが、その一つに「レッスンでは具体的にどういったことをするのか?」を気にする人も多いはずです。

そこで、今回は僕自身の経験を通して学校・養成所の主なカリキュラムやレッスン内容について詳しくご紹介していきます。実際の学校生活をイメージできるだけでなく、学校・養成所それぞれの違いから進路を検討する判断材料にもなると思うのでぜひ参考にしてみてください。

声優学校・養成所のカリキュラム

具体的なレッスン内容の前に、まずは学校・養成所の大まかなカリキュラムの流れをご紹介していきいます。

とかく、学校生活がはじまれば目の前のレッスンや課題で余裕がなくなってしまいますが、「木を見て森を見ず」というように、レッスンごとに自分がどこへ向かって何をしているのかがわかっていると目的の意識付けがしやすくなります。

【代表的なカリキュラム】

  • 発声・滑舌
  • 俳優演技基礎
  • 声優演技基礎
  • ヴォイストレーニング
  • 歌唱
  • ダンス
  • ナレーション
  • 朗読
  • ラジオドラマ
  • 舞台演技実習
  • アフレコ(アニメ/外画)
  • オーディション対策講座
  • 進路対策講座
  • 卒業制作

声優になるためのレッスンといえば、発声や滑舌、アフレコなどを思い浮かべると思いますが、そのほかにも多くのカリキュラムが用意されています。

2年制のカリキュラムを例に挙げれば、1年次は、役者として演じるための基礎スキルを学ぶことが中心で、筋力トレーニングや腹式呼吸、感情解放、舞台演習などがありますね。

2年次になるとアフレコやラジオドラマなど発展的なカリキュラムに加えて、オーディション対策や卒業制作といった特殊なものも加わってきます。

また、学校によっては「コース」「ゼミ」「選択科目」など、在学中でも任意のカリキュラムを選べるシステムを採用しているところもあり、養成所の場合は、進路対策系のカリキュラムがないかわりに半年〜1年毎に審査が行われます。

多くのところはこうした基礎から発展という流れでカリキュラムが組まれており、入学前あるいは在学中に自身の"声優像"を見定めることで進路先へアプローチしやすくなると思います。

学校と養成所のカリキュラムの違い

各学校と養成所ではカリキュラムやレッスンにも多少の違いがあります。

例えば、認可校(全日制)のカリキュラムでは年間800時間以上が保証されており、基礎から発展までみっちり履修できますが、養成所では年間のレッスン時間も限られたところが多く週1〜週3回程度がほとんどです。

しかし、こうした養成所では必要最低限の声優育成に特化したカリキュラムが組まれているため、より効率的で実践的な学習が可能というメリットもあり、年間の学費を考えても生徒にとっては自分の実力を試しやすい環境だといえます。

それぞれにメリット・デメリットはありますが、学びの時間を確保しながら多くのプロダクションにアプローチするなら学校、特定のプロダクションに向けて実力を試したいなら養成所を検討するのがおすすめです。

主なレッスンについて

ここからは、僕自身のこれまで経験をもとに、実際のレッスンの内容や流れについてご紹介していきます。

基本的に、声優のレッスンは座学よりも体を動かす授業がほとんどなので「勉強」というよりも「稽古」という認識が正しいです。また、課題に向けて仲間同士で練習する機会も非常に多いので、学校生活がはじまればレッスン以外の時間もある程度確保できているのが望ましいですね。

発声・滑舌

名称は「発声基礎」や「アーティキュレーション」など様々で、もっとも基礎的なレッスンとなります。正しい発声に必要な体づくり、姿勢、呼吸のコントロールから入り、徐々に腹式呼吸を覚えていきます。発音では、日本語の基礎知識、口の動かし方や舌のポジションといった調音、さらには鼻濁音、無声化などを習得していきます。

地道で単純な課程ではあるものの、なんだかんだで声優・ナレーターになるためにかなり大切な要素がつまっており審査でも絶対にみられるポイントです。

この基本的なところができていないまま進級する人は結構多く、それが結果的にオーディションや審査に響いてくるのでこの段階で"自分のクセ"を治すことが大切です。

演技基礎

役者としての演技・表現力を養うレッスンとして、ほとんどの学校・養成所でこれに近いカリキュラムが1年次に組まれています。こちらも役者に必要な体づくり(発声・筋トレなど)をはじめ、感情解放といった表現的なアプローチもふまえて口先だけではない体と感情を使った演技を習得していきます。

レッスンが進むにつれてセリフを入れたショートストーリーやエチュード(即興劇)、最終的には台本作品をもとに素読み立ち稽古を経て一つの舞台公演を行うことが一般的ですね。

カリキュラムによっては、ストレートプレイを主眼とした「俳優演技基礎」、アフレコまでを目的とした「声優演技基礎」といったように分かれていることもあります。

ヴォイストレーニング/歌唱

声優としての発声基礎を学ぶレッスンもありますが、多くは歌唱を目的としたレッスンが多いかもしれません。発声、発音の基本レッスンはもちろん、ピッチ、テンポ、ブレスコントロールを習得し、最終的には楽曲にあわせての表現方法やステージングといった見せ方までを習うことが多いです。講師によってアプローチの仕方に違いはありますが、声優学校であればあくまで発声から表現までの基本的なことが中心です。

ダンス

声優も近年様々なことが求められるようになり、「ダンス」をカリキュラムに取り入れるところも増えましたね。

内容は、筋トレ・ストレッチがメインですが、振り付け指導で毎回課題が出ることも多く、ジャンルもヒップホップやロックなどそれぞれ振りのテイストが異なるものを扱うことがあります。曲や振りを体に染み込ませることはもちろんのこと、発表に向けて仲間内で練習することも多くなるでしょう。とはいえ、こちらも体力や肉体、リズム感に瞬発力など、役者に求められる基礎力を養うことが主眼であり日々の学校生活を送る上でも欠かせない要素の一つです。

ナレーション/朗読/ラジオドラマ

学校や養成所のレッスンでは何かと体を動かすことが多いですが、座学形式で行われるのが「ナレーション」「朗読」「ラジオドラマ」などです。

それぞれアプローチの仕方は異なりますが、毎回生徒が指定の原稿(台本)を読み上げ、講師がそれを通して抑揚のつけ方や間の取り方などをアドバイスするといった流れが一般的です。また、カリキュラムの後半には実際にスタジオに入って映像に合わせるナレーション実習、朗読やラジオドラマでは作品発表などがあるかもしれません。()だけで表現しなければいけないため、より繊細なニュアンスや想像力が求められる発展的なレッスンといえます。

アフレコ

メインカリキュラムとして有名なのがアニメや外画のアフレコのレッスンです。

アフレコ台本の読み方、台本の持ち方、マイクワークなどを習得し、演技指導を通して自身が演じるキャラクターと向き合うことなります。レッスンが進むにつれて、実際にディレクション(演出)を交えた指導も増えてきますし、場合によっては「卒業制作」と並行して行うケースもあるので、スタジオ収録を重ねた実践的なレッスンへと移行していくかもしれません。

進路対策サポートカリキュラム

多くの声優学校では、毎年学校主催のオーディションが開催されますが、それにあわせて各種オーディション対策用のサポート・カリキュラムが用意されていたりします。

プロフィールの書き方やオーディション写真にボイスサンプルの作成、他にも自己PRのコツや姿勢・歩き方、パフォーマンスのアドバイスなど。オーディション未経験者にとっては何かとありがたいサポートが多く、オーディションスキルを磨く絶好の機会としてぜひ活用したいところです。また、この他にも在校生向けに各プロダクション関係者を招いた進路説明会などがあり、今後の進路を検討する上で参加してみるのもいいかもしれません。

【例】

  • オーディション説明会
  • プロフィール作成講座
  • ボイスサンプル制作
  • ブラッシュアップ講座
  • オーディション対策講座
  • 模擬オーディション
  • プロダクション説明会

卒業制作

数あるカリキュラムの集大成として用意されているのが「卒業制作」や「卒業公演」で、多くは年度終わりの2月〜3月あたりに予定されています。

アフレコ作品の上映や舞台公演など、学校・養成所によって演目は様々ですが、一般公開やプロモーションを目的としたところも多く完成度も問われるため、実際のところは数ヶ月前から他のカリキュラムと並行して発表作品の準備に取りかかるケースがほとんどです。

卒業生にとってはもっとも忙しい時期ではありますが、入学希望者にとってはどういったことをするのかイメージが掴みやすいので公演にはぜひ一度足を運んでみるといいです。

まとめ

というわけで、今回は声優学校・養成所のレッスン内容についてご紹介しました。

この他にも、「殺陣」や「日本舞踊」といったカリキュラムが組まれているところもありますし、養成所によっては「合宿」が行われていたりと様々ですが、"声優に必要なもの"を養う上ではどれも当てはまる経験だったりします。

また、最近では体験入学の一環として「模擬レッスン」を開催するところも増えてきているので、実際に学びんでみたいという方はこれらを検討してみるのもおすすめです。

ライター:ゆうき

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