声優・俳優
声優学校で感じたメリット・デメリット
経験談
今では多くの声優志望者が通うのが「声優学校」ですよね。
東京・大阪を中心に校舎が点在し、昔に比べてとても学びやすくなったことから、今後同じように進路を検討している人も多いのではないでしょうか?しかし、学費の高さや場合によっては一人暮らしをしなければいけないために入学のハードルも高かったりします。そうした理由から、入学を見送ったり、養成所やワークショップなど他の選択肢を検討しようか悩む人も多いかもしれませんね。そこで、今回は声優学校と養成所に通った僕自身の経験から感じた声優学校のメリット・デメリットについてご紹介していこうと思います。養成所との比較、今後の判断基準や学校生活に向けてみなさんがイメージできるような特徴も解説してみたのでぜひ参考にしてください。
認可校・無認可校について
一般的に専門学校というのは「認可校」「無認可校」に分けられ、同じ声優学校でも実は多少の違いがあります。簡潔に説明するとこちらですね。
- 認可校:法律に定められた要件を満たした教育機関
- 無認可校:法律に定められた要件から外れた独自の運営方針を採る教育機関
認可校は、奨学金制度や就職支援、カリキュラムや施設設備といった項目のなかで、文科省がそれぞれ定めた基準を満たしている学校のことで、課程を修了した生徒には「専門士」の称号が付与されます。
無認可校では、各学校(企業)独自の学生支援制度や、全日制に加え土日・夜間スクール、声優育成に特化したカリキュラムなど、時代やニーズに合わせて柔軟な運営が行われているため、規模や特色がはっきりとしているところが多い印象です。
認可校・無認可校の見分け方については、ざっくりと校名で判別することもできますが、詳しくは各学校の公式ホームページより参照することをおすすめします。
【認可校にみられる校名】
- 学校
- 専門学校
- 専修学校
- 学校法人
【無認可校にみられる校名】
- 学院
- 学園
- スクール
- カレッジ
- アカデミー
声優学校のメリット
機材設備が充実
学校と養成所それぞれ通ってみて感じたことですが、各施設や音響機材に関しては声優学校の方がかなり充実しています。とくに、大手や校舎の大きい学校であれば「レッスン場」「スタジオ」「ロビー」といった広さや数も充分なくらい揃っていてレッスンを受けるにあたっては理想的な環境といえます。また、自主練習をする際にも、これらの空き教室を利用することでわざわざ外部のレンタルスタジオなどを借りる必要がないので、レッスンの前後に気軽に効率よく練習できることは学校生活において大きなメリットです。
カリキュラムが豊富
昨今では、声優に様々なスキルが求められることから、声優学校(とくに全日制)では多様で豊富なカリキュラムが用意されていることが多いです。そのため、養成所に比べてレッスン時間も多く、幅広いカリキュラムから生徒自身の可能性を広げやすい利点もあります。カリキュラムを大きく分けると、1年次の基礎レッスン、2年次の発展レッスンですね。1年次は、各学校が長年培って築いた基礎課程が中心で、2年次は、それぞれの生徒の意向にあわせた選択的応用科目が用意されているケースがほとんどです。このあたりは、学科・コースや講師の指導方針によって特色がはっきり出る傾向なので、入学前に各学校の学科やレッスン内容を理解した上で検討してみることをおすすめします。
講師陣が豊富
生徒数やカリキュラムによって違いはありますが、講師陣の数が豊富なのも学校の良いところです。例えば、同じアフレコの授業でも教える講師が違えばアプローチの仕方や指導法にも違いがあるため、自分に合った講師に出会えたり一つのものごとを様々な多角的に学べることができます。また、学校によってはカリキュラムの一環として特別講師を招いた講義やレッスンを行うところも増えていますね。こうした機会では、受講生にしか話せない業界の裏話や声優論なども聞けたりします。それぞれの学校・養成所を検討する際は「この先生に教わりたい」「講師陣が充実している」といった理由も判断材料の一つになるかもしれません。
人間関係を築きやすい
こちらは当たり前のことですが、学校に通うことで声優業界に携わる、あるいは今後携わるであろう多くの人たちと接点が生まれます。また、実際に通ってみてわかることですが、声優関係の学校・養成所では、生徒間同士で練習する機会が頻繁にあるため人間関係を築きやすい環境といえます。こうした人間関係は、独学やオンライン授業で学ぶだけでは築きにくいことですし、規模の大きい学校であればよりたくさんの人と出会えるかもしれません。
進路・オーディションサポートが充実
学校生活も終盤にさしかかってくると、オーディションや卒業後の進路について考えることが多くなります。本来なら自分でオーディションや進路先を探して、プロフィール・ボイスサンプルを練りながら対策を考えて...という作業になりますね。しかし、学校ではこうしたことにも職員スタッフが進路やオーディションの相談に乗ってくれたり、学内オーディション前には定期的な「オーディション対策講座」や「模擬オーディション」などが開かれます。基本的に、在校生の多くは就活やオーディションに慣れていないケースが多いので、こうした部分でのサポートが整っているのは声優学校の最大の強みだと思います。
就職に強い
在校生の中には、卒業後に声優を諦めて一般企業への就職や新しい分野の道に挑戦する人も少なくないです。そうしたときにも、先ほど挙げた進路サポートに加えて、就活でも学校の紹介で企業へコンタクトを取ってくれたり、過去の実績からおすすめの就職先や進路先を提案してくれるケースもあります。場合によっては、「この学校の卒業生なら」「この人の紹介なら」という理由で検討してくれることもあるので、個人で行動するよりもこれらのバックアップがある方がかなり心強いのではないでしょうか。また、卒業生の中には学校の職員スタッフとして働く人も少なくないので、別の形で業界に携わりたいという場合にも学校側が受け皿になってくれるケースがあります。
声優学校のデメリット
学費が高い
認可校・無認可校を問わず、他の養成所に比べて学費が高いのが大きな難点です。
学科やコースによっては安く学べるところもありますが、一般的に全日制だと卒業までに約250万円程度が必要となりますね。加えて交通費、さらに一人暮らしをする場合には生活費等でより負担が大きくなるので、経済的に余裕のある状態で入学を検討するのがおすすめです。学校によっては、早期志願やAO・推薦など、特定の条件で学費が割安になるケースもあるので、進路を絞っている場合は早めに行動するのがいいかもしれません。
生徒の意識・レベルに差がある
あくまで個人的な印象ですが、養成所に比べると生徒の意識やレベルにばらつきがあり、全体的に見ると低いと感じることがありました。というのも、声優学校に関しては大手や有名どころの養成所に比べて入学の倍率が低いぶん入学する生徒の意識や経験も様々です。同じクラスの中でもそれぞれモチベーションに差がありますし、1年経つ頃にはそれが少しずつ技量になって現れてきます。こうしたことから、団体の足並みが揃わなかったり関係がギクシャクすることはよくあるので、個人で頑張ることと平行して集団として仲間同士どう向き合うかという力も試されます。
学習効率の低さ
生徒数の多い学校というのは、競争力が高く学びの視野が広がりやすいなど利点もありますが、逆に言うと学習効率が低くなるというデメリットもあるかと思います。例えば、一回のアフレコ授業で25人の生徒が受講する場合、一人あたりが実演できる時間はかなり限られたものになりますし、表現やダンスなど体を動かす授業だとレッスン場によっては狭く感じることもあるかもしれません。"見て学ぶ"ことも大切なのですが、やはり人前で成功・失敗して掴めた感覚や指導されて身に付いた経験は自分自身の中に残るものが多かったりします。そうしたことを重視する場合は、少人数制を採用する学校やワークショップというのも一つの選択肢になるかもしれません。
学校行事の多さ
こちらはかなり個人的な意見ですが、学校は養成所に比べて行事やイベント事が多くて困ることが多かったですね。そのための準備に手間を取られたり学校が休講してしまったりと、なにかとレッスンの課題で手一杯だった僕自身そのあとでかなりあたふたした経験があり、できることなら学校行事への参加はほどほどに、部活やサークルへの入部は控えた方がいいと思います。声優学校は養成所と違って"学校生活を楽しめる場"でもあると思っていて、ときにはリフレッシュも必要ですが、自分自身の目標を叶えることの方がもっと大切です。
まとめ
というわけで、今回は声優学校のメリット・デメリットについてご紹介しました。
よく声優学校は学費が高いと言われますが、高い学費にはそれなりの理由があると僕は感じていて、若いうちに特殊な環境で仲間と切磋琢磨できるのはなんだかんだで貴重な経験だと思います。今回ここで取り上げたポイントをどう感じるかはみなさん次第ですが、近い将来、もし声優学校に入学することになったら、こうしたことを頭の片隅に残して、充実した学校生活を送ってもらえたら嬉しいです。
ライター:ゆうき