声優・俳優
【無声化とは?】発音とチェック方法
声の仕事をする人にとって欠かせないのが「無声化(むせいか)」ですが、なかにはこの言葉にあまり馴染みのない人もいるかもしれません。
実は、無声化を身につけるだけで、一音一音のメリハリがつくだけでなく大人っぽい印象を与える発音方法です。
というわけで今回は、声優・ナレーター志望者が必ず身につけておくべき無声化の発音ポイントと簡単なチェック方法をご紹介します。
無声化とは?
そもそも「無声化」とは何なのか?ですが、簡単に言うと発音時に声を響かせないことです。
有声音の場合、声帯の振動を使って発音することになりますね。
しかし、無声化の場合は、声帯を使わずに息で抜く発音方法となります。
例えば、滑舌練習のときに行う「さ・し・す・せ・そ」の発音は有声化した音になりますが、アナウンサーが原稿読みで行う語尾の「~です」の「す」は無声化した音になります。
ちなみに、世界の言語の発音には「有声音」と「無声音」がありますが、日本語の場合は有声音がほとんどで、日本人の多くは無声化して発音するクセがついていないのも特徴です。
特に、関西をはじめとした有声音が顕著にみられる方言はその代表例といえますね。
とはいえ、日本の共通語には無声化が含まれるポイントがいくつかあるため、きちんとしたポイントを理解し無声化することが大切です。
無声化のメリット
正しい無声化ができることで、綺麗で滑らかな発音になるだけでなく喉にも負担がかかりにくいことから様々なメリットがあります。
キャラクターや役柄の特徴からあえて有声音で喋るのはアリですが、ナレーションやアナウンスといった場面では拙く聞こえて悪目立ちしてしまうので、有声化・無声化の両方を使いこなせるのが理想的といえます。
喋りのクセや方言などの影響から無声化の習得には個人差がありますが、しっかりと取り組めば誰でも改善できる発音でもあります。
チェック方法
無声化ができているかの確認方法とても簡単で、喉に指を当てたときに振動しているかをチェックしてみましょう。
喉が振動している場合は「有声化状態」、振動していない場合に「無声化状態」となります。
- 振動あり:有声化
- 振動なし:無声化
無声化がわかりずらい人は、以下の例文をゆっくり発音したときに喉の振動に変化があるかどうかを確かめながら練習してみるのがおすすめです。
『フカフカのフクをミツケルことがデキマシタ』
『アタシはアシタもベンチにコシカケル』
発音のポイント
無声化のポイントは発音時に息で抜くことです。
とはいえ、口の形は有声化のときと同様なので、単に喉(声帯)を使うか使わないかの違いですね。
おすすめは有声音と無声音を使ったトレーニングです。
まずは、「す」の口の形で歯の隙間から息だけを「スッ、スッ、スーーーッ」と送り出します。
これが音の出ていない無声化の状態で、次にいつも通り喋る感覚で「スッ、スッ、スーーーッ」と喉を鳴らし声を出してみましょう。
どちらの感覚も掴めたら「スッ、スッ、スーーーッ」と無声化・有声化を繰り返し行えるようになるまで試し、慣れたら他の音にもチャレンジしてみましょう。
ただし、息を抜きすぎたり弱々しくなると無声化の音自体も消えてしまうので、抜いたブレス音もしっかり出すことがポイントです。
息が弱いと感じる人は、以下の腹式呼吸を身につけるブレストレーニングも参考にしてみてください。
※【ブレストレーニング】自宅でできるおすすめの音を出さない練習5選(2021.04.18)
無声化の法則性
次に、無声化が使われるの法則性について解説していきます。
もちろん例外もありますが、どこで無声化になるのか?という傾向を知っておくと改善や対策にも役立つはずです。
先ほどの例文でもそうですが、無声化のほとんどが口の開きが狭い母音「イ」「ウ」に子音を組み合わせた音で使われます。(例外として「ア」「オ」などの無声化もあります)
ちなみに母音というのは「a,i,u,e,o」、子音「k」「s」などですね。
【無声化の基本法則】
- 子音(k,s,t,h,p)+母音(i,u)
【無声化が使われる音】
- 「か行(き・く)」
- 「さ行(し・す)」
- 「た行(ち・つ)」
- 「は行(ひ・ふ)」
- 「ぱ行(ぴ・ぷ)」
ただし例外として、特定アクセントの単語(カタカナなど)や末尾が疑問形の場合は有声化になります。
まとめ
というわけで、今回は綺麗な発音に欠かせない「無声化」について紹介しました。
無声化を習得するポイントは、喉の振動をチェックしながら息を抜く感覚をトレーニングで身につけることです。
有声音とのメリハリが効いた綺麗な発音ができることで、印象が良くなる大切な発音の基礎でもあるのでぜひ身につけられるようチャレンジしてみてください。
※鼻濁音とは?基礎知識から発音のポイントまでをわかりやすく解説!(2021.09.26)
ライター:ゆうき