声優・俳優

アニメと吹き替えの違いは?知っておきたいアフレコ基礎知識

87.jpg業界対策

声優の仕事といえば、アニメや外画の「アフレコ」を思い浮かべる人も多いかもしれませんね。しかし、実際のところこのふたつをとっても演じる際にはちょっとした違いがあることをご存知でしょうか?

そこで今回は、声優を目指す人に向けてアニメ収録と吹き替え収録の違いをわかりやすく紹介していきたいと思います。

収録環境の違い

まずは収入についてですが、アニメと吹き替えのどちらも日俳連(日本俳優連合)の定めたランクによって1本あたりのギャラが決まっていて、基本的に新人はランクなし(¥1,5000)からのスタートになります。

キャリアとともにランクが付くようになると+¥1,000ずつギャラが上がり、最高で1本あたり¥45,000とも言われていて、そこから上限を超えるとフリーランクの扱いになります。

どちらも、セリフ量や拘束時間に関係なくこうしたランクによる定額となるため、どれだけ収録に参加した新人でも一言だけ喋ったベテラン声優よりギャラが少ないということはよくある話ですね。

しかし、吹き替えに比べればアニメの方が作品自体のボリュームが少なく収録時間も短いことから、基本的にコストパフォーマンスは高いと言えます。

こちらに関しては、声優・大塚明夫さんの記事がとても参考になると思います。

声優に憧れる人が知らない「厳しい収入事情」:https://toyokeizai.net/articles/-/321704

この他にも、アニメの出演キャストは声優事務所から選ばれることがほとんどですが、吹き替えは劇団所属者も多く、作品の傾向的にも男性の配役が圧倒的に多いです。

収録時も、アニメでは映像のみの口パクやタイムに合わせてアフレコするのに対し、外画では作品の原音が流れるレシーバーを耳に当てながらそれを参考に声をアテていきますね。

アプローチの違い

こうした違いからアニメと外画でも多少の違いがありますが、さらに細かくみていくと演じる際のアプローチにも違いがあります。

この二つは単純に言っても、一方はアニメーションのキャラクター、一方は生身の人間というように声をアテる対象が全く異なりますね。

アニメであれば、台本にト書きがあるとはいえ、原音もなければ人物の細かい表情を読み取ることも難しく、収録によってはラフや絵コンテを撮影した簡易的な映像に声をアテることもあります。

そのため、少ない情報の中から想像力を膨らませていくことが大切で、生物の映像ではないからこそ、アニメーションの人物を生きたものにしていくにはよりデフォルメされた演技が求められますね。

もちろん、どういった視聴者に向けた作品なのかを理解することも重要で、最終的にBGMSEが入ってオンエアーされたときのことをイメージしながら作品の流れを把握するのも大切です。

一方で吹き替えは、より繊細でリアルなアプローチが求められ、「すでにあるもの」に声をあてるため、映像の邪魔にならない自然な演技が重要になります。

表情や体の動き、息づかいや口元の仕草といった微細な部分にもうまく音をアテてしっかりと違いを出すことで映像とマッチしやすいですね。

それだけにとても奥が深く、海外特有の言い回しやスラング、会話テンポの速さも特徴です。

どちらも、高いスキルが要求されますが、一方はオリジナル作品、一方は完成作品に声をアテることからそのアプローチも大きく異なります。

まとめ

今回は、アフレコ収録におけるアニメと吹き替えの違いについて紹介しました。

同じアフレコでも、映像が異なれば演じる際のアプローチも大きく違ってくることがわかりますね。

また、アニメや外画・海外ドラマにはたくさんのジャンルがあるように、様々なテイストの作品に多く触れることで、それぞれの魅力や作品のパターンが見えてくるのではないでしょうか。

マルチが当たり前?声優の仕事をジャンル別に紹介(2019.07.22)

ライター:ゆうき

RELATED

この記事に関連する記事