声優・俳優

"声を作らない"ためのアプローチとは?

85.jpg演技のアプローチについて

声優学校や養成所のレッスンでは、よく「声を作るな」と指摘されることがあるように、多くの声優志望者が陥りがちな課題だったりしますよね。

とはいえ、指摘された側としては、声を作らないようにする方法がいまいち理解しづらかったりしますよね。

そこで今回は、声を作らないためのアプローチ方法について紹介していきます。

僕自身も過去に指摘されたことではありますが、ある考え方に基づいて表現することで改善できるのでぜひ参考にしてみてください。

声を作ってしまう原因は?

声を作ってしまう一番の原因は、演じるときの「意識」にあります。

わかりやすい例えだと、声優さんの声真似をした人もいるかもしれませんが、これは意識的に「声を似せよう」「いい声で喋ろう」と思ってやっているためどうしても嘘っぽく聞こえてしまいますよね。

音をなぞったり雰囲気やイメージ先行で考えてしまうと、自分の中から生まれたものではなく、周りから拾ってきたものだけで表現をしていることになります。 

同じように、良い芝居をしようと思うと、自分が良いと思うイメージの声や音をチョイスして外さないようにアプローチしてしまいます。

そうしたクセがつくと、キャラクターを演じるときに喉を締めた発声になりがちで、後々さらに苦労することになります。

少し難しいように感じるかもしれませんが、この意識を変えることが声を作らない近道になります。

声を作らないアプローチ

声を作らないためのヒントとして、『メタルギアソリッド』ソリッド・スネークでお馴染みの声優・大塚明夫さんの言葉はとても参考になると思います。

スネークとして、ライダーとしてその声を使う、というだけ。そこにうそを交ぜる余地はありません。「大塚明夫としていい声だと思われたい」なんて意識を、スネークが持っているわけがありませんよね。

出典:大塚明夫「プロ声優と素人を分かつ決定的な差」東洋経済オンライン

大塚さんが仰るように、セリフはスタッフやお客さんに向けてではなく"対峙する役"に向けて放つものですね。

みなさんも、プロの演技を聴いて、その熱量の高さ、迫力や繊細さに一度は圧倒されたことがあるかもしれません。

ですが、もし参考にする際は、表面的な音よりも根本的な演技のアプローチに注目してみてほしいです。

作品上のキャラクターの役割や性格、背景、関係性など、なぜそのお芝居に至ったのかには必ず理由があって掛け合いにも繋がりがあるはずです。

日常生活でもそうですが、理由もなく声は出てきませんし、そこには必ず心や体が動いた根拠があります。

この心と体があって、はじめてセリフにリアリティや人間味が出てきます。

例えば、怒ったセリフを実際に聴き比べてみるとわかりやすいですが、なんとなく喋るよりも、心の底から腹が立ったことを思い出し、そのときの感情や体の状態に乗せて声に出すのとでは全く違いますよね。

そして、声優として大切なことは感情の変化をしっかりと声で変化させることです。

自分の心が変わっても声が変わっていなければ相手にそれが伝わらないため、体力や集中力と同時にとても繊細な技術も求められます。

はじめは時間がかかりますが、これらは声優としてお芝居をする上でとても大切なことなのでぜひ実践してみてください。

"素の自分"磨き

先ほども挙げたように、声を作らないためには「意識」がとても大切ですが、人前になるほど作った声を出したり、オーディションでは合わせにいってしまう人も多いかもしれません。

ですが、日常生活から"作った自分"で生活する人はまずいないはずです。

結局のところ、お芝居は等身大の自分から生まれるものであって、それ以上でも以下でもないと思います。

だからこそ、日常生活では"素の自分"を磨くこと、人前に出たときにはありのままを出し切ることが大事です。

そのためには、素の自分を出せることがいちばん大事です。

オーディションのときも素を出して、それに近いキャラクターを狙っていけば早いんですよ。

出典:『声優道 名優50人が伝えたい仕事の心得と生きるヒント』p.210(島本須美) 出版主婦の友インフォス

まとめ

今回は、声優志望者のための声を作らないためのアプローチについて紹介しました。

"良い声"には誰もが憧れるものですが、いざ自分が演じるときには必ずしも作った声が評価されるとは限りませんしどこかで必ず不自由さを感じてしまいますね。

地道な努力ではあるものの、そのままの自分で勝負することが作らない声の第一歩ではないでしょうか。

ライター:ゆうき

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