声優・俳優

表現力アップのためのおすすめ基礎アプローチ

77.jpgセリフ・原稿読み対策

声優を目指すの多く人が演技や原稿読みにはじめて挑戦するものですが、なかには「棒読み」や「表現力のなさ」に悩む人もいるかもしれません。

以前の僕もみなさんと同じような悩みを抱えていたように、自分の声を聞き返してもその原因がいまいち掴めませんでした。

「もっと感情を込めて」「伝えて」と言われても、それがなかなかできないからこそ歯痒いんですよね。

そこで今回は、こうした問題を克服する一つの解決法を紹介します。

セリフや原稿読みが苦手な人、声に感情をどう乗せていいのかわからない人が実践しやすい方法だと思うので、ぜひ以下の方法を参考にしてみてください。

課題は一度捨てる

みなさんは、セリフや原稿読みときにどんなことを考えていますか?

「上手に」「間違えないように」「感情を込めて」「抑揚や語尾の音を」など、いろいろなことを考えがちですが、あまり難しく考えない方が良かったりするときもあります。

とくに未経験者の場合、そうしたことがプレッシャーになって早口になったり、伝えるべき相手が見えなくなってしまいます。
上手にしようとすればするほど、気をつけることが頭の中にたくさん出てきますが、根本的なことはとてもシンプルで、感じたままに表現することが大切です。

最初は、間違っても噛んでしまっても良いので、心で感じたものをそのまま声に出すアプローチをしていきましょう。

心と体を動かす

例えば、椅子に座って原稿を目の前に文字を読もうとすると、どうしても言葉に感情が乗らない人もいますね。

そんなときは、手から原稿を離して立った状態でセリフや文章を暗唱してみましょう。

体全体を使って大きく表現すると声にも感情が乗りやすくなりますね。

例えば、「痛い!」と感じたときは、体が咄嗟に緊張して顔もギュッと強張りますし、ときには大声で叫ぶほど激痛が走るときもありますよね。

その瞬間の声や体は、とてもリアルで自然だと思います。

『人気メニューは「塩らーめん」。

イタリア岩塩を使用した黄金色のスープに、こだわりの自家製麺が絡む味はまさに絶品です。』

また、このような文章があれば、実際に絶品の塩らーめんを食べてみたり、ものすごく美味しいと感じたときの感覚を思い出してみるのがおすすめです。

そのときには必ず表情が変わったり、体から湧き上がる熱量があるはずです。

この心と体のスイッチが入ることで発する言葉にも変化が出てくるので、原稿読みだからといって文章や声に囚われず、そこから受け取ったものを素直に出すことからはじめてみてみください。

イメージを読む

セリフや原稿読みでは、とかく文字に追われてしまう人も多くみられますね。

ですが、これでは言葉が堅くなったり味気ないものになってしまいます。

先ほども挙げたように、表現力はこれまでの経験や感覚がヒントになりますが、実際のところ声優やナレーターは体を動かすことができないため、想像力がより頼りになってきます。

そこで、少しややこしい言い回しになりますが、文字を読むのではなくイメージを読むことを意識してみましょう。

例えば、自分自身が想像する「空」をイメージして声に出してみてください。

  • 明るさ
  • 太陽や月
  • 雲の数

などなど、そのときの景色や周囲の音、匂いなども想像していくと、さらにはっきりとした空になるはずです。

この他にも、自分が想像できる2つめ、3つめの空を思い浮かべて言葉にしてみてください。

普段サラッと流してしまいがちな文章も、言葉一つ一つを丁寧にイメージして読んでいくと全体の印象もガラッと変わってきます。

表現力を鍛えるおすすめ練習

それでは、想像力を養うトレーニングとして、以下の例文からそれぞれ3パターンのイメージを作ってみましょう。

同じ文章でも、イメージが異なれば声や表現も変わるはずなので、スマートフォンやボイスレコーダーなどで録音しながら行うのがおすすめです。

  1. 真っ青に透き通った空
  2. 散ってゆく桜
  3. なだらかな丘の上の一軒家
  4. 閑静な住宅街
  5. 黄昏の雑踏に紛れて消えてしまった
  6. うっとりするような黒い瞳
  7. 私は白いシーツをはねのけて 夏の朝にあなたを迎える
  8. 遠慮がちにノックが2回こんな時間に誰だろう?
  9. みんな諦めてくたびれて ぐうぐう眠っている

『椎の木』豊島与志雄

がけの上のひろい庭に、大きな椎の木がありました。

何百年たったかわからない、古い大きな木でした。

根かぶが張りひろがり、幹がまっすぐにつき立ち、

頂の方は、古枝が枯れ落ちて、新たな小枝がこんもりと茂っていました。

朝日がさすと、若葉がさわさわと波だち、椋鳥や雀がなきたてました。

春さきのこと、あたたかいそよ風が吹いて、

この椎の木も笑ってるようでした。

豊島与志雄の『椎の木』(しいのき)という作品の冒頭部分ですが、情景がイメージしやすく読みやすい文章なので練習題材として利用してみるのもおすすめです。

『椎の木』豊島与志雄:https://www.aozora.gr.jp/cards/000906/files/45066_47018.html

まとめ

というわけで、今回はセリフ・原稿読みが苦手な人におすすめしたい表現力アップのポイントを紹介しました。

言葉を具体的にイメージしていけばいくほど心や体はしっかり動くもので、それが魅力的な声になって表れてくるはずです。

そうした、自分にしかない個性をさらに磨いていくと、今後より大きな成長に繋がるはずです。

【朗読・原稿読み】"伝える"読み方にするための5つのコツ(2021.10.11)

【卓立法とは?】解説と「相手に伝わる話し方」のテクニック(2021.03.02)

ライター:ゆうき

RELATED

この記事に関連する記事