声優・俳優
【表現力アップ】声優・ナレーター志望者が習得すべき卓立法
みなさんは「卓立法」という言葉をご存知でしょうか?
あまり聞き馴染みのない単語ですが、声優やナレーター、アナウンサーが行っている原稿読みのちょっとしたテクニックでもあるんです。
最初は多くの人が「棒読み」に悩むことがありますが、この卓立法は、誰でも習得し磨いていけるおすすめのテクニックであり、実は、日頃からみなさんも自然と使えていたりするものです。
そこで今回は、そんな「卓立法」からナレーションの上達ポイントについて詳しく紹介していきます。
原稿読みがもっと上手くなりたいと感じる人におすすめの方法なので、ぜひ今後のスキルアップに役立てくださいね。
卓立法とは?
そもそも卓立法とは何か?ですが、簡単にいうと「言葉を立てるテクニック」です。
例えば、テレビのアナウンサーやナレーターの説明を聞いていると、内容がとても理解しやすく聞き取れると感じたことがあるはずです。
これは、「いつ」「どこで」「何があったのか?」など、要点となる部分を音の変化でわかりやすく伝えているからです。
みなさんが実践するときにも、もっとも伝えるべきポイントを相手にうまく伝えることが原稿読みの基本になります。
読解と組み立て
それでは、卓立法の基本となる文章の読解について、以下の例文から具体的に解説していきますね。
実際に、"強調するポイント"を変えるだけで、伝わり方もガラッと変わってきます。
『私は、明日勉強のため書店へ本を買いに行きます。』
例えば、この文で「私は」という部分が強調された場合、「誰が(Who)行ったのか?」というポイントがフォーカスされますね。
反対に、聞き手が「何を(What)を買ったのか?」が知りたい場合は、「本」を強調することで伝わりやすくなります。
こうした卓立法は、話し手に目的があるからこそ、みなさんが行う日常会話でも自然とできていることだったりしますね。
よく、原稿読みになるとうまくできない人も多いかもしれませんが、まずはリラックスして、どこを伝えるべきかを整理しておくのが大切です。
これらはあくまで基本ですが、さらに文量のある原稿でも内容をしっかり読み込んでピックアップし強調すべき部分を明確にしていきましょう。
実践のポイント
原稿の組み立てがわかったところで、次に実践的なアプローチ方法について紹介していきます。
言葉を立てるテクニックとして、以下の4つのポイントをうまくコントロールできるようになると印象がガラッと変わってくるはずです。
①ボリュームを変える
もっとも実践しやすいものだと、声量を変えて喋ることですね。
例えば、感情を込めて声を大きくすればインパクトを与えることができますし、逆に小声までボリュームを落とせば相手の注意を引くことができます。
一定のボリュームから声に大小の変化をつけていくことで、文章中のわかりやすいアクセントになるはずです。
②スピードを変える
強調したい言葉でスピードを変化させるのも効果的な方法です。
例えば、先ほどの小声にくわえて、読む速さをゆっくりと変化させて喋ってみましょう。
そうすることで、強調したい言葉がさらに深く印象的になりますね。
こちらも、一定の速さから強調したい部分でグッと変化をつけるなど、緩急のメリハリがあるととてもわかりやすくなります。
③音程・トーンを変える
3つ目は、"言葉の抑揚"といわれるように音の高さや明るさを変えることです。
先ほどの例文で、「"何"を買いに行くのか?」を伝える場合、他の文章よりも「本(ほん)を」という音程を高く明るく表現するとより強調されますよね。
ポイントは、変化をつけたい部分のみ音を変え、他はしっかり音を抑えてメリハリをつけることです。
また、不自然に音が変わりすぎないよう、一定の音域の範囲内で行うことが自然な読みにつながります。
明るく楽しい話題なのか?重くシリアスな内容なのか?など、作品や原稿によってどういった高さや明るさで読むべきかを考え、それにあわせたアクセントをつけることで表現の幅が広がっていきます。
④間を変える
原稿読みでは、「間(ま)」を変化させることも非常に重要なポイントの一つです。
"間は魔につながる"といわれるように、一歩見誤れば事故にもつながるほど繊細なものですが、うまく操ることができればかなりテンポの効いた読みができるようになります。
例えば、一拍(一呼吸)の間を取ることで聞き手に想像する時間を与えたり、半拍(半呼吸)区切ることで次のアクセントに抑揚をつけやすくなったりしますね。
これを強調したい部分の前にピタッと置くことで、相手の注意を引いて次の言葉をより効果的に引き出すことができます。
注意点としては、不自然な間にならないよう文章全体のスピードやテンポ感を意識することですね。
効果的な間は良いリズムを与えてくれるだけでなく、聞き手の注意をひく効果もあるのでぜひプロを参考に実践してみてください。
まとめ
というわけで、今回はナレーション上達のための卓立法について紹介しました。
これらのポイントを意識して、先ほどの例文から改めて実践してみるのも良いですし、慣れてきたら1枚の原稿にチャレンジしてみるのもおすすめです。
また、こうしたテクニックは「ナレーション」「落語」「漫才」を聞くととても参考になるので、ぜひたくさんの作品から学んでみてはいかがでしょうか。
ライター:ゆうき