声優・俳優
【セリフ・原稿読み】棒読みを治すために意識すべき2つのポイント
声優を目指す人の中には、「どうやったらプロみたいに上手く喋れるのか?」と悩む人も多いかもしれません。
とくに、セリフや原稿読みはなかなか上達を実感しにくい部分でもあり、僕も過去に同じような経験をしたことから常に悩みのタネになっていました。
しかし、棒読みはあるポイントを改善できれば大きく向上できたりもします。
それが、「抑揚(よくよう)」と「語尾(ごび)」であり、実はこれ、声優学校や養成所へ行けば必ず教わることもあるんです。
大前提として、こうしたテクニックよりも想像力や感情をもとにしたアプローチが大切なのはいうまでもありませんが、ここの音が変わることで印象もガラッと変わります。
そこで今回は、棒読み改善のために欠かせない抑揚と語尾について紹介していきます。
ぜひ、今後の練習に役立ててみてくださいね。
おすすめ練習法
抑揚や語尾を確認するために、普段の練習でもちょっとした工夫が必要です。
例えば、ただ漠然とセリフや原稿を喋るよりも、自分の声を聞く作業を増やしてみることが大切で、プロの声を参考にどこがどう違うのか?を比較すると改善点に気付きやすくなりますね。
抑揚や語尾の音が変わることで言葉の印象がどう違うのかまでわかると、今後の表現の引き出しにもできます。
実際に練習する際は、ボイスレコーダーなど自分の声をできるだけ鮮明に録音できる環境で行うのがおすすめです。
※【耳トレ】声優志望者のための耳を鍛える知識と練習法(2019.07.31)
抑揚とは?
抑揚とは、わかりやすくいうと音の上げ下げです。
例えば、「はし」という言葉でも「端」「箸」「橋」と音の高さのポイントが違うことで意味も変わってくるように、日本語アクセントもこの抑揚で成り立っています。
そして、この抑揚のメリハリが効いているほど綺麗な音に聞こえやすくなります。
ポイント
抑揚をうまく使いこなすには、意識的に高い音と低い音をコントロールできなければいけません。
そのためには、声の音域を広げることと同時に、喋りながら音の高低を聞き分け柔軟に調節することがポイントです。
抑揚で躓きがちな人に見られるのは、日常会話や歌うときは音程調整ができるのにセリフや文章読みになると抑揚がついていないことです。
そこで、まずはテキストを持たずに体を使って表現してみると声に乗りやすくなります。
題材は短文で感情の乗りやすい詩がおすすめですね。
自分の日常会話を録音するとわかりますが、自然な状態のときほどこの抑揚が使えていたりします。
文章や音程だからといって堅く捉えず、まずは自由でリラックスした状態からはじめてみましょう。その他にも、抑揚には以下の外郎売トレーニングがおすすめです。
※外郎売の練習で絶対におすすめの方法6パターン【原稿読み上達】(2020.06.20)
実践アプローチ
抑揚を使えたとしても、 文章読解ができてこそ効果が発揮されるものですよね。
そこで、実践で使えるアプローチを紹介していきます。
『私は、明日勉強のため書店へ本を買いに行きます。』
この例文もそうですが、ある単語の音を高く強調すると伝わり方が変わってきます。
例えば、「私は」という部分に抑揚をつけた場合、「"誰が"行ったのか?」が相手に伝わりやすくなりますし、前後の文脈から「"いつ"行ったのか?」が重要な場合は「明日」を強調することがポイントです。
このように、文章のどこでもっとも抑揚を効かせるべきか?というときに「5W1H」を考えるとアプローチしやすくなりますね。
- 「私は」←「誰が」Who
- 「明日」←「いつ」When
- 「書店へ」←「どこに」Where
- 「本を」←「何を」What
- 「勉強のため」←「なぜ」Why
- 「買いに行く」←「どのように」How
短文だとシンプルですが、長い文章は様々な言葉が付け足してあったり言い回しが複雑なケースも多いですよね。
一つの文に捉われず、前後の流れや要点を押さえておくことがポイントです。
語尾とは?
「語尾」と言われてもピンとこないかもしれませんが、ここでは文末の音の扱い方という意味と思ってください。
よく、「語尾をおさめる」と言いますが、この最後の微妙なニュアンスの違いによって印象がガラッと変わります。
抑揚と同じく、語尾も音の高さを意識してみましょう。
ポイント
『〇〇させて/いただきます』⤵︎
こちらの文だと「いただきます」の部分から徐々に音を下げることで堅く丁寧な印象を与えることができます。
朗読やナレーションなど、様々な文章で使える語尾のおさめ方ですね。
これとは逆に、語尾を投げ放つように喋ると子どもっぽく聞こえますし、「す」をしっかり落としきらなければ棒読みっぽくなります。
キャラクターや文章内容によってそれそれ応用できますが、学校や養成所で教わるような基本的な語尾の扱い方としては、先ほど挙げた音をゆっくり下げる方法を身につけることが肝心です。
実際に、ナレーターやアナウンサーの語尾を参考しながら実践してみてください。
基本のおさめ方を習得した上で、語尾のバリーションを増やしていくと様々な役柄にも活かせるはずです。
【大人っぽさ】
- 語尾の特徴:音が丁寧に下がる、声がまとまる、相手を意識している
- 音のイメージ:【⤵︎】【↘︎】
- 与える印象:知的、堅さ、安心感、冷静さなど
【子どもっぽさ】
語尾の特徴:音が下がらない、声が広がる、対象がアバウト
音のイメージ:【→】【↗︎】
与える印象:自由、奔放、幼稚さなど
実践アプローチ
語尾は抑揚に比べて聞き取りやすいため、プロのセリフやナレーションの音をなぞって真似ることがおすすめです。
もう一つのポイントとして、キャッチボールをイメージしながら、声を届ける相手を意識して音の放物線を想像すると語尾が収まる感覚が掴みやすいです。
また、場面設定を変えていくことで言葉も語尾も自然と違ったものになっていきますね。
相手のもとに声が収まる最後の最後まで丁寧に意識し、受け取った後の反応まで想像するといいかもしれません。
しっかりと頭の中でイメージを持ってから声にしてみましょう。
- 対象:誰に投げかけるのか?
- 距離:どのくらいの強さで届くのか?
- 表現:どんな内容を伝えたいか?
- 語尾:相手に収まるまで意識できているか?
- 想像:受け取った相手はどんな反応をしたか?
まとめ
というわけで、今回は声優・ナレーター志望者におすすめな棒読み改善のポイントについてご紹介しました。
こうしたテクニックはとても重要ではありますが、意識しすぎると型にはまったものしかできなくなります。
表現の根本は、あくまでも自分の感情や想像の部分からはじまるので、まずはそれらを養った上でこうした音を意識してみてくださいね。
※【セリフ・ナレーション】表現力を鍛えるために一番おすすめの練習(2020.07.16)
※【卓立法とは?】解説と「相手に伝わる話し方」のテクニック(2021.03.02)
ライター:ゆうき