総合学園ヒューマンアカデミーゲームカレッジ

株式会社スクウェア・エニックス
"旅"をテーマにした表紙グラフィックを手がけたデザイナーインタビュー

株式会社スクウェア・エニックス デザイナー
生島 直樹 氏
田中 恵 氏

――ビジュアルコンセプトについて

生島氏:今回はヒューマンアカデミーさんから「爽やかな、老若男女問わず受け容れやすい空気感であるということ」というお題をいただいた上で、制作に取り掛かりました。「爽やかさ」というところから、青空や草原といった背景を決めていって、熟考するよりまず手を動かしてみました。「学校をテーマに」ということもあったので、キャラクターそれぞれが違う専門分野を身につけていることがわかるデザイン、そして彼らが明るい未来へと進んでいく道筋を意識したデザインを心がけています。また、ゲーム開発をテーマにしたときに仲間同士の「コミュニケーション」も表現したかったので、それぞれが顔を向きあうようにしました。「それぞれ学んできたことの違う仲間達が、旅の途中に、ブレイクしつつも行く先を見据えている」というシーンですね。


――イラスト制作の手順やこだわりについて

生島氏:今回のイラスト制作にあたっては、田中さんと協力して製作にあたることになりました。自分の担当はキャラクターのデザインと線画を起こすことだったのですが、ただ線画だけでは田中さんに渡したときにうまくイメージが伝わらないと思ったのと、今後、学生さんが3Dで起こす可能性もあるということを伺っていたので、その点についても意識して、各キャラクターごとにレイヤーを分けて、バラしてディティールが見られるようにしました。構想とカラーラフでおよそ一日、線画を二日くらいで仕上げました。


田中氏:私が担当したのは、生島さんからいただいた線画を彩色して仕上げるという工程です。普段の自分の好きな手法は厚塗りなので線画は消えてしまう事が多いです。最初は慣れた方法で彩色していましたが、背景もキャラもバラバラな印象を与えてしまったため、そこから引き算をして、生島さんの線画を活かすための塗り方に調整しました。普段はハイライトでみせるというやり方が多かったのですが、色んな色を使って表現することを心がけました。

――ゲームクリエイターを目指すみなさんへのアドバイス

田中氏:何でも興味を持った方がいいと思いますね。自分からはやらないだろうなということにも、あえて挑戦してみたほうがいい。会社に入ったら自分が好きなことだけをやれるわけではないので、学生時代のそういう経験が役に立つかもしれません。


生島氏:いろいろな事をやる中で自分のより好きなことを発見できるかもしれないですしね。学生時代は常に絵を描く事を軸にしつつ、デザインと陶芸を専攻していました。他にも、演劇やパフォーマンスなど色々な表現を取り組みました。今回のイラストに関しても、学生時代に標高三千メートルのところにある山小屋でバイトした時の経験や空気感が活きていると思います (笑)
もちろん映画などを観ることもすごく大事と思いますが、自身で体感したことがコンセプトアートやキャラクターデザインをする中で、ふと活きるのでありがたい財産だなぁと感じています。学生時代のうちに色んなことを挑戦してよかったです。ただ、会社に入ってからの物作りというのは、個人で作る時間が多かった学生時代とまるで違いました。ひとりで没頭する制作と違って、チームプレイも大事なんです。最初は大変さもあるかもしれません、でもきっと刺激や勉強になる事が多く、集団でものを作るからこそ得られる面白さや楽しさを感じられると思います。


田中氏:ひとりよがりにならないことが大事だと思います。誰かが違うと言ったらそれは意味があることなので、みんなの意見を聞くことが大事ですね。


生島氏:集団作業だからこそ、その中での自分の役割や特色も見えてきます。仕事で色んなテイストのタイトルに携わっていくと、自分一人でやっていた時とは違って、自分の適性が見えてくるんです。学生の皆さんも、まずは色んな経験を積んでみて、自分のやりたいことが見つかったなら、それに全力投球すればいいと思います。

株式会社スクウェア・エニックス アーティスト
板鼻利幸氏 制作インタビュー

ゲームカレッジのキービジュアルをスクウェア・エニックスの板鼻利幸氏が描き下ろし!

株式会社スクウェア・エニックスで『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』シリーズや『チョコボの不思議なダンジョン』、『ファイナルファンタジーIX』、『メビウス ファイナルファンタジー』などのキャラクターデザインを担当している板鼻利幸さんが、ヒューマンアカデミーゲームカレッジのメインビジュアルを描き下ろしてくださいました。
このイラストに込められた想いと、ゲーム業界を目指すみなさんへのメッセージをお届けします。


株式会社スクウェア・エニックス
アーティスト
板鼻 利幸 氏

――ゲームカレッジのキービジュアルについて

板鼻氏:イラスト制作のお話をいただいて、最も悩んだのは「取っかかり」をどこに持ってくるか、ということでした。通常の仕事ですと、プランナーさんやシナリオライターさんから「ストーリーがどう進むのか、エンディング後のプレイ後感はどうなのか......」といった情報をいただいてから描くので、取っかかりがあるんですね。
今回はゲームカレッジのキービジュアルということで、ファンタジーをベースに考えたのですが、一般的にファンタジーというと「敵がいて、それを倒す」という構図のイメージが最も強く、わかりやすいかと思いました。

しかし、学校というイメージとバトルはあまりしっくりこなかったんです。そこで戦いを描くよりは、風景の先に夢があるような絵にしたいと考えました。また、同じ画面内に敵がいると、キャラクターはそれに対応しないとならないですよね。それはその場だけの対処になってしまうので、あえて敵を描かないことにより、もっと先へと旅立つイメージを持たせて、「ここから始まる」 という絵にできるかな......と考えました。


――イラスト制作の手順について

板鼻氏:まず最初にキャラクターのラフをデザインし、そのキャラクターたちが活躍する世界を......という感じで広げて描いていきました。
各キャラクターのラフについてOKをいただき、キャラクターを固めてから背景に移るという順です。製作期間を長く用意していただけたので、通常業務と並行作業をしていきましたね。ラフの段階で1か月くらい、背景のデザインでまた1か月ちょっと......というペースで進めました。

背景の段階でもいくつかアイデアを試したのですが、青空以外にダンジョンや谷間に建物があるような風景をご提案してみて、最終的に現在のものに決定しました。ダンジョンの案は冒険している感じを出そうと考えたものでしたが、こうして完成してみると明るい空は広がりもあってよかったですね。

キャラクターの向こうに見える建物は、見る人によっては学校に見えるように......クリエイターを目指す方が「これから向かう世界なんだ」と思えるようにしてみました。

あとはあえて説明せずに、想像の余地が残るようにしています。
ご覧になった方々が、想像によってそれぞれ違う解釈ができるような絵にしたつもりですので、「この天使のようなキャラクターは味方なのか、敵なのか」とか、「浮いているキューブはキャラクターなのか、アイテムなのか」といったところで想像を膨らませてほしいですね。メインキャラクターが持っている武器も、「敵を倒すために使う武器なのか、それとも何かをクリエイトするような道具なんだろうか?」と、さまざまに解釈してもらえたらと思っています。


――専門校で学ぶことについて

板鼻氏: ヒューマンアカデミーさんは、カテゴリーが多様で選択肢がたくさんあります。その中で同じ学科に通っているという人たちは、目的がハッキリしていて同じ方向を向いている人ですよね。そうした同志たちと語り合える時間は貴重です。

また、クリエイター実務経験者が講師をされているので、現場のリアルな情報を得ることができるというメリットもあります。 加えて、アナログの授業に力を入れている点がとてもよいと思いました。
我々の現場でも、「絵を描くツールが最初からPCだった」という人が増えています。例えば、水彩風の絵を描くとしても、ツールで水彩ブラシというものがありますよね。でも、そのブラシを使ったからといって「きちんと水彩画を描けるか」というと、そうではないんです。水彩画特有の、淡い色から塗り重ねていって......という過程などを含め、実際の紙と筆で覚えていかないと、本当の水彩のタッチは出せないんですね。これはアナログで描くからこそわかることであり、その基礎から学べるというのは貴重な経験になるはずです。

――ゲームクリエイターを目指すみなさんへのアドバイス

板鼻氏:ゲーム開発という仕事は、作家性が出やすい仕事だと思います。
ユーザーさんに向けて作っている製品ではありますが、多様なニーズを完全に再現するというのは無理があるでしょう。
それゆえ、学生時代に「求められるもの、受け入れられるもの」ばかりを考えてしまうと泥沼にはまって、自分の本質を見失ってしまうこともあり得ます。
ですから、まずは学生時代に好きなものを見つけてはっきり意識しておくことをお勧めしたいですね。創作という行為は自分に向けて作るという部分もありますから、好きなものや作り上げたい世界観をしっかりさせればブレ幅が小さくなりますし、それが既成の概念に流されないオリジナリティになるかもしれません。これは絵だけの話に限らず、プランナーやプログラマーを目指す人も同様ですね。

現在は昔のように「みんなが同じゲームを遊んでいる」という時代ではなく、作品に多様性がありますし、プラットフォームもたくさんあります。自分の描きたい世界、自分が作りたいゲームというものをはっきり持ってください。 それに加えて、「自分の描きたいこと」を第三者に伝えられるレベルの作品には、やはり目を奪われます。それは、見る側の視点についても理解して描いているということです。そうしたものは、学生作品の中でも際立ってよく見えますね。

みなさん、絵を描いてもモデリングをしても、シナリオを書いていても......なかなかすぐに思い通りの作品はできないだろうと思います。でも、とにかく手をつけたら完成させるまで続けてください。「うまくいかないから、ラフをたくさん描く」というやり方ではなく、作品をひとつひとつ完成させるという根気をつけましょう。
作ったものについて反省するならば、一度終わらせてから反省してください。それをできるかどうかで、制作現場で戦力になれるかどうかが変わりますよ!

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