ファッションの職種の中でパタンナーという専門職が今注目されているというお話を以前させていただきました。デザイナーと二人三脚で洋服を作っていく、洋服の良し悪しを決める重要なポジションをパタンナーは担っています。そのパタンナーに欠かすことのできないパターンメイキングの手法について今回はご紹介します。
デザイナーが描いたデザイン画を型紙(パターン)にする仕事がパタンナーですが、その型紙を作る方法にも2種類あります。ボディ(洋裁で使う人体模型)に布を当てて洋服のシルエットをボディから実際にとって型紙を作る方法を立体裁断(ドレーピング)、紙の上だけで数字(寸法)に基づいて作る方法を平面裁断といいます。
一般に平面裁断の方が立体裁断よりも経験が浅くてもできるということで、日本では平面裁断の方が普及しています。しかし、どちらの方が良い、素晴らしいということはなく、立体で裁断した方が良いものと平面で裁断した方が良いものの種類があるという認識でよいと思います。
立体裁断の最大のメリットは紙の上では見つけにくいラインを見つけることができるという点です。特に型紙でカーブになるようなラインの部分がよい例でしょう。他にはドレープのあるデザインの服や微妙な丸み、体にフィットさせる服や伸び縮みするストレッチ素材の服などの場合も立体裁断の方が良いとされています。
反対にデメリットは型紙にばらつきが出やすいという点でしょう。また、量産するためには立体裁断した型紙も必ず平面に落とし込まなければならないため、その修正が困難な場合があるという点も頭に置いておきたいポイントです。
平面裁断の最大のメリットは基本製図により計算式、または方程式によりデザインを組み立てていくので個人差が出にくく、統一したパターンが上がりやすいという点です。また日本の既製服の多くは例えばバストのゆるみは何センチ以上、アームホールの大きさは何センチなどと細かいサイズ設定がなされています。立体裁断でパターンを作ったとしても最終的にはその鋳型に合うように修正がかけられます。その修正をする際にも平面裁断の方が有利です。
またデメリットは変わったデザインや新素材のものが出てきた時に、出来上がりが予測しづらいという点。ドレープや生地のゆとり感も立体裁断の方が有利とされています。
どちらの技法を使うかは、そのときどきによって決まってきます。どちらにも良し悪しがあるため、両方の知識を得ておいてまず間違いはありません。どちらの良いところもわかるパタンナーを目指したいものです。
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