Principal column校長コラム

大阪校・京都校|宮村 誠一校長

「2.5次元演劇」市場の成長と今後のパフォーミングアーツ展望

 ここ何年か前から「2.5次元演劇とか2.5次元俳優」とよく聞くようになり調べてみると、2.5次元とは、直接的には2次元(平面)と3次元(立体)の中間を指します。
 これだけでは何のことやらさっぱり分からないので、もっと具体的に言うと「マンガやアニメなどの2次元の世界を、3次元の存在である人間が演じること」という意味であり、「2次元の3次元化」が2.5次元なのです。

 その歴史を見ていくと、2.5次元の世界が大きく広がったのはミュージカル「テニスの王子様」の登場でした。テニスマンガの世界を舞台で演じるという斬新な試みはファンの心をがっちり捉え、また多くの若手俳優の登竜門となりました。こうした2.5次元の舞台で活躍する俳優は「2.5次元俳優」と呼ばれています。

 近年大ヒットした例には、日本刀の名刀を男性に擬人化(ゲーム上では「付喪神(つくもがみ)」という設定)した「刀剣男士」を収集強化し、日本に歴史上の合戦場に出没する敵を討伐していく刀剣育成シュミレーションゲームがあります。正式名称は「刀剣乱舞-ONLIN」(とうけんらいぶオンライン)、公式略称「とうらぶ」。そのゲームは2015年ミュージカル化、2016年舞台化、2016年アニメ化、2019年実写映画化され、「刀剣女士」や「刀剣本」、さらに「刀剣展示場」「合戦場」なども大ヒットしています。今後も躍進する演劇であろうと思われますが、私から見れば、昔から人気があったウルトラマンヒーローなどもそうではないかと思っており、宝塚劇団も2.5次元演劇であると言われているとのことです。

 普通の演劇よりも空想の世界が入るので動きがアクション的になるようで、物語よりも俳優の空間的な動きや歌などが見せ場のように感じられます。このことから、今後、増々演じる者はアクション、ダンスや声量などが必要になると思われます。演じることや発声することなどは基礎基本が重要であり、本学園ではパフォーミングの他ゲーム、マンガ、ミュージック、スポーツなど総合的なカレッジで学べることから、連携して2.5次元俳優を目指す者にとって、理想的な学園になる努力が必要であると感じています。

個性豊かな専門教育と、社会でのルールに適応できる人材育成を心がけています。

大阪校・京都校

宮村 誠一 校長

なみはやドーム( 大阪府立門真スポーツセンター)業務課長、大阪府立堺上高等学校、佐野高等学校校長、大阪府教育委員会事務局教職員室参事、校長会常任理事などを務め、現在は、大阪府立障がい者交流促進センター参事、大学講師も務める。