Principal column校長コラム

那覇校|古波蔵 喜弘校長

アジアの架け橋へ

 総合学園ヒューマンアカデミー那覇校の所在地は沖縄県那覇市です。ここで那覇(なは)の地名の由来を紹介します。沖縄は周りを海に囲まれていて、いい魚場(なば)から那覇になったという説があります。東アジアの南海に浮かぶ小さな琉球王国は海洋国家として繁栄していました。1458年に琉球王国の尚泰久(しょう たいきゅう)王が鋳造させた釣鐘(梵鐘)には次の碑文が刻まれています。

 「琉球国は南海の勝地にして
  三韓の秀を鍾(あつ)め、大明を以て輔車(ほしゃ)となし、
  日域を以て唇歯(しんし)となして、
  此の二つの中間にありて湧出せる蓬莱(ほうらい)島なり
  舟楫(しゅうしゅう)を以て万国の津梁(しんりょう)となし、・・・」

 意味は、「琉球王国は、南海のすばらしい地であり、中国・朝鮮国、日本の各国と親密な関係を持ち、これらの国の中間に位置する大地から出現したあこがれの島である。船で各国へ渡り、万国の架け橋となり・・・・」で、琉球の海洋国家としての気概が謳われています。万国津梁(ばんこくしんりょう)の鐘は沖縄県立博物館・美術館に保管されています。

 また、沖縄では先人たちが「万国津梁」の心意気でアジアの国々と交易を深め、文化を築いてきました。その一つに、1708年、琉球士族の程順則(てい じゅんそく)が中国から持ち帰った「六諭衍義」(りくゆえんぎ)は将軍徳川吉宗に献上され、寺子屋での手習本として使用されました。「六諭衍義」には記されている六諭は次の六項目です。

  孝順父母 父母に孝行しなさい
  尊敬長上 年上の人を尊敬しなさい
  和睦郷里 郷里の自然や人を愛し仲良くしなさい
  教訓子孫 子や孫を教育しなさい
  各安生理 自分のやるべきことを成し遂げなさい
  毋作非為 悪いことをするなかれ

 そのほかにも、アジアだけではなく1816年にイギリス艦隊の隊長として琉球に来たバジル・ホールは「朝鮮・琉球航海記」に記していますが、1ヶ月に及ぶ滞在中に両者の間に様々な交流がうまれ、そのことが琉球王国と西洋が本格的に接する契機となりました。

 南海の勝地にあり、アジアに近い沖縄にヒューマンアカデミー那覇校は2007年に開校し、これまで12年間に多くの人材を育んできました。沖縄には多くの観光客が訪れます。2018年は990万人を超え、外国客は約300万人で、多くはアジアからです。那覇校ではアジアの方々と交流を深める機会をつくり、アジアへ羽ばたく気概も大切だと思います。

 「万国津梁」の心意気で那覇校がアジアの架け橋へ!!

21世紀は「心と知と感性の時代」。クリエイティブな自分の夢を実現させましょう。

那覇校

古波蔵 喜弘 校長

沖縄県教育庁県立学校教育課課長補佐。沖縄県立21世紀は「心と知と感性の時代」。クリエイティブな自分の夢を実現させましょう。西原高等学校校長。沖縄県立沖縄工業高等学校校長。沖縄県高等学校体育連盟副会長。沖縄県工業高等学校長協会会長。九州地区工業高等学校長協会理事。全国工業高等学校長協会評議委員などを歴任。