Principal column校長コラム

那覇校|古波蔵 喜弘校長

偏差値はすべてではない

 今年4月に、京都市の京都学園大学が京都先端科学大学に名称変更した。大学の永守重信理事長は入学式のあいさつで、「今の大学は社会に役立たん人間ばかり出している。偏差値とブランド主義に固まってしまい、真の教育がなされていない。偏差値教育、ブランド教育の打破を今、強く世の中にアピールしている。」という朝日新聞のデジタル記事がありました。

 ところで、偏差値とは何か。広辞苑によると、「学力などの検査結果が集団の平均からどの程度ずれているかを示す数値」とあります。高校、とくに大学受験などでは、生徒の平均点だけでは合格可能性の目安がわからないということで、全国模試による偏差値が利用されています。

 しかし、テストの成績による偏差値によって生徒の高校進学を決める「輪切り」が行われ、1993年には当時の文部省が「業者テストによる偏差値等に依存した進路指導は行わないこと」を通知しました。それでも、いまだに高校進学は偏差値序列によって高校間の学力格差があります。近年の経済格差が教育格差の拡大につながる傾向があり、偏差値序列に拍車をかけています。

 偏差値はテストの成績で決まるわけで、その生徒の資質や人間性は問いません。テストの点数の高さで人間の価値が測れるのでしょうか。人間の価値ってテストの点数でしょうか。

 社会で求められるのは、コミュニケーション力、創造力や個性などの人間力に関わる部分です。すなわち、自分の頭で考え、自ら課題を解決する能力なのです。

 人生は一度きりです。決まったレールを歩き、与えられたことをただこなすだけの人生ではなく、いろいろな選択肢を持った人生を送りたいものです。常に社会に関心を持ち、いろいろな複雑で難しい課題を解決しようとする情熱と創意にあふれ、人に必要とされ、人のために尽くすことを自ら喜びとする「高い志」をもつことなのです。

 そのため、偏差値に振り回されることなくしっかりと自分のビジョンを持ってやりたいことをやることが大切です。
 

21世紀は「心と知と感性の時代」。クリエイティブな自分の夢を実現させましょう。

那覇校

古波蔵 喜弘 校長

沖縄県教育庁県立学校教育課課長補佐。沖縄県立21世紀は「心と知と感性の時代」。クリエイティブな自分の夢を実現させましょう。西原高等学校校長。沖縄県立沖縄工業高等学校校長。沖縄県高等学校体育連盟副会長。沖縄県工業高等学校長協会会長。九州地区工業高等学校長協会理事。全国工業高等学校長協会評議委員などを歴任。