Principal column校長コラム

福岡校|待鳥 和海校長

総合学園ヒューマンアカデミー 福岡校・北九州校 入学式 式辞

万物の生命が息吹く、まさしく春爛漫の今日の佳き日、福さ屋株式会社会長 佐々木 吉夫様をはじめ、多くのご来賓並びに保護者の皆様のご臨席を賜り、平成三十一年度総合学園ヒューマンアカデミー福岡校、北九州校並びに学校法人佐藤学園ヒューマンキャンパス高等学校の入学式を挙行できますことは、新入生はもとより教職員一同にとりましても無上の喜びとするところであります。公私ともにご多用の中、本日御臨席を賜りました皆様に心より感謝申し上げます。

総合学園ヒューマンアカデミーは、開学以来、「為世為人(世のため人のため)を教育理念として、従来の学校教育の枠に捉われない「教育ルネッサンス」、教育と企業をつなぎ実践教育を基盤とする「産学官協同」、また、世界で活躍する人材を育成する「国際人教育」を建学の中核に置き、教育活動を実践して参りました。

これまで卒業生の多くは、本学園で修得した高度な専門性と学生綱領に対する熱い思いを起点として、国内外の様々な分野での比類なき活躍に高い評価を頂いております。特に、今年度、福岡校は、ITカレッジ、チャイルドケアカレッジを開講し、素晴らしい先輩方に続く新たな伝統の構築に向けて、進んで参ります。

ただ今入学を許可しました新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんは、プロの職業人を目指すという志を掲げ、自らの意思により本校入学を決断されました。それぞれの志の実現のためには、各カレッジでの高度な専門的知識や技術は不可欠なものであり、その修得に向けての日々が始まります。

国内では、平成の時代も今月末をもって終わりを告げ、来月からは新天皇即位、新元号「令和」の下、新たな時代がいよいよ幕を開けようとしています。また、国際社会の状況は、近隣諸国を含めて、まだまだ不安定な要素は否めません。ある意味で先が見えないこの複雑多様化した現代社会で、特に、人工知能AIの急激な進化や日常生活への普及が印象深いものですが、想定外という事態に対しても、的確な対応が必要とされる我々に求められているのは、思考力、判断力、表現力等を始めとする総合的な人間力であると思います。

ここで皆さんにお伝えしたいのは、日本最強と呼ばれた剣聖、宮本武蔵の言葉です。彼は、兵法書である五輪の書を書き残し、その中で「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす」と言っています。千日、ざっと三年、稽古に稽古を重ねて鍛え、その鍛え上げたものを土台に、更に万日、三十年の稽古を積み重ねで、初めて練り上がるというものです。

それぞれの志の実現を目指す皆さんのこれからの生活は、正に「鍛錬」の日々となりますが、その中で心掛けてほしいことがあります。それは、「一大事と申すは、今日ただ今の心なり」という禅の言葉です。

私たちは、様々な困難に直面しながら生きていますが、ともすれば、先々のことを考え過ぎて、現在がおろそかになったり、夢を実現するまでの時間の長さに圧倒されて、自ら設定した目標が揺らいでしまうことがあります。そのような迷いを断ち切るには、「生きている現在を大切にせよ」と説いているのです。


「今、この瞬間を大切に生きる」には、三つの要素が大事であると思います。

生き方の土台となる最初の要素は、「人生に誓うものを持つ」ことです。言い換えれば、今、皆さんが持っている夢を深く心に刻み、日々、実現に向けてひたむきに生きていくということになりますが、もちろん、簡単に成就する夢ではありません。精神を集中して、全身全霊をかけて自己を磨き、自分しか持っていない本当の光を放ってください。皆さんは決して一人ではありません。共通の夢を持つ友人との切磋琢磨の中、「友人の光」という要素が加わることで、自分の光の輝きが増していくことにもなります。改めて、本日の入学式は、自分自身だけではなく、ご家族を始め周囲の方々に対しても、夢の実現に向けて全力で進んで行くことを誓う日でもあります。


次に、生き方の出発点となる要素は、「ありのままの自分を認める、受け入れる」ことです。

ドロシー・ロー・ノルトというアメリカの教育博士が創った詩を、一部抜粋ですが紹介します。

 自分に正直になったとき、大事なことに気づく
 本気で何かをしているとき、大事なことに気づく
 変わってもいいと思ったとき、大事なことに気づく
 人に頼るのをやめたとき、大事なことに気づく
 新しい人に出会ったとき、大事なことに気づく
 大事なことに気づくのは、難しいことじゃない
 いつも心を開いていたい いつも耳を澄ましていたい
 そうすれば あなたは気づく あなたは出会う 本当の自分に


本当の自分という言葉が最後に出てきますが、本当ではない自分、つまり、「本当の姿の自分」とは対極にある「ありのままの自分ではなく、こうありたい・こうあるべきと思う想像上の自分」もいます。性格・容姿・経済状況等含めて、ないものねだりで、際限なく現実とは違う自分を望んでしまうことがありますが、心理学者のアドラーは言います。

「大切ことは、何が与えられているかではなく、与えられているものをどう使うかである」 

自分は他人と取り換えることはできません。プラスはもちろん、マイナスも含めて、いろんな面がある中で、自分をどうやって使いこなしていくか、が大事であり、そのためには、ありのままの自分・本当の自分を受け入れることが出発点となるのです。


最後の要素は、日常生活の中での基本となる「気づき、考え、そして行動する」ことです。

紹介した詩の中では、繰り返し「気づく」という言葉が出ています。日々の生活の中で大事な起点となるのは様々な気づきであり、そして、気づくためには考えることが必要となります。いくつかの場面が詩の中で設定されてますが、気づくチャンスは日常生活のあらゆる場面にあるものです。しかし、何かに気づく人もいれば、同じ場面でも、何も気づかない人もいます。気づく、気づかないの大きな分かれ目となるのが、「考える」ということです。自分自身が考えなければ、自分を含めて周囲の状況に対して、何も気づくことはありません。その場の状況に流されるのではなく、周囲の出来事の本質をしっかり考えようとする姿勢が、新たな気づきをもたらしてくれるのです。

そして、「気づき、考える」は、「行動」が加わって、初めて大きな意味を持ちます。いくら「気づいた、考えた」としても、行動に結びつかなければ、自分自身を含めて周囲の環境は、結果的には、何一つ変わりません。行動に移して初めて、つまり、一歩踏み出して初めて、自分自身が変わり、周囲の環境が変わることになるのです。

自ら立てた誓いを基盤として、ありのままの自分を受け入れることからスタートし、気づき、考え、そして行動した結果、踏み出した一歩は、その分、心に刻んだ夢に近づいたことになり、その充実感がまた、次の一歩を生み出すエネルギーにもなります。その鍛錬の繰り返しが、最終的に「自分の人生を全力で生きる」ということに繋がっていくのです。


山本有三作「路傍の石」の中で、次野先生が吾一少年に語る場面がありますが、正に目標とすべき内容ではないでしょうか。

 たった一人しかいない自分を たった一度しかない人生を
 本当に生かさなかったら 人間、生まれてきた甲斐がないじゃないか

宮本武蔵の鍛錬から、話を進めて参りましたが、他の誰でもない自分自身が決断した誓いの上に、鍛錬という歩みを、日々重ねていくことが、皆さんにとっての揺るぎない未来を創り出すことになるのです。本校での鍛錬を通して、なお一層の成長・進化を遂げていかれることを、心から願っています。


結びに、高いところからではございますが、保護者の皆様に一言ご挨拶を申し上げます。お子様のご入学、誠におめでとうございます。本日からお子様の教育をお預かりするにあたり、私ども教職員一同は、全身全霊を傾けて教育を実践していく決意であります。しかしながら、有為な人材の育成には、学校だけでは限界があります。お子様の未来をより豊かで確かなものにするためには、ご家庭と学校がそれぞれの役割をきちんと認識し、協力し合うことが不可欠であります。

常にお子様の更なる成長を見据えた教育活動を中心に据え、「福岡校」「北九州校」「学校法人佐藤学園ヒューマンキャンパス高等学校」の三校は、三位一体の教育システムの構築に努めて参る所存ですので、今後、教育方針等に対するご理解、ご支援、ご協力を賜りますようにお願い申し上げ、式辞といたします。

志を持ち、社会貢献できる人材を育成します。

福岡校

待鳥 和海 校長

福岡県立高等学校等に36年間勤務、福岡地区の柏陵高等学校を最後に退職。その後、不登校関係の訪問相談員等を経て、ヒューマンアカデミー福岡校校長に着任。全日制課程高等学校だけではなく、定時制課程、特別支援学校等の指導経験を学生指導に活かしている。