デビューチャンスをつかむ究極の持込みイベント
「マンガ合宿2024」
全国のマンガ専攻学生と出版社が集結!
2024年10月、ヒューマンアカデミーでは「マンガ合宿2024」を国立オリンピック記念青少年総合センター(東京渋谷区)にて開催。マンガ・イラストカレッジ毎年恒例のこのイベントは、北海道から沖縄まで全国18校舎から集まった学生が、マンガ誌を手掛ける出版社の編集部に作品を見てもらう極めて特別な機会です。今年の合宿には、マンガ専攻本科生の1年生141名を中心に、300名近い学生が参加。対する出版社側は、37の編集部から66名の編集者の皆さんにご来場いただき、一大マッチングイベントとなりました。
イベントの最大の魅力は、編集者からの作品レビューをその場で直接受けられることです。一般的に、持込みで編集者に作品を見てもらうには、自分でアポイントを取り、忙しい中で時間を確保してもらうハードルがあります。マンガ合宿では、1日で何社もの編集部に作品を持込むことができる上、編集者の皆さんも新人発掘の目的で来場しているため、本気で向き合ってもらえます。技量やポテンシャルを認められ、名刺をいただいて「担当付き」となる学生が、毎年数多く誕生しています。
また、特に地方出身の学生は、慣れない環境でデビューを目指す活動に不安が伴うもの。しかし、このイベントでは同じ学校の仲間や講師が一緒に参加するため、「楽しくて、心強い」のが大きなメリットです。持込会の前日には、校舎を超えた交流のための前夜祭も開催され、学生同士の結びつきを深めることができました。
持込会当日、学生たちは午前中から現地に入り、イベントの流れを確認。控え室と持込み会場との動線を入念にチェックし、作品の最終確認を終えて準備を整えました。スタート時の持込み順は、事前に提出した「どの編集部に持込みたいか」の希望に沿って一人ひとりに割り当てられています。その上で、運営チームが進行状況をリアルタイムで管理し、一人でも多くの学生と編集者の出会いのチャンスを確保できるよう工夫されました。
編集者との熱い対話から広がる可能性
午後1時、編集者の皆さんが続々と会場入りを始めると、学生たちが待つ控え室の雰囲気もさらに張り詰めていきます。1時半、いよいよ持込会スタートです。 学生たちは、長机に並んだ各社の編集部を訪ね、所属校と名前を名乗って挨拶したのち、作品を手渡します。この日のために準備した渾身の一作をプロに見てもらう――それも、相手は「自分が憧れるマンガ誌の担当者」という特殊な状況に、学生たちの緊張と期待は最高潮に達します。
編集者からは「大ゴマをもっと有効に使ってほしい」「この部分が伝わりにくいので、冒頭でこういうシーンを描いては」など具体的なアドバイスが次々と飛び出します。また、「キャラクターが多い割に混乱せずに読めた」「世界観が面白い」などの評価もあり、学生たちは一つひとつのフィードバックを受け止め、熱心にメモを取っていました。編集者には、自社のマンガを広げて特定のシーンの描写を説明したり、スマートフォンのカメラを使って画角の違いを解説するなど、非常に丁寧な対応が多く見られ、学生への真摯な期待が感じられました。
時間が進むほど会場全体が緊張からほぐれ、笑顔も見え始める一方、イベント時間はどんどん過ぎていきます。一回あたりの持込み時間は15分程度が目安ですが、学生と編集者のコミュニケーションが深まり、30分以上をかけて熱いフィードバックが送られるケースも。キャラクター設定で押えるべき点や最近のマンガ制作のトレンドなど、今回の持込み作品に限らない深掘りした内容も話されていました。
編集者から一定の評価を受け、「次の作品はネームを見せてほしい」「◯月に新人賞があるので応募を」と連絡先の交換につながる姿も見られました。受け取った名刺を手にお礼を言い、昂ぶる気持ちを抑えながら控え室へ戻ると、所属校の講師からは「よかったね!」「おめでとう!」と温かい拍手が送られます。
午後5時、濃密な3時間半の持込会が終了。学生たちはプロからの指摘を胸に、次の作品づくりへの新たな決意を固めます。編集者から名刺を受け取り「担当付き」となった学生もまた、認められた喜びとともに、今回の出会いとチャンスをどう先につなげていくか、今後への成長を強く意識する様子でした。 そして、それを力強く後押しするのが講師陣の手厚いサポートです。ヒューマンアカデミーは今後も、マンガ専攻の学生たちが持つ才能を最大限に引き出し、デビューへの道を切り拓くための環境を提供し続けます。
「担当付き」となった参加学生の声
静岡校 Iさん
描写やキャラづくりについて、こうしたらもっとおもしろくなるのでは、と具体的なアドバイスをいろいろいただいたので今後に活かしたいです。「賞に応募するときには連絡してほしい」と名刺をいただき、今は「最高!」の一言です。
大宮校 Aさん
今回が一作目だったのですが、ちょっと気持ち悪い感じのモンスターの絵が得意で、作画を褒めていただきました。次の作品は編集者さんにネームから見ていただけることに。意見を受けながら、ストーリー構成力などもっと高めていきたいです。
名古屋校 Iさん
16ページの作品だったのですが、短い中で読みやすくまとまっていると評価していただき嬉しかったです。一日にいろんな編集部に作品を見てもらえるのは本当にありがたいですし、他校の人たちに会えたのもすごくいい刺激になりました。
大阪心斎橋校 Nさん
プロに見てもらうことで、自分の作品を客観視できました。今度の新人賞への応募を勧めていただいたので、ぜひ頑張りたいと思っています。長期連載を持つという夢に向けて、卒業までにいくつかの受賞は絶対目指したいです!
大宮校 Mさん
マンガ全体の雰囲気づくりは自分の強みだと思っていて、編集者さんから「ストーリーはもっと磨くべきだけれど、絵は味があっていい」と言ってもらえたのが嬉しいです。「名刺って本当にもらえるんだ」と思って感動しています。
「マンガ合宿2024」運営責任者 上田 卓和講師より
1日に多くの編集者に作品を見てもらえる機会は大変貴重です。
このイベントには毎年いろいろな出版社が来てくださっているので、「今まであまり意識していなかったけれど、先生に持込みを勧められた編集部から、意外にも高い評価を受けた」といった例をしばしば聞きます。出版社側から「この表紙を描いた学生さんと話してみたい」など逆指名の可能性があるのも大きいでしょう。少年誌を目指していた人が少女漫画の編集部から声をかけられたりと、思いがけない展開があると視野が大きく広がります。
今回のような場で、編集者の方に名刺をもらって「担当付き」になるのは、デビューへの極めて大きな一歩です。担当さんと二人三脚で新人賞に向けた作品づくりができますし、今どんな作品が求められているかなどの情報も得られます。担当さんとのコミュニケーションや信頼関係を大事に、未来へのチャンスをぜひ活かしてほしいと思います。