総合学園ヒューマンアカデミーゲームカレッジ

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総合学園ヒューマンアカデミー ゲームカレッジでは、たくさんの卒業生がゲーム業界で活躍しています。
今回は、株式会社スクウェア・エニックスの時田貴司さんと卒業生の髙林亮さんのインタビューをお届けします。


株式会社スクウェア・エニックス
第9ビジネス・ディビジョン シニア・マネージャー プロデューサー
時田貴司さん(左)

株式会社スクウェア・エニックス
ゲームデザイナー
髙林亮さん(右)





――ゲーム業界の現状についてお聞かせください。

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時田貴司さん(以下、時田):今のゲーム業界は、スマートフォン・家庭用の両方が元気になってきていますよね。特にスマホアプリを制作する中小規模の開発会社が増えており、新規タイトルが多数リリースされています。これはつまり、若い子たちが「早期に最前線で活躍できるチャンス」が大きくなったということ。実際にヒューマンさんのようなゲーム制作を学べる専門校を卒業し、そうした会社に入る方も多いと思います。


――規模の小さい開発現場ですと、新人もすぐ製品の制作へ参加する形になりますね。

時田:ええ。ただ、スマホのアプリのよいところは、非常に手軽なものからかなりしっかりした大作まで、幅広く揃っていることです。つまり、若い子たちの活躍できる幅も広いということなんですよね。また、今はミドルウェアが充実していて、特にユニティはかなり普及して製作しやすい環境になっています。ぼくもスクウェア入社前は小さな開発会社で修業をしたのですけれど、その会社では2年間で10本以上のゲームを製作しました。非常に大変でしたが、現場の最前線で得られた経験は今も役立っていますし、自信にもつながっています。だから、そうした経験を得やすくなっている現在は、若い人たちにとって大きなチャンスですよ。ただ、やや不安な点があって、今の学生さんや新人たちは、個性を出すことを恐れているな……と感じるんです。我々が若手だった時代よりも知識や技術が豊富で、平均的に能力は高くなっているんですけれどね。


――個性の出し方や磨き方のヒントはあるでしょうか?

時田: 若い子たちは真面目で「失敗したくない」という気持ちが強いんですね。でも、個性って欠点の方が個性になりやすいのかなと、思うんですよ。得意なことよりも、不得意なことの方が個性として輝く可能性があるので、恥をかくことを恐れないで欠点をさらけ出していくと、それは武器に変わるんじゃないかな。それからゲーム業界では、失敗をそんなに気にしないでいいと思いますよ。制作は共同作業なので、誰かの失敗は誰かがフォローしてくれます。特にオンラインゲームやスマホアプリなどの運営型ゲームは、失敗を取り戻すチャンスもたくさんあります。

髙林さんピン.JPG髙林さん(以下、髙林):ゲーム制作の現場は、パッケージを作っているという意識から、サービス業になってきているという感じですね。最近はゲーム業界の中よりも、接客業が参考になることも多いです。


――髙林さんはヒューマンの卒業生とお聞きしています。

髙林:はい。正確には、今のヒューマンアカデミー大阪校になる前の、職業訓練校時代の卒業生です。学校を卒業後、大阪にある開発会社に入り、転職を経てスクウェア・エニックスに入社しました。


――学生時代、クリエイターになるために努力されたことは、どんなことでしょうか?

髙林:「ゲーム制作を仕事にしたい」と考えたとき、自分としては「とにかく業界と接点を持つ」ことが近道に思えて、つながりを得るための努力をしたんです。その甲斐あって、先輩が入社した開発会社でアルバイトとして採用され、そのまま卒業と同時に入社できました。横だけでなく縦のつながりを作ることは大事だと思いますし、ヒューマンはそうした関係構築がしやすかったです。


――時田さんから、ヒューマンアカデミーの印象について、お聞かせいただけますか?

時田:セミナーやワークショップで各校舎にお伺いしているのですが、北は北海道から南は沖縄まで全国に校舎があって、それぞれ地方色が豊かに出ていますよね。また、学生さんたちは非常に活発です。それから、非常に手際がいいですね。ワークショップでは、会議をしながらたった1時間で立派なパワーポイントの資料を作ったり、個々の分担をその場でパッと決められたり、チームワークが素晴らしいです。

髙林:ワークショップの開催前に何度も練習してるのかな……と思うくらい、鮮やかな手際ですね。

時田:ツールを普段から使い慣れていること、お互いのメンバーがそれぞれの得意分野を把握していないと、即座に役割分担をするというのは難しいですよね。ヒューマンの学生さんたちはちゃんと周りを見ることができて、コミュニケーションを率先して取れているから、それらができるのでしょう。

――ヒューマンアカデミーで学んで、印象に残ったことはありますか?

髙林:先生が話してくれた『企画はウソをついて、そのウソを実現するのが役割だ』という言葉です。でも当時は「何を言ってるんだ!?」という感じで受け止めていたんですね。その後ゲーム業界で働くうちに、「ウソをついてでも企画を魅力的に思わせて、人をワクワクさせて、実現不可能と思われるものでも工夫して実現させていく……その謎解きをするのがプランナーの仕事なのかな」と気づきました。専門校で学ぶ技術や先生の言葉など、もしその場で理解できないものであったとしても、心の中には残しておいてください。仕事を続けていくうちに、クリエイティブっていうのはこういうことなんだなと、実感できるはずです。

時田:いろんなプロの話を聞けるのも、ヒューマンさんのよいところでしょうね。加えて、卒業制作だけでなく、いくつもゲームを制作できることは特長でしょう。ゲームを形にする楽しさと大変さを何度も実体験できますから。

髙林:作品という成果物が積みあがっていくので、実績をアピールしやすいですね。さらに、同じ道を目指し、長きにわたるライバルやパートナーとなる人たちが多いことも利点だと思います。卒業して……17、8年くらいですかね。未だにヒューマン時代の友人は10人以上います。「クリエイティブな仕事を一緒に頑張った仲間」というつながりが強くあるので、そうした友人たちから評価されることもうれしいです。自分は学生時代、ずっとスクウェア大好きっ子だったんですよ。スクウェアのゲームが出ると発売日の朝に買いに行って、クリアするまで寝ない……みたいな(笑)。それを周囲も知っていて、そんな自分がこの会社で働いているということを評価して、応援してくれているんです。それがまた、うれしいですね。

時田:それはいつごろなの?

髙林:ゲームがコンビニで買えるようになった時代くらい……ですかね。

時田:懐かしいなあ(笑)。


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――ゲーム業界を目指すみなさんに、メッセージをいただけますか?

時田:ネットをはじめとして、今は知識や技術が共有されていて、手に入れやすくなっている時代です。だけれど、調べて出てきた見本通りにやっていても、自分自身の個は形成されません。ある程度は情報を遮断して、自信を持って「自分の好きなもの」や「自分が育ってきた経歴」、そして「自分自身の感覚」を信じて創作活動に取り組んでほしいと思います。

髙林:悩んだり考えたりするのは、最初だけでいいかなと思います。自分の心の中を見つめて「その仕事を本当にやりたいのか」を真剣に考えてください。そして、気持ちが固まっているなら、一直線に業界を目指してください。

時田:現在、一度社会に出てから「やっぱりこの仕事がしたい」と改めて憧れの業界を目指す方々が増えているそうです。寿命やライフスタイルを考えると、二度目の成人式を30歳くらいで迎えるくらいのイメージなんじゃないか、という気もしているんですよ。だから新卒の人だけでなく、社会に出た人たちも、手遅れと思わずに本当にやりたい仕事を探してチャレンジしてほしいですし、みんな失敗を恐れずに挑んてほしいですね。



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